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43/116

(42)頭上から参上

DATE : H27.1.28

TIME : 17:22

STID : 00941724,00187632,00187839,00392354


「レオ、ここでいいか? タイミングを決めたら、合図をくれ」


BOT対策ユニットである「フローズン・タランテラ」との戦闘中、タブレットから顔を上げると、対面に座る龍真の顔には、もう何の表情もなかった。

完全に興味を失っている…。

そんな顔だった。


これはマズいと思ったが、今はこの蜘蛛をどうにかする方が先決だ。

そう思った俺は、「そこで良い、頼むぞバール!」と言い捨てて、再びゲームの世界へと意識を集中させた。


さっきのムラサメとの会話で、奴が何を狙っているかは分かる。

俺と奴の体力も残り少なくなってきた今、短期決戦で、奴が本当にイベントボスかどうかを確かめる気だ。


「レオ、頼むぞ!」

「お前こそな、ムラサメ!」


俺たちはロクに打ち合わせもしないまま、でも相手の思惑はこうだ、という思考はピタリと一致した。


「バール、頼む!」


その声に合わせ、バールハイトが回復薬を使おうとすると、


「ギョギュアァァアアアァァアーーーッ!!」


思ったとおり、フローズン・タランテラは、エスケープキャンセラーにて妨害行為をしてきた。

それを俺はガードして、俺の背中に位置するムラサメを守る。


「…頼むぞ!」

「任せろ! 食らえ、サザンナイト・エクスプレス!」


エスケープキャンセラーの硬直後に、ムラサメはボイスコマンドでのブレードアーツを次々と炸裂させ、打倒不可かと思われていた、フローズン・タランテラをよろめかせ続ける。


「バール、次の回復薬を頼む!」

「もうあまり数はない! あと2個だぞ!?」


だがそう良いながらも、龍真は回復薬を使ってくれた。


「ギョギュアァァアアアァァアーーーッ!!」


体力と資材に余裕はなかったが、攻撃パターンの分かった相手など、もう恐ろしくはない。

ミスしないように、細心の注意を払いながら、俺はムラサメを守り続ける。


「これが最後だ! 必殺、サザンナイト・エクスプレス!」


そして、俺たちが目標としていた、前足全てにダメージを与えた時…。

俺たちの読みどおり、フローズン・タランテラは、ぐらりと大きく傾いたかと思うと、ズシーンと音を立てて倒れた。


「やった、ムラサメ!」

「やったぞ、レオ!」


だが、フローズン・タランテラは、起きあがろうと足をもがかせる。

敵の体力を削れた訳じゃなかろうし、しばらくすればまた復活するだろう。

ここが最後のチャンスだ!


「食らえッ!」

「食らえ、サザンナイト・エクスプレス!」


俺は顎、ムラサメは胴体に周り込み、そこにお互い手持ちのブレードアーツで、最大の破壊力を持つ攻撃をブチ込んだ。

すると、今までの硬質な音とは全然違う、ズシャブチャアという生々しい音が、派手な赤いエフェクトと共に轟いた。


「ギョエェェエアアアアーー!」


そして、そんな派手な叫び声と共に、蜘蛛はさらに仰向けにひっくり返り、キラキラと光る何かをまき散らした。

アイテムだ、と俺は直感して、キラキラ光るそれを拾うと、「『アシッドペイン』を入手しました」とログが出た。

名前の前には、剣の形をした小さなアイコンがあったので、やった、武器を入手した…!と思ったその時。


突如画面に他プレイヤーの影が現れ、俺は背中から斬られた。


「!?」

「やっぱこいつ、イベントボスじゃねーか! お前等、嘘付いてやがったな!」


俺を斬ったのは、黒い装備に身を包んだ「ウルタン」というプレイヤー。

彼の怒鳴り声がまるで合図だったかのように、残ったプレイヤーはうわぁ、と歓声を上げながら「フローズン・タランテラ」に蟻のように群がる。


「倒せ倒せ!」

「わっ、何か出てるよアイテム! 何これ、スクロール!?」


…バカ、そいつは一時的にダウンしてるだけで、倒せた訳じゃないんだぞ!


