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(73)南方からの風

DATE : H27.2.4

TIME : 17:24

STID : 00941724,A0000021,00914582,00991124



「殺す……! お前は絶対に殺す!」


 俺はデスペナルティデュエルで、遂に保科を倒し、その装備を奪った。

 双属性武器の「ブラックマンバ・ブレイド」、強烈な守備力を誇るプレートメイル、そして各種資材。

 最後に、現実価格にして53万円にもなる、ゲーム内通貨。


 装備奪取時間の45秒が終了したその時、保科は叫んだ。


「フィールドマウスッ! こいつら全員、皆殺しにしろ! 数で押しつぶしてしまえッ!」

「分かりましたッ! 皆さん、突撃です!」


 フィールドマウスの命令の元、王室の入り口に居た皆が散開し、うわぁっと雄叫びを上げながら、俺たちに襲いかかって来た。


「コマンド! ライトニング・ブラスト!」


 だが、フィールドマウス……野口さんは、全く分かっていなかった。

 琴莉さん……いや、ティアリがどれだけ強いのかを。


「えっ!?」


 ヤツフネ達との時と同様、固まっていた群衆は、琴莉さんの「ライトニング・ブラスト」で焼き払われる。

 そして、残った連中を俺が淘汰していった。


「な……何だと!?」


 味方の惨劇を見て、オリオンの奴がそんな声を上げるが、その声には驚愕よりも狼狽の色が強かった。


 それはそうだろう。

 先に負けたヤツフネから、俺たちは強いと聞かされていたから、オリオンはまず確実な勝利が見込める「対決デュエル」を望んだのだ。

 なのに敗北したからって、頭に血を登らせての全員突撃とか……。

 愚策ここに極まれり、としか言いようがない。


「待ちなさい! 貴方は私が相手です!」


 味方の窮状を救うべく、フィールドマウスが果敢にティアリに攻めかかる。

 琴莉さんの動きは、一般人より多少マシという程度で、ゲーマーの挙動とは比べるべくもない。


 よって、フィールドマウスの大剣の攻撃は、見事ティアリに命中、そのHPゲージを削ったが……それは全体の1割にも満たなかった。


「何ッ!?」


 フィールドマウスの動揺を無視し、ティアリの片手剣による反撃。

 ズバズバというSE、そして幾重にも閃く剣光。

 ティアリの剣は、あんなに堅かったフィールドマウスの鎧を豆腐のように切り刻み、奴の体力は7割が減った。


「な、何ですってっ!?」


 俺も、その実力差をこの目で見て、うっかり同じように叫びたくなった。

 ティアリと他の連中では、戦闘能力に差があり過ぎる。

 オリオンクラスの連中が10人くらい集まって、完璧にハメきれば勝てるかもしれないが、その状況は今、望むべくもない。


「そんな、バカな……!?」


 つまり、オリオン達にティアリを倒す方法は絶無。

 そう確信できた。

 大剣はガードができない……いや、正確には剣の峰を使ったガードができるが、フィールドマウスの奴は混乱してるのか、反撃の体勢を取る。


「ふっ!」


 だがそれよりも早く、ティアリの連続攻撃の方が先に決まり、フィールドマウスの体力は、本当に……。

 本当にあっさりと0になった。


『おっ、おおおおおおっっ!!』

「そんな! バカな!」


 フィールドマウスと野口さんが、それぞれに断末魔の声を上げて倒れた。


「やった! ナイスだ、ティアリ!」


 俺はそう声を掛けたが、倒れたフィールドマウスを見た時に、多少のもどかしさを感じた。


 遂に保科と野口さんを倒したが……野口さんの装備は奪えない。

 今、ここではイベントによるクラス課金額が、報奨金として手に入るだけなのだ。


「(くそ……これじゃ、また)」


 保科の装備を奪ったことで、連中のPK率は激減するだろう。

 だが、まだフィールドマウスの装備はそのまま残っている。

