ふたりでひとり
仮面は言った。
「彼らはふたりでひとつなのだ」
仮面はタイロとふたりでエア・カーを降り、トルニコスタ駅前を歩く。
「どういう意味だ?」
「単純な意味だよ」
仮面はタイロに説明した。
「たがいをまもりあおうとするそのちからが、彼らのおおきな魔力を生み出す。つまり恋だ」
「だが、彼は恋を感じていなかった」
「そこだな、問題は。しかし事実は事実だ、タイロ。彼らは恋で結ばれている」
タイロはかんがえこんだ。それは本当のことなのだろうか、と。単なる恋心ならば、そのへんの魔法使いたちでもあたりまえのようにいだいているものだ。だとすると、
「そのとおり」
と仮面はタイロの思考を読み取って言った。
「このレジ街に生きる魔法使いたち皆、そのちからを持っている。そしてだれもがそのちからを引き出している。だが、もともとの潜在能力に差がある」
「なるほど」
「しかし、いくら彼らの潜在能力が高くとも弱点はある」
「引き離すことか?」
「そうだな、それもひとつの弱点だ」
「ほかにもあるのか」
「引き離したり、引き寄せたりすればいい」
「引き寄せる?」
「あえて引き寄せることで、ふたりは一時的にまわりが見えなくなる」
「ああ、そういうことか」
「それはほんの一瞬の隙でしかないがね……」
「いざというときは、そこに賭けよう」
「ああ」
トルニコスタ城が見えてくる。ふたりはそこで足をとめ、城を見あげた。
「さて、行こうか」
タイロは仮面に答えた。「わかった」