「お前等何やってるんだ!? そんな事してないで、早く逃げろよ!」


俺はそう声を掛けたが、「ウルタン」に遮られる。


「その手は喰うか! お前こそどこかに行っちまえ! これ以上俺たちを騙しやがったら、次は本当に殺すぞ!」


ウルタンにまたも切りつけられ、俺は恐怖を感じて逃げた。

さっきの1時間の狩猟で、回復薬の数は残り少ない。

体力が減っている今、もし万一、ガチの戦闘になったら危険だと思ったのだ。

俺は距離を取って、回復しつつも叫ぶ。


「嘘なんて付いてない、俺はお前たちを助けたんだぞ…!」

「じゃあ、何でアイテムが出てるんだ!? これはボスだって証拠だろうが!」


それは…確かに。


反論できず俺が固まっていると、龍真がタブレットから顔を上げ、俺だけに聞こえるように


「レオ、まともに説得しようとしても無駄だぞ」


と囁いた。


でも…!


「ギョギャアアアーーッ!」


だが、俺が逡巡している最中、「フローズン・タランテラ」はダウンから復帰したのか、いきなり跳ね起き、物理法則を完全に無視しきった大ジャンプで崖に飛び移ったかと思うと、そのまま壁を垂直登坂して、山の向こうへと消えてしまった。


「ああ…」


だが、呆然としているのもつかの間だった。


「…おい。 お前等、あのボスからのドロップアイテム渡せよ」


「…は?」


「ズルした分、俺たちにも分けろってんだよ!」


さっき、俺に切りかかってきたアバター、「ウルタン」がそんなムチャクチャな事を言ってきた。


「囲め! こいつらを逃がすな!」


その男の号令を前に、たちまち囲まれる俺たち。

3つの輪はやがてまとまり、俺たちは一カ所に押し込められた。

ウルタンが一歩前に出て、俺たちに威圧的に話しかけてくる。


「なぁ、お前等…。 レオ、って言うのか? お前等、この敵がピースキーパーじゃなくて、イベントボスだって知ってたんだろ? エネミーアナライズで判明したとか、ウソこきやがってよぉ…。 卑怯にもほどがあるだろ」


俺はカッとなって、語気強く反論する。


「卑怯…? だから、嘘じゃないって言ってるだろうが! 何の理由でそんな言いがかりつけてんだ!?」


だが、相手も一歩も譲らぬ口調で返してきた。


「普通のピースキーパーはダメージも与えられないし、アイテムもドロップしねぇ! 下に居たレッドギルドみたいに、お前等もアイテムや金を独占しようってクチだろうが! そんな奴、俺は絶対許さねぇぜ!」


そうだそうだ、いいぞウルタン、もっと言えという声が聞こえる。


…ぐ。


「…龍真、もし、『転移の魔法石』の使用モーション中に、攻撃を食らったらどうなる?」


俺はタブレットから顔を上げ、小声で聞く。


「魔法石は消滅し、効果はキャンセルされる。 回復薬やスクロールと同様に、な」


くそ、やはり「モンスターバスター」と同じ仕様か。

これじゃ、緊急脱出は不可能じゃねぇか。


「おい、どうするんだよ、レオ…!」


ムラサメがそんな事をシングルで聞いてくるが、どうしようもねぇだろ、これ…。


「仕方ない。 交渉で妥協点を見いだすか、何か隙があった時に逃げ出すしかないな。 『転移の魔法石』の用意をしてくれ、僕が代わろう」


バールのその指示に、俺は頷く。

もう、ここからは、龍真が上手く相手を丸め込んでくれるのを期待するしかない。


「殺されたくなかったら、有り金全部出せ!」


相手の要望はエスカレートし、遂にそんな事を言いだし始めやがった。

だが、バールハイトは微塵も動揺せず、相手の主張を無視して論理を展開し始めた。


「ちょっと待ってくれ。 僕らは名前を見て分かるとおり、オレンジでもレッドでもない。 悪意で君らを騙そうってした訳じゃないんだ。 そして、『エネミーアナライズ』で相手がピースキーパーだと判明したのも事実だ。 その証拠に、相手は『エスケープキャンセラー』を使っただろう?」