 それを元手にしての再起は……おそらく可能。


 ……やはり、全部だ。

 全ての装備データをロストさせ、ゲームをリスタートくらいでないと、連中はまだPKしようとするだろう。


 なんとかして、フィールドマウスの装備をも奪う必要がある。 でも、どうすれば……。


「オリオンくん! ここは撤退しましょう! 分が悪すぎます!」

「く……! 覚えていろよ、レオ!」


 だが、他の敵を倒すのに気を取られている間、フィールドマウスとオリオンは、他のメンバーに回復してもらっていたらしく、消滅せずにそこに居た。


「(……あ!)」


 そういう事か。

 消滅してイベントから退場したら、ここに来るまでに稼いだ分もムダになる。

 再起を計るためには、ここで生き残るのが必要条件なのだ。 だから仲間に回復させたのか。


「待て、オリオン! フィールドマウス! ……ティアリ、ごめん! 他の連中を頼む!」

「えっ!? ……う、うん、分かった!」


 俺は速攻でオリオンに駆け寄り、イベントから退場させるべく再び剣を振るうが、それはフィールドマウスに阻止された。


「邪魔はさせません! オリオン、逃げて下さい!」

「逃げるのか、オリオン! お前、それでよく、あれだけのデカい口が叩けたな! 恥ずかしくないのか!」

「何だと!」


 逃げようとした保科だったが、俺の煽りをマジに受けて戻ってきた。 よっしゃ!


「挑発に乗ってはダメです、オリオン! あの方から叱責されますよ! 悔しいでしょうけど、ここは引いて下さい……! 頼みます!」


 だが、再度のフィールドマウスの説得で、オリオンは再びきびすを返し、王室を出ようとする。


「くっそ、この! 邪魔するな!」


 一度倒れたフィールドマウスのクラスは、「ビショップ」から「ゴースト」となっており、パラメータ補正が無くなった分、格段に戦いやすくなっていた。

 だが、もう倒されても構わないという信念が、その挙動からは伺えた。


「(いや、倒す必要はない……!!)」

「!?」


 俺はフィールドマウスの攻撃を弾いてブレードアーツを叩き込み、麻痺させる。


「待て、オリオン!」


 そして、脇を通り抜け、オリオンに声を掛けたが、


「調子に乗ってるな、キリシマ」


 俺に返事をしたのは、別の人間だった。

 と同時に、フィールドマウスが淡い緑白色に輝き、その体力がゆっくりと、だが力強く回復していく。


「えっ……!?」


「これは……!?」


 それは、フィールドマウスにとっても予想外の展開だったのだろう。


「『オートハイヒーリング』だ。 チョコのシールのな」


 先ほどの声が、王室の入り口側から聞こえた。

 そこに居たのは、赤鮮紅色のアバター。

 保科と同じ重装型、角を持ち牙を生やした、まさに悪役そのもののビジュアル。

 この統一性は、明らかにセットの防具……課金装備だ。

 見た目の凝りっぷりからして相当強い、という直感が走る。


「あ、ありがとうございます。 ……でも、ボイスコマンドで入力すると、魔法の威力がアップしますよ」


 フィールドマウスがそう言うと、その紅色のアバターは、鼻で笑って言った。


「はっ、そんな恥ずかしい真似できるかよ。 技の名前叫ぶとか、ガキじゃあるめぇし」


 ……こいつ誰だ?

 いや、この声、どこかで聞き覚えがある。

 誰だ、このアバター。

 中の人は誰なんだ。


「おいキリシマ、遊びは終わりだぞ」


 ……やはり、間違いない。

 というか、俺の記憶では、この声の持ち主は、こいつしかいない。


 でも、まさか、こいつが……。

 なんでこいつが、ここに居る?


「相変わらず返事がねぇ奴だな! さっさと装備を俺に渡して退場しろ、ってんだよ!」


 間違いない。


 赤城あかぎ大輔だいすけ


 ウチのコンビニの店長だ。

 だけど、なぜ、あいつがこの世界ゲームに……!?


「どうした、『キリシマ・レオ』! 返事はァ!!」


 く、こいつ……!

