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東京地下道1949■第13回竜の妹、恵を救うため戦争孤児の頭、ムサシのアジト前に鉄と竜2人。鉄は米軍襲撃を漏らした事を隠し、竜を気絶させ、地図を見て地下道へと入る。

東京地下道1949■第13回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/

漫画の描き方manga_training動画

http://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009 ●



戦争孤児グループの長、ムサシは誰も信じない男だ。

彼の人に対する信頼感は、戦争時の体験によって完全に破壊されていた。


彼の学校の教師は、厳しく、愛国主義を教え軍事教育を旋してきた。

また、さらに、人格者であるという評判もあった。

ロシア軍の戦車T34を前にして、彼は生徒達をほおりだし、自分だけ助かろうと逃げたのだ。


ムサシの学友は皆殺しにされた。


ムサシは執念深く、その教師の男を、ソ連侵攻軍前線からの逃亡者の群れから捜し求め、みつけ殺した。ムサシに対して、彼は土下座し謝ったが、許さなかった。


ムサシのアジトの二階に恵がしばられ、ころがされていた。

ムサシのアジトはトウキョウの旧区役所でピルの廃墟である。


「心配するな、恵、お前には手を出さない。鉄を殺ったら、すぐ帰してやる」

「鉄が、あんたなんかに、殺されるもんですか」

ムサシは、ふっと笑う。


「ふ、恵、それはどうかな。とにかく奴を殺らなきやならないからな。掟があるんだ」

「掟ですって?」

「いいか、恵。奴のおかげて、何人もいた俺の仲間が全滅したんだぞ。奴が食糧トラック襲撃の一件をぱらしたんだからな」

「しかたがないわ。保安部につかまったんですもの」

「ほう、やはりな」

恵は、ムサシの誘導質問にひっかかった。


「鉄が、襲撃の件をばらしたことに間違いはないようだな。

仲間をうらぎらないというのが俺たちの掟だ。しかしなぜ、お前がそれを知っているんだ」

「私が、鉄を助けたのよ」


「何、お前が。恵、ふーん。お前は気の強い女っ子だな」

「お願い。鉄を殺さないで」

「今度は、、お願いか。、、だめだな。掟だからな。鉄も、充分それを承知しているはずだ」


「でも」

「うるさい。鉄のおかげで、皆、仲間が死んじまったんだ。お前の兄貴、竜もだ」

「えっ、兄さんも」

 恵の顔色が変る。


「そうだ、それでも、、まだ、、鉄をかぱうのか」

 答えはなかった。恵は青い顔になる。兄さんが死んだ。

 

鉄は、ムサシのアジトの、かなり手前で車を留める。

「どうした、鉄」

「悪いが、竜。ここで待ってくれ」

「どういう事だ、鉄」

「これは、ムサシと俺の問題だ。お前は関係ない」

「関係ないだと、恵ぱ俺の妹なんだぞ。どういう口を聞く。

鉄、いいかげんにしろ」

 竜は、鉄をつかもうとした。


一瞬、早く鉄は体をかわし、竜に足けりをいれた。

みぞおちにきまる。竜は気を失った。        

「竜、すまない。すべては俺が、米軍保安部に食糧車襲撃の一件をばらしちまったことから、おこった事だ。恵は、、必らず俺がとりもどす。ゆるしてくれ」

               

竜を車にのこし、鉄はくずれかけた屋敷の前で立ちどまる。

鉄は、はるかにかすむトウキョウ城をながめた。


トウキョウ城は、戦災を受けずトウキョウ市の真中にそびえたっている。


しかし、日本の象徴であったトウキョウ城は、ソ連軍の占領地区にあるのだ。


トウキョウ城をみながら、目測し、磁石をとりだし、方向を確かめる。

例の地図と現在のトウキョウ市の地図を見ぐらべる。      

「どうやら、ここらしいな」        


 鉄は独りごち、江戸時代の旧大名屋敷の庭へ忍びこむ。


トウキョウ市攻防戦の際、かなりの被害を受けたらしく、荒れはてて人影はない。

庭園の池をさがす。池も見るかげもなく、干上がり、形が辛うじてわかるくらいだ。    


(続く)続く090901改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/

漫画の描き方manga_training動画

http://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009 ●

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