「だが、あの敵はアイテムをドロップしたぞ! それがイベントボスだという、何よりの証拠だろうが!?」


「確かにそうだな。 なら、事実を総合するに、あの敵はピースキーパーとイベントボスの混合体、って事だ。 おそらくは、このイベントで儲けすぎたプレイヤーを排除するためのユニットなんだろうが…。 とにかく、僕らはアイテムを独占しようとした訳じゃない。 そもそも、奴をイベントボスと確定できたのは、アイテムドロップの時点で、だろう? その前は僕らもピースキーパーだと思っていたぞ」


龍真の奴、流石だな。

あのピースキーパーが、実はイベントボスではないかと真っ先に疑っていたのは自分なのに…。


「でも…!」


「だからこそ、ここの『レオ』は皆に逃げろと言ってたんだぞ。 それに、イベントボスなら、むしろ皆で戦った方が効率良いんじゃないのかな?」


「…ぐ」


「それに、君らも多少なりと、アイテムをゲットしたんだろう? なのに輪をかけて有り金寄越せとか、まるで強盗じゃないか。 言いがかりも恥ずかしくないのか?」


「…」


龍真の理路整然とした弁舌に「ウルタン」は遂に黙ってしまう。

戦闘で役に立たなくても、この圧倒的な弁士っぷりは流石だぜ、龍真。


「でもよ、卑怯だって思わないか、なぁ!」


形勢不利とみたウルタンが、周囲の皆に同意を得ようと声を張り上げる。

だが、その返事はとても奇妙なものだった。


「どうでもいいに決まってるだろ、そんなの」


…? どうでも、良い?


「…あ!? どうでも良いって、どういう事だよ!?」


「だって、お前等全員死ぬんだぞ。 このバカな会話、いつまで続ける気だ? どうでも良すぎて超笑えるよ」


その声に、俺は聞き覚えがあった。


「(オリオン…!?)」


そして、人影で見えにくかったが、群衆の足下にはいつの間にか、爆弾が置かれていた。


「ヤバい、爆弾だ! みんな逃げろッ!」


だが、警告した次の瞬間にはもう、凄まじい炸裂音と爆風が画面を覆い尽くしていた。


「うわぁッ!?」

「ぎゃあッ!」

「何だこれ!?」


いち早く気づいた俺はガードで爆風を防いだが、その場に居たプレイヤーのほぼ全員が、いきなりHPゲージが全損したことで驚愕の悲鳴を上げた。


「バール、ムラサメ! 大丈夫か!?」

「僕は大丈夫だ、今回はDアイコンのおかげで助かった!」

「レオ、バール、助けてくれ! 回復を頼む、早く!」


…ムラサメの声だ。 

あいつ、爆死したのか!