 周りにはまだ生き残ってる奴居るだろうが!

 何、人の個人情報を晒しまくってるんだよ!


 俺は怒鳴りつけたくなる気持ちを必死で押さえ込み、考える。

 元ヤンキーのこいつには、インターネットリテラシーとか皆無だ。

 実名でSNSに犯罪行為をアップする、あの意味の分からない連中と同類だ。

 あいつを放置していたら、バイトの履歴書に書いていた、俺の個人情報が流出しかねない。


 脳裏に、俺の下宿に変な連中が大挙してやって来る、不吉なイメージが湧いた。


 ……こいつの口を、急いで封じなくてはならない。


 そう思った俺は、返事もせずに突撃し、その「ゼファー」にいきなり切りかかった。


「誰だお前! てめぇとか知らねーよ! いいから、そこを退け!」


 このアバターが本物の店長だという事に、疑いの余地はない。

 だからこそ、急いで殺さなくてはいけない。

 だが、知ってて切りかかるのと、知らずに切りかかるのでは相手の反応が大きく異なってくる。


 ワンチャンスをものにするために、俺はワザと知らないフリをして、一気に「ゼファー」を麻痺させ、ぶっ殺すべく襲いかかった。


 だが、それは全く無駄な行為だった。

 ピピピピン、という妙な音がして、俺のブレードアーツは全て弾かれた。

 ……いや、剣はヒットしたのだが、ヒットエフェクト(※剣と鎧が激突時に出る火花など)も、ヒットストップ(※相手にダメージを与えた時に、コンボ防止や演出のために、フォロースルーの描画が少し遅れること)も出ないまま、剣は宙空を流れたのだ。


 そして……ダメージは0、だった。


「な……!? 何だ、これ!?」


 そして、ヒットストップの掛からないその敵には、当然ダメージによるディレイもなかった。


「相変わらずだな! あれだけ説教喰らっときながら、声を聞いても思い出せねーのか!」


 そう言って、「ゼファー」は長刀を構え、俺に向かって一気に攻撃を繰り出してくる。

 その攻撃はブレードアーツを出した直後、フォロースルー状態のマイアバターにヒットし……


『あああああっ!』


 俺のアバターを両断、一撃で全損せしめた。


「何だって!?」


 一撃!? 俺が!? 防御力350越えなのに!?


「本当に覚えてないのか、キリシマ? 俺だよ、店長だ。 アカギダイスケだ」

「店……長? 何で……」


 簡単に自分の名前を喋りやがった。

 こいつらには、本当にネットとリアルの区別なんてないのか……。


 でも、今のは何なんだ。

 俺の攻撃が全く通らなかった。

 そして、一撃で俺を倒した凶暴な攻撃力。


「あ? 俺がリーダーだからだよ。 こいつらのな」

「え……?」


 混乱で、状況を把握するのに頭が付いてこない。

 リー……ダー……? 保科たちの?


「オリオンくん、結局、店長の手を煩わせる事になってしまったじゃないですか! 貴方でしょう、お呼びしたのは!」

「もう、いいじゃないですか! それより、敵のクイーンを倒しましょう、『ゼファー』!」


「そうだな……。 それと保科、『店長』で良いぞ。 カタカナで呼び合うのはどうも慣れねぇ」


 店長の前、いつもの慇懃な感じに戻った保科と野口さん。


「そういう訳だ、キリシマ。 いつもみたいに俺の邪魔はするなよ」


 なんだこれ。 どうしたら良いんだよ。


「コマンド! エクスヒーリング、プレイヤー、レオ!」


琴莉さん……いや、ティアリのその声で、俺は正気に戻る。


 そうだ。

 今は、混乱とかしてる場合じゃない。

 ティアリが、ゼファー、オリオン、フィールドマウスに教われそうになっているんだ。

 俺が……護らなくちゃ!

 彼女の盾にならなくては!!


「いくぞ保科、野口! 50万は貰ったぞ!」

「了解しました!」

「はい、店長!」


 号令と共に、店長の操るアバター……ゼファーは、オリオンとフィールドマウスと共に、ティアリへと襲いかかる。


「何ッ!?」

「えっ、嘘!?」


 ゼファーの攻撃で、ティアリのHPゲージが3割減った。


 お互いに漏らした声は、一撃で倒せなかったこと、またダメージを通してきた事に対する驚愕だったのか。


『てぇい!』


 ティアリが、可憐なキャラボイスと共に反撃を敢行するが、


「えっ!?」


 またもピピピピンという音と共に、その連続攻撃は全て無効化された。


「(嘘だろ……何だそれ!?)」


 その超絶的な攻撃力もそうだが、あのティアリの攻撃が全く通らないとか、どういう防御力なんだよ……!!


「はっは、貰ったぞ!」


 再び、ゼファーの一撃がティアリを襲う。


『きゃーっ!』


 アバターの可憐な声と共に、ドシュッという生々しいSE、そして血を連想させる赤いヒットエフェクトが盛大に咲き、その証拠として、またも3割超のダメージを与えた。

 そして、ティアリのHPゲージは、既に2割を切っていた。


「ティアリ!」


 残り1撃で死ぬ。

 ゲームオーバー。

 50万を失う。


 そんな声が次々と脳裏をよぎったが、


「コマンド! ハイヒーリング!」


 琴莉さんは、震える声でボイスコマンドを完成させ、魔法を唱えた。

 たちまち、ティアリの周囲に淡い緑色の光が浮き上がり、瞬く間にHPゲージを回復させていく。


「レオくん、早く! 時間を作って!」

「分かった!」


 先の「エクスヒーリング」で、瀕死状態から回復してもらった俺も、制限時間の10秒が過ぎ、やっと行動が可能になった。

 「ナイト」のクラスこそ失ってしまったものの、装備は失っていない。

 俺は武器だけを「デュボアナイフ」から「ブラックマンバ・ブレイド」に変更し、保科と野口さんに襲いかかる。


「うおっ!?」

「ええっ!?」


 「対麻痺の護符」を奪ったせいで、野口さんはもちろん、今度は保科もあっさり麻痺した。

 もちろん毒のおまけ付きだ。 

 ……やっぱりいいな、この武器。


「店長、相手は俺だ! ティアリにそれ以上は好き勝手させねーぞ!」

「何だと……!」

「ありがとう、レオくん!」


 店長のアバター「ゼファー」は、きびすを返し俺に襲いかかってくるが、俺は後退してティアリから距離を取る。


 ティアリが魔法石を使用すると、MPが大きく回復した。

 ……よかった、魔法が打ち止めになる所だったのか!


「ダミースペル、キャストオフ!」


 だが、琴莉さんがそんな事を言った瞬間、彼女のMPゲージはすーっと0になる。

 そして画面が完全に暗転し、周囲にバチバチという紫の稲妻が出現した。


「リージョンコード03、『ブラック・テンペスト』!」


 そして、紫電が伴う黒い竜巻が、画面を覆い尽くした。


「おおおおおっ!」


 さっきの魔力回復は、これのためだったのか……!!

 っていうか、ティアリはこんなのも使えたのかよ!?


「うわあああああっ!」

「ぎゃあああっ!」


 荒れ狂う竜巻に巻き込まれ、保科の操る「オリオン」と、「フィールドマウス」のHPは、またも0になった。


「(マジかよ……!)」


 あまりに強烈過ぎる魔法。

 だがそれを見て、俺の中には疑念が湧いた。

 うすうす思っては居たのだが、ティアリは強すぎる。

 琴莉さんはティアリの強さが課金だと言っていたが、本当はチートなんじゃないのか、とここに来て思い始めた。


「(アドミニ……イターログイン・メソッ…コード07、パーパス、インテグレ……ニット……ード……000021、アバ……ム ”ティアリ”キャ……オフ)」


 脳裏に、ログイン時の琴莉さんの妙なボイスパスワードが再生される。

 今思えば、あれもそうだった。

 そして、「ダミースペル」という語句ボイスコマンドで起動していた、この魔法が、チートじゃないのなら。

 真っ当な自分の実力なのなら。


 ……オリオンたちとの最初のエンゲージ、その時点でこの魔法を使えば良かった。

 でも、琴莉さんはその絶好のタイミングで、これを使わなかった。


 考えられる理由は一つ。


 おそらく……何か後ろめたいことがあって、琴莉さんはこの魔法を使うのを控えていた。

 使わなくてもクリアできる、そう思っていたのだろう。

 だが、このゼファーという途轍もない敵の出現で、自分が隠していたものを出さなくてはならなくなった。


「(琴莉さん……?)」


 俺はタブレットから、顔を上げて、現実の琴莉さんの顔を見た。

 彼女は必死だった。


「凄い魔法だな……。 保科たちは死んだか? だが、俺には通用しないぞ」


 だが、ゼファーはタブレットの中で、何事もなかったように存在していた。

 そのHPゲージは……全く減っていなかった。


「何よこれ……!? こいつ、何なの!?」


 初めて聞く、琴莉さんの混乱の声。

 

 だけど、俺はこの手の発言を、今まで数多く聞いてきた。

 対戦格闘ゲームで、強キャラを使ってるくせにボコられる連中が、よくこんな悲鳴を上げていたのだ。

 現実において、チートプレイヤーが無双できるかというと、全くそんな事はない。


 何故か。

 理由は簡単で、弱いからだ。

 チートプレイヤーは、弱い。

 というより「弱いからこそチートに頼る」のだ。


 もちろん、並外れたパラメータによって、地を舐めさせられる事が多いのは間違いないが、チートプレイヤーには戦闘経験の引き出しが根本的に少ない。

 瞬く間に分析、弱点を暴露され、そこを突かれて倒される。

 真の強者の前には、チートプレイヤーすら凡夫に成り下がる、それが俺たちゲーマーの常識だった。


「終わったな! ティアリというのか!? 女、報酬の50万は貰ったぞ!」

『きゃあああーーっ!』


 店長のそんな声と共に、再び繰り出される斬撃で、ティアリのHPゲージは再び危険域へと達する。

 現実の琴莉さんは、タブレットを握りしめながら震えていた。


 ……マズい!!


「待て、店長! 彼女に手を出すな、俺が相手だ!」


 そう言って俺は切りかかる。


「邪魔するなっ! 俺の邪魔をしたら、お前から先に殺すぞ、キリシマ!」


 元ヤンキーである店長から、そんな事を言われると胃にズンと来た。

 だが、それどころじゃない。

 琴莉さんは恐怖で手が縮こまっており、HPは残っているが、もう実質的には戦闘不能状態に陥っている。

 俺がカバーしないと、このまま負ける。


 50万を奪われ、琴莉さんに呆れられる。

 そして、保科と店長が、俺をゲームの中で倒して、拍手喝采する……。


 そんなイメージが、一瞬思い浮かんだ。

 だが、それを脳裏に浮かんだ瞬間に、絶対に負けるものか……!という闘志がメラメラと沸き上がってきた。


 大切な事、護らなければならないことは沢山ある。

 だが何よりも、ゲームでこいつらに遅れを取る、という事は絶対に認められなかった。

 俺が愛してきたゲームで、心血を注いできたゲームで……。

 こいつらリア充に簡単に負けるという現実は……絶対に認めてはならない!

 断固、拒否しなければならない!


「うるせぇよ! 女をビビらせてそんな嬉しいのかよ、このカス店長! 先に俺の方から倒してみろ!」

「何だと!」

「威勢が良いのは口だけか! どうせ口だけヤンキーだったんだろうが!」

「キリシマァァァアアッ!!」


 だから、俺は店長を煽った。

 もちろん危険は感じている。

 店長のこの口調は、本気でキレてる時のそれだ。

 だけど、絶対に琴莉さんは倒させない。

 ……倒させるものかッ!

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