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隔離

 タイロは、仮面とともに、少年の身体をエア・カーに乗せる。

 仮面が運転席につく。

 エア・カーはディテクタで操作する。ゆえにハンドルというものは取りついていない。

 仮面は目的地の設定をおこなう。

 ラップ人が言う。

「どこへ運ぶんだ?」

 後部座席の少年のワイシャツの胸ポケットにタイロの花を差しこんでいる。

「ある森まで運ぶ。かんぜんに隔離するひつようがある。そのためにアンバー・ナウシカノをレジ街まで連れてきている」

「どっちの少女だ?」

「赤い髪の少女のほうだ」

「なるほど」

「ある森の近辺に村があり、ナウシカノはそこの出身者なのだ」

「そういうことか」

「ふたりは幼馴染だったようだ。ゆえにそのふたりも遠ざけておくひつようがあった」

「すでに計画していたというわけか」

「そうだ」

「マンションの部屋の王のむすめはどうするつもりだ?」

「シャルナ姫はそのまま放っておいてもかまわない」

「放っておくのか?」

「ああ」

「あまり必要性がない?」

「そのとおり」

「このユキという少年を森まで運んだあとはどうする?」

「まだいっしょについてきてくれ」

「わかった」

「わたしはこれから王の顔をもらいにいく」

「顔……?」

「わたしの魔法は闇で、他人の顔を盗むことができる」

「まさか――」

「そう、そのとおり」

 仮面が言った。

 金の仮面でタイロを振り向き、

「わたしが、王になりすます」

「そんなことを考えていたのか……」

「フフフ」

「ならば、おまえの正体はますます謎になってしまったわけだ……」

「正体を知りたかったのか?」

「見えないものは見たくなるものだろう?」

「まあ、そういうものだろうな」

 タイロは仮面が男か女のなのかもわからなかった。

 そしてタイロはこの仮面の人間に異様なものを感じはじめていた。

 本当にいっしょにいてもいい人物なのか?

 いっしょにいて危険はないのか?

 タイロはすこしずつ不安になりはじめている。


 数時間後、とある森に到着した。

 エア・カーを停め、仮面が少年を森のなかへと運んでいった。

 数分後、仮面が帰ってきた。

 エア・カーに乗りこんできて、

「帰るぞ」

 と言った。

 ディテクタを操作する。

「レジ街か?」

「そうだ」

 仮面が、エア・カーを発進させた。重たい車体が、反重力で宙を浮かんで進みだした。


 この仮面が何者なのかよく知らないが、タイロはいつでもこの仮面を始末することができた。

 だが、仮面はその警戒をいっさいしてこなかった。

 殺されない自信があるとでもいうのだろうか。

 あるいはタイロのことをかんぜんに信じ切っているということなのだろうか。

 どちらにせよ、タイロはすでにこの仮面の人間のことをみずからのリーダーだと自覚しはじめている。

 この仮面さえいれば、自分はもしかすると、いま以上にしあわせになれるかもしれない。そうタイロは思いはじめている。




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