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(26)宴の終わりに

「じゃあ、レオが損得抜きで彼らと友人になればいいじゃないか。 同じアニメが好きなのなら、話も合いそうだ」

「いや、同じアニメが好きだからって、必ず友人になれる訳じゃないんだけど…」


そんな事を言い合いながら、俺たちも「オベリスク」に飛び込み、ネージュ村中央広場へと帰還した。



「うおおおおおおおっ!」

「てめぇ! ふざけんなよ、このッ!」


だが、ネージュで俺を迎えたのは、そんな怒号と絶叫だった。

一瞬、目の前で何が起こっていたのか、分からなかった。

目の前の広場には、幾人ものプレイヤーが地面に横たわっている。


そして、オベリスクから出てきた俺の目の前に、唐突に投げ込まれた何かのアイテム。 

黒くて丸くて、導火線が付いてて、火花が散ってる…。


「(…爆弾!?)」



そう思った瞬間、派手な炸裂音と共に、一帯が爆炎につつまれた。


「!?」


俺はとっさに盾を構える…が、ダメージを吸収しきれず爆風に吹き飛ばされて転がり、体力が残り1割まで減少する。

何だこれ!? 本当に爆弾か!?


「ちっ、そっちは失敗か! まぁ良い、ミルフィーユ、剥ぎ取るのはコイツだな!?」

「そうだよ、その黒ずくめの奴!」


爆発の煙…白いぼかしのエフェクトが晴れると、フルプレートアーマーのキャラクターがキリエに、さっきのピンク色の髪のキャラがアマダムさんに覆い被さっていた。


「やめろぉぉおっ、てめぇら!」

「ちっくしょう、何だよ!」


この悲鳴で俺は、ようやっと状況を把握した。

これは爆弾を使ったPKだ。

まさか、優勝者を街中で殺害して、その戦利品を奪おうとする奴が居るなんて…!


「やめろ、コラアッ! やめねぇか!」

「このPK野郎が! オリオンっていうのか、テメェ、覚えたぞ!」


…オリオン!? こいつ、俺を殺した、あのオリオンか!?


「やめろ、オリオン!」


その名前を聞いた途端、俺は反射的に抜刀し、奴らに突撃した。


危険だとは分かっていた。

相手の性格もそうだが、以前と装備が違う。

俺の記憶と異なり、少しゴツくなっているような…。


「…なんだお前か、レオ」


そして、その直感は間違いじゃなかった。

オリオンはキリエから離れ、立ち上がって盾を構えるが、それはまるで、中世の重装騎士が装備しているようなラウンドシールド。


…まるで、上段中段下段を、まとめてガードできるんじゃないか、と思えるほどに巨大な。


「オリオン、その人たちから退けッ!」

「邪魔するなっ!」


キリエたちