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(2)同僚、従姉、友人

DATE : H27.1.27

TIME : 19:55

STID : *UNKNOWN*


俺は保科と共に、国道幹線を二人自転車で走り続けながら、バイト初日のトラブルの話を続けていた。


「うわぁ、その話、超重たいんですけど」

「だろ。 しかも、その後にもさらに凹む事があったんだ」

「もう聞きたくないスよ、大体分かりましたし。 店長に怒鳴られたんでしょ?」

「そう。 『お前みたいにキョドッてるとなぁ、ガキがつけあがるんだよ! しっかりしろや!』って。 …はぁ」

「ま、それ災難でしたけど、原因が礼雄君にある訳じゃないし、別に良いじゃないスか」

「…いや、そうでもないんだ」

「? どういう意味です?」


俺はふー、と呼吸を整えると、あの日の会話を脳裏に思いだしながら、保科に説明した。


「店長は、あの少年の事を『常習犯』だと知ってた」

「それが?」

「今だから分かるんだけど、店長は体験的に『研修中の人間がレジに居る時は万引きが増える』って事も知ってた。 だから僕を囮にして、かねてから目を付けてた、万引きの常習犯を捕まえようとしてたんだと思う」

「いや、それ考えすぎじゃないスか?」

「でもそうでないと、コミックスをスリ取る一瞬を押さえるなんて、出来ないと思うんだよ」


そして事実、この事件によって、万引き被害額は激減した。

日額2万、月額で60万も改善できたぜ、と店長は笑顔で言っていた。


「それがムカツく、ってんですか? 囮扱いされた事が?」

「いや、それも正直どうでもいい」

「じゃあ、一体何だってんスか!」

「あの、万引きしてた子な…。 パトカーに乗る前、両親にね、自分はイジメられてたって言ったんだ。 クラスメイトに脅されて、仕方なく万引きしてたんだって…」

「ふーん…。 でも、それ証拠がないですよね。 責任逃れの作り話の可能性もありますよね」

「でもあの子、パトカーに連れていかれる時、両親と店長と俺を睨んだんだよ。 俺の気のせいかもしれないけど、あの話は、本当だと思えた」


表現こそ抑えたが、本当はあの時、コウタ少年は周囲全ての人間に向けて、憎悪に満ちた視線を向けていた。

煮えたぎる怒りと、心からの悲しみ。


自分を守りきれなかった両親、自分を連れていく警察、自分を捕まえた店長、そして俺。

その場に居た皆を、コウタ少年は涙と共に憎悪を込めて睨んだ。


俺はショックだった。

これが現実なのか、と。


「あの時…。 俺がもっとしっかりしてたら、あんな事は起こらなかったのかな、って思うんだ」

「いや、それ考え過ぎですよ。 大体、その少年が万引きしてた事実には代わりないでしょう?」


いや、それは確かにそうかもしれないが…。

あの対応で良かったのか、と今でも疑問に思うのだ。

話も聞かずに、コウタ少年を警察に引き渡すなんて…。

彼自身は、イジメられて脅されて、やむなくやっていただけかもしれないのに。


「とにかく、先輩が万引き嫌いなのは分かりました! でも、それはそれとして、もうちょっと周りと上手くやっていくコツ、覚えましょうよ」

「…俺、そんなヒドい?」


すると、保科は「はぁ」とため息をつき、俺が奢ったコーヒーの空き缶を、プラプラさせながら言った。


「缶コーヒー、ごっそさんです。 でも俺、コーヒーは無糖派なんですよね。 せっかく奢ってくれるんなら『何が良い?』とか『今日はフォローありがとな』とか言った方が良いと思うんですよ。 そしたら、相手の事も知れるし、話も広がるじゃないですか」


そして、チャリを止めると、そこにあった自販機横のカゴの中に、空き缶をスコーンと投げ入れた。


「もうちょっと、空気読む練習しましょうよ。 4月には、もう大学3年でしょ? 就活でしょ? このままじゃマジヤバいすよ、礼雄君」


それを言われては、俺は返す言葉がなかった。


「じゃ、俺こっちですから。 おやすみなさい、礼雄君」

「あ、ああ。 おやすみ」


俺は、保科の背中を見送ると、大きく息を吐き、再び夜気の中をチャリで走り始めた。

白い息が、吹き付ける風で後ろに流されていく。


俺は…どこに行くんだろう。

遅くとも、俺の未来は、もう2年後には決定してしまう。

その時俺は、どんな仕事をして、何をやってるんだろう。


「確か…小学生の時の文集には、プロ野球選手になりたいとか書いたような…」


でもそれは、何も分かってなかった、子供の頃の事だ。

見上げた一面の星空には、月が静かに、煌々と輝いている。

4列の国道幹線と街路樹、その脇に立ち並ぶ巨大なビル群…この宇園市のオフィス街。


「無職は…流石にヤバいよな…」


保科が何か言いたそうな顔が、脳裏にチラと浮かんだ。

思わず苦笑した俺は、下宿のある北部バイパスまで、氷のように冷えきった夜気の中を、自転車こいで突っ走り続けた。



DATE : H27.1.17

TIME : 20:07

STID : *UNKNOWN*


「ただいまー! うわぉ生き返るぅ~」


下宿に帰りつき、暖房の効いた居間に飛び込むやいなや、俺はダウンジャケットを脱いでエアコンの下に走り寄り、熱風を存分に浴びた。

冷えきった手を揉みながら食堂に入ると、俺の分であろう食事には、ラップがかけて置いてあった。

今日のメニューは…豚汁と白身魚のフライか。 

温めて食べよっかな。


「あ、おかえり! 礼雄、今バイト終わったの?」


おかずをレンジでチンしてると、階段の上から声がして、黒いストッキングの女性が降りてきた。

誰だかはもう分かってる。


「ああ、今日も大変だった」


俺はレンジから温まった夕飯を取り出しながら返事した。


「うんうん、お姉さんは礼雄が更正して嬉しいぞ。 明日も頑張りなさいよ」


二階から降りてきた、黒髪ポニーテールの女性は神崎明香理こうざき・あかり

亡くなった美晴叔母さんの長女で、つまり俺の従姉弟。

この下宿のすぐ近くにある「宇園女子純心大学」に通う、花の女子大生だ。


「はい牛乳、たんと召し上がれ」


あかり姉ちゃんは、冷蔵庫から牛乳を取り出すと、マグカップに並々と注ぎ、俺の夕飯に添えてくる。

牛乳はあかり姉ちゃんの子供の頃からの大好物で、そのせいか彼女の身長は170cmと、俺よりも全然高い。

しかも胸もかなりデカい。


「いや、今更もう身長とか伸びないし…」

「背は伸びなくても、体には良いから飲みなさい」


まるで母親然とした物言いに、俺はふぇい、と情けない返事をしながら、手を合わせて夕飯を食べ始めた。


「仕事はどう? コンビニのバイトも、最近は覚える事多くて大変って聞いてるけど」

「いやぁ、3ヶ月経ったけど、まだまだ慣れないよ。 今日もトラブってさぁ…」

「トラブル? 何の?」


俺は今日の、万引きオッサンの件を話して聞かせた。


「なぁ…どう思う? これ、俺の対応が悪いのかな」


そういうと、あかり姉ちゃんは腕組みをして「うーん」と悩んだ。 胸が豊か過ぎるせいで、胸の下に手を入れて腕組みする癖があるみたいなのだが、その胸を持ち上げる動作が、やたらとエロい仕草なので、視線のやり場に困る。


「礼雄は悪くないと思うけど…。 でも、言い方があると思うのよね。 その場の空気、ってのもあるじゃない? 礼雄は良くも悪くも、正直過ぎなのよ。 もっと和やかにやり過ごさなきゃ」