「どこだよ、ムラサメ!」

「ここだって! 早く!」

「って、どこだよ!」


画面はまだ一様に爆弾の白煙に覆われ、奴がどこに吹っ飛んだのか分からない。

そして白煙が徐々に薄くなるにつれ、こないだのネージュ村と同じ光景が現れた。

雪原に多数横たわる、プレイヤーアバターの数々。

死屍類々、という言葉がこれほど似合う光景もなかった。


「何だよこれ! 誰がこんな事しやがったんだよ!」

「誰か、誰か回復してくれ…!」


死体状態のまま、回復を求め叫ぶ皆。

悲鳴渦巻く中に立っていたのは、俺と龍真、そして


「…オリオン!」


巨大なラウンドシールドを装備した重装騎士。

間違いない、オリオンだ。


だが、その背中から、新たに2人のメンバーが出てきた。

一人はピンク色の髪型、優麗な装備から、こないだの「ミルフィーユ」だと想像できた。

だが、新たに現れた緑色の巨漢アバターについては知らない。 仲間を増やしたのか。


「ねぇ、この赤い奴を剥ぎ取れば良いんだよね?」


そう言いながら、ミルフィーユは、爆死したアバターのうちの一人に近づいていく。


「そうだ、そいつがあの『炎神剣』を持ってたからな。 売れば良い値段になる」


「…!!」


ムラサメが、ひいっという声にならない悲鳴を上げた。


「止めろ、オリオン! そんな事、許されると思ってるのか!?」


爆風の削りダメージで体力は大幅に減っていたが、俺はミルフィーユの剥ぎ取りを阻止しようとする。

だが、緑色の巨漢アバターが俺の行く手を阻んだ。


「…おっと。 邪魔は止めて下さい、レオくん」


割り込んできた相手の無防備な様子に、俺は一瞬怯んだが、


「止めろ、僕の炎神剣…! お前等、やめろ、やめろって、マジでぇ…!!」


ムラサメの絶叫にも似た悲鳴を聞いて、俺の怒りは最高潮に達した。


「そこを退け、この野郎! ムラサメが!」

「せめて、斬られてあげますから…。 私どもの邪魔はしないで下さい」

「何言ってやがる!」


俺はレッドプレイヤーになる事も辞さない勢いで、ブレードアーツを使い、その緑色の巨漢「フィールドマウス」に切りかかったが…。


「!?」


猛烈な剣戟を迸らせたのに、敵の体力は1割も減らなかった。

何だこれ!?

まさか、この圧倒的防御力があるから、斬られてやる、みたいな余裕カマしてるのか?

どんだけ課金してるんだ、こいつら!?


「止めろー! 止めてくれよぉ、畜生ぉぉおっ…!! あぁぁあぁあ…!」


ミルフィーユに上にのしかかられ、ナイフで切り刻まれるムラサメ。

このゲームでは、プレイヤーから装備を奪う際も、モンスターをナイフで解体し、素材を剥ぎ取るモーションをそのまま流用している。


「オリオン、『ムラサメ』の剥ぎ取り終わったよ」

「こっちもだ。 この『ウルタン』、案外に良い装備を持ってたぞ」


「このクソどもがっ! お前等、リアルが分かったら、絶対殺してやるからな! 殺してやるからな、分かったかッ!」ウルタン。


「負け犬が何か言ってるぜ。 じゃ、次行こうか、ミルフィーユ」

「だね、オリオン」


「やめてくれー! お願いだ、装備を剥ぐのは止めて…!」

「止めろ、止めろよぉっ! 半分くらいにしてくれよ!」


オリオンたちが近づくと、途端に絶叫するプレイヤー。


「しかし、うるせえよなこれ。 毎度の事ながら」

「さっさと剥いで終わらせちゃおうよ」


まるでマンドラゴラの収穫みたいに、オリオンとミルフィーユは、行動不能になって身動きできないプレイヤー達から、次々と装備を剥ぎ取って行く。


「止めろ、オリオン! 何でお前等、こんな事をする!?」


龍真の家、しかも夜だってのに関わらず俺はそう叫ぶが、オリオンはプレイヤーから装備を剥ぎ取る手を止めずに、軽い調子で答えた。


「何でって、教えてやった事あるだろ? これは『バカを狩るゲーム』だからだよ」


バカを狩る、って…。

お前、人を何だと思ってるんだ。

騙して殺して金品を奪うとか、最悪じゃないか。


「そんな卑劣な事が、人として許されると思ってるのか!?」

「ウゼぇよお前、たかがゲームだろ。 それに、これPK以外の方法で何か儲ける方法があるか?」

「それは…。 イベントとか、あるだろ…」

「お前、やっぱバカ組だな」


一通り装備を剥ぎ終えたらしいオリオンが、俺の方に近寄ってくる。 俺は恐怖感から、反射的に距離を取った。


「だからこそ殺すんじゃねーか。 儲かった奴を狙う、これが一番簡単」


その、人として何か大事な物を捨て去った台詞に、俺は呆然とし、ただあっけに取られる事しかできなかった。


だが、その言葉で思い出した事もある。

有名人なんかがブレイク後、儲けたお金でお店を始めたものの、あっという間に潰れて没落するという話。

そして真にうま味を得たのは、彼らを誉めて煽てて、店舗経営に投資させた奴らだ、とも。


「で、レオ。 お前はまた僕の邪魔をするのか?」


オリオンが悠然と話しかけ、ミルフィーユとフィールドマウスが、俺とバールを取り囲む。


「ま、邪魔しようがしまいが、殺すけど」

「…オリオンくん、ちょっと口が悪くないかい」

「良いんですよ、フィルさん。 ここ…ネトゲの中では、自分を飾る必要なんてないですから」

「君が、そんな人間だとは思わなかったなぁ…」

「でも、楽しいでしょ?」

「…まあ、ね」


相手は重装備の3人、こちらは2人。

だけど、対人戦で龍真が力になれるとは、とても…。

畜生、1人でどうにかなる相手なのか、これ。


「お前ら…こんな事して、恥ずかしくないのか?」

「別に。 この世の中は弱肉強食。 弱い奴が狩られて当然。 恥ずかしいとか、負け犬の遠吠えにしか聞こえないね」

「く…!」


じりっじりっと、オリオン、ミルフィーユ、フィールドマウスが近づいてくる。


「(…ヤバい、何かチャンスないのか。 このままじゃ確実に狩られる…!)」


だが、俺がそう思った時、


「いやぁ、全くその通りですな! 弱肉強食! 良い言葉だねぇ!」


突如、周囲にそんな声が轟いた。

誰だ!? 

辺りには誰も居ないのに…!?


「コマンド! 『レビテーション』!」


さもありなん、声の主は、頭上から降りてきたのだから。


「…先輩!?」


崖の上から飛び降りてきて、そして「レビテーション」でふわりと地上に着地した連中は…。


「待たせたな、レオ!」


片手剣の騎士アバター「Bara」。

弓を装備したレンジャーアバター「GunーBlaze」。

重装備の槍兵アバター「バストーク」。

日本刀を模した両手剣を持つ侍アバター「ヤツフネ」。


という、今の俺にとっては錚々たるメンバーだった。


「先輩…何でここに!?」

「何でって、これが俺たちの真の目的だからだよ。 こいつら、最近急にのさばってきたPKプレイヤーなんだ」

「そうそう。 新参を狩りまくってる極悪な連中だから、俺らが正義の鉄槌を下してやろう、って訳」


「Bara」こと南原先輩と、「GunーBlaze」こと西川先輩が、そう説明してくれる。


「っと、その前に…。 こいつ、お前さんの仲間だろ。 大サービスだ」


南原先輩は、ムラサメに対して何かのアイテムを使う…と、ムラサメはむくりと起きあがった。


「『エリクサー』だぜ。 体力全回復の上、行動不能時間が10秒にまで減少する」

「先輩…!」

「逃げろ、レオ! このムラサメさんの剣は取り返してやるから、山の頂上で逢おうぜ!」

「わ、分かりました!」


先輩、よく事情を把握してるな…。

もしかして、山の上からずっと見てたのか、という思いが、ふと頭をよぎった。


「おい、行こう! ここは危険だぞ、レオ!」


だが、俺は龍真に促され、その思考を中断し、皆と共に頂上を目指す事にした。


「はぁ、僕たちをわざわざ狙おうと? ご苦労な事で」

「オリオンさんよ、今まで稼いだ分、ここで全部吐き出して貰うぜ!」

「言ってろよ、このオタク野郎ども。 できるもんならやってみろ」

「うるせーよ、このDQN! それが可能だからここに来たに決まってんだろ!」


背中では、オリオン達と先輩達が、今まさに激闘を繰り広げようとしていた。


<続く>

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