「それは後輩にも言われるけど…。 それって、悪い事なのかな」


何だかそういう、良いこと悪いことを曖昧にしてしまうのは…。

ちょっと、納得がいかない。


「良いとか悪いとかじゃなくて、お父さんが言ってたけど、日本の社会は人情で出来てるそうよ」

「人情?」

「そう、お互い協力して働くのが、日本の会社の特徴…。 チームワークが一番大事なんだって」

「それじゃあ、俺みたいに『協調性がない』人間はダメなのかよ」


そう拗ねて言うと、あかり姉ちゃんまで苦笑した。


「相手の意見や立場を思いやるのが大事なのよ。 少しくらい自分が譲歩しないと。 コンビニとか、いい経験だと思うわよ」

「そういうもんかな」

「いずれ、社会に出れば、もっともっと体験することになるわよ」

「あかり姉ちゃんも絶賛体験中なのか?」


あかり姉ちゃんは俺より1つ年上の大学3年生。

秋から早々と就職活動に入ったが、まだ内定は取れていない。


「そうね、面接も連戦連敗中。 大人の仲間入りって、大変」


御社のために働きたいです、的なアピールは間違いじゃないと思うんだけどなぁ、とあかり姉ちゃんは笑いながら首を振った。

…苦労してんだな。


「ごちそうさま」

「あ、食器は洗うから置いといて。 それと、叔父さんと叔母さん、最近礼雄から電話なくて寂しそうよ」

「…分かったよ、電話しとく」



DATE : H27.1.17

TIME : 21:39

STID : *UNKNOWN*


俺は自分の部屋に入ると、あかり姉ちゃんに言われたとおり、ケータイの電源を入れる。


「うおっ」


すると、不在着信メッセージが複数届いていた。

タイムスタンプを確認すると、1時間おきぐらいに定期的に連絡してくれてたようだ。


差出人は…「藤宮 龍真ふじみや・りょうま」?


はぁ? なんでアイツが俺に電話を?

なんかあったのかと、俺は即座にリダイヤルした。

だが、何度コールしても、全然電話に出ない。


何だ、どうした? まさか事故に逢って、助けを求めてるとか?

…いや、アイツなら他に助けようとする奴が一杯居るだろうし、それはねーよな。

しばらく相手からのコールを待っていたが、全然返答がない。

事故じゃないなら、この時間帯なら風呂だろうか。


なので、俺はベッドに転がって、ケータイで巨大掲示板「@ちゃんねる」のまとめサイトを見ながら待つことにした。


そのうち電話かかってくるだろ。


俺は「身近にあったエロい出来事を語ってけ part23」のスレで気になってた話題「歯医者行ったら、歯科助手のお姉さんの胸が頭に当たってラッキースケベ」の話を読み始めた。

相変わらず、ここの住人の「妄想乙」「ハゲだと胸の感触がよく分かるよな」「今日から歯磨くのやめるわ」という軽妙な応酬の嵐は噴いてしまう。

だが、>136のアンカー(※掲示板で言うところの罰ゲーム)で「歯科助手のお姉さんに告白」という流れが盛り上がりを見せてきたところで、ケータイが突如鳴り出した。


画面に現れたのは、「藤宮 龍真」の名前。


こ、このタイミングでか…。


「はいもしもし、桐嶋でーす」

「おお、礼雄か。 悪いな、かなり待っただろ?」

「いや、全然。 むしろ腹立たしいくらいだ」

「あ、スマン、何かしてたのか?」

「いや、何でもない。 っていうか、お前が俺に電話って珍しいじゃん。 事故にでも会って、助け求めてるのかって思ったぞ。 何の用事だ?」


そう聞くと、龍真の奴は、ふふ、と含み笑いをしながら答えた。


「ま、ある意味では正解だな」


…? 何?


「助けて欲しいんだ、お前に。 お前の得意なゲームで」


…はぁ?


「『助けて』って、何かクリアできない所でもあるのかよ?」

「いや、率直に言えば、一緒にプレイして欲しいんだ。 あるゲームを。 僕の友人の中では、お前がこれに最も適性がある、と思って電話した」

「珍しいな、お前が俺を誘うなんて…」


まして、ゲームなんぞに。

背高くて、イケメンリア充で、彼女も居て、将来の夢は官僚、のお前が?


「『還魂のリヴァイアサン』って、聞いた事あるか」

「…って、あのソーシャルゲームの?」

「そうだ」


『還魂のリヴァイアサン』…。

テレビのCMで見たことがある。

アイドルグループの5人組…。 何だっけ、「TONIOトニオ」?

そいつらがさわやかな笑顔で「リッ♪リッ♪リヴァイアサーン♪」とか「僕たちと一緒に冒険の旅へ!」とか言ってた奴だ。

簡単操作のなりきりRPG…ってのがウリだったような。


「悪いけど、パスさせて貰っていいか」

「何故だ!?」 


意外という口調で、藤宮が聞き返してきた。


「今、バイトが忙しいんだよ。 ゲームしてる暇ねぇんだ」

「だが、かなりお前向きの仕様だぞ。 絶対に気に入る」


俺向き…って、お前が俺の何を知ってるってんだよ。

高校生の時は確かに世話になったが、そこまで深い仲でもなかっただろ。


「まず、『還魂のリヴァイアサン』は、本格的なMMORPGなんだ。 お前好きだろ」


そ礼雄聞いて、俺はちょっと絶句した。


「…お前の口から、MMOとかいう言葉を聞くとは思わなかったよ。 まぁ、確かに好きだけど」


MMO。多人数同時参加型RPG。

トールキンの小説「指輪物語」のような、架空のファンタジー世界を舞台にしたゲームで、日本でも複数の有名タイトルが輩出されている。

その中の有名な一本に「ドラグーンファンタジー11 ~漆黒のエクセリア~」って作品があるのだが、MMO未体験だった俺は、これに猿みたいにハマってしまい、大学1年の後半から、2年の途中までを無為に過ごす事となった。


だけど、何故藤宮がそれを知っている?


「そして、戦闘は格闘アクションになってる。 お前好きだろ」

「敵との戦闘が? 3Dで?」

「そうだ」


それはいわゆる、モンスター討伐アクションゲームじゃないのかな。

だが、こちらの有名タイトルにも「モンスターバスター」ってオンラインアクションゲームのシリーズがあって、これまた寝食を忘れるほどにハマった。


「人との戦闘もあるぞ」

「ああ、PVP?」

「PV…?」

「人対人、って事。 プレイヤーvsプレイヤー」

「なら、その要素もある。 お前、格闘ゲームも好きだっただろ」


確かに、中学生の時から格闘ゲームは大好きだった。

「グラップルファイターキバ」「剛拳」なんかは、俺の心の美しい思い出だ。


「ってか、龍真…。 お前、案外俺の事知ってたんだな」


もしかしたら、ゲーセンで奇声上げていたのを見られてたとか…。


「だから、お前が最も適したプレイヤーだと言っただろう? あと、お前が音ゲー好きって事も知っているぞ」

「残念だが、音ゲーは普通だ。 嗜み程度だ」


「ビートマニアックス」や、「音頭の達人」のハードモードをクリアできる程度だ。


「…で、どうだ? プレイしようという気になってくれたか?」

「悪いけど、他の奴を当たってくれないか?」


そういうと、藤宮は明らかに声の調子を落とした。


「…何だ、僕なんかとは一緒にプレイできないということか? これはまた嫌われたもんだな」

「ち、違うよ! そうじゃなくて、家庭の事情があんだよ!」


そして、一呼吸置いて言った。


「ゲームは…卒業したんだ。 もう子供じゃいられない」

「何だ? どういう事だ? 良かったら、理由を聞かせてくれ」

「…結構、ツッコんで来るんだな」

「友人と思われてなかったなんて、悲しいじゃないか」

「いや友人だって、友人。 ユーアーマイフレンド」

「…本当か?」


うーむ、正直な所を話さないと、納得しないような雰囲気だな。 この際、全部喋った方が良いかもしれない。


確かに、俺はオタクで無類のゲーム好き。

大学のサークルで悪い先輩と知り合ってから、一緒になって授業にも出ず、毎日をメチャクチャに遊び倒した。

誤解しないように補足すると、もちろん「ゲームで」遊んでたんだぞ。 ギャンブルとか女遊びじゃないぞ。


だが4ヶ月前に、親父が脳梗塞で倒れた。

幸い、手術して一命は取り留めたものの、右半身…特に右手に重大な麻痺が残り、仕事を退職せざるを得なくなったのだ。


俺が遊びまくってて、留年しかねないほどに成績が低下していたのを親に知られた事もあり、それで「お前何やってたんだ!」と凄まじい家族会議になった。


一時は大学を辞めるかどうかという瀬戸際に立たされたのだが、当の親父は俺を大学に行かせる事を許してくれた。


それは単に「今の世の中、学歴がないと就職は厳しい。 最低でも卒業はしておけ」…という、いかにも昭和世代が考えそうな理由だったのだが、俺はそれにのっからせてもらった。 それに、多少は目も醒めたのだ。


ただ違った事と言えば、親父の退職で、思い切り仕送りが減ってしまった事だった。

なんと半額ちかくまで落ち込んだため、俺はそれまで住んでたアパートを引っ越さざるを得なかった。


その引っ越し先が、あかり姉ちゃんの居るこの下宿で、姉ちゃんの親戚が運営してるから、俺も格安の月額35,000円(食費、光熱水費込み)で入居させてもらっている。


だがそれでも、生活のためには多少のバイトをしなくてはならない。

しかしそれだと、俺がバイトにかまけて学校に行かないのでは、という懸念があったので、ウチの母親が懇願して、あかり姉ちゃんをお目付け役として選んだ…と、まぁそんな次第だ。


経緯はこんなだが、一時は諦めかけた大学生活が、紙一重で舞い戻ってきたのだ。

なので、学業ではそれなりの成績を叩きだし、卒業後は、人に報告しても恥ずかしくないような仕事に就かなくちゃいけない。


「ふーん」


だが、きちんと説明しても、藤宮は納得してない様子だった。 そんなに俺をヘルプに呼びたいのかよ。


「バイトに慣れて時間できたら、検討してみるよ」


と俺が曖昧な返答で濁したら、


「是非そうしてくれ。 僕のマンションは覚えているな? 一緒に冒険しよう」


と熱烈なラブコールを返してきた。


「ああ、サンキュ」


冒険て、ゲームの中でじゃん。

一般人がそういう言葉を口に出してくれるのは嬉しいけど、オタクにはオタクの嗜みってもんがある。

そういうのはゲームの中だけで言うもんだ。

リアルとゲームをごっちゃにしちゃダメだぜ。


「…そういや」


バイトで思い出したが、先輩、まだお金返してくれねーのかな。

俺は「鶴羽和哉」を選んでコールしたが、


「お客様の携帯電話は、都合により電波が届かないか、電源が入ってない状態にあります」


というアナウンスが返ってきただけだった。

まぁ、新学期始まるまでにはまだ間があるしな…。

確か、4月末が期限だったな、学費納付すんの。

それまでに返してもらえばいいから、まだ余裕はある。


「…しまった」


ふと時計を見たら、夜は10時半を回っていた。

もう実家の両親は寝てる頃…だろうな。


「ま、電話すんのは今度でいいか」


<続く>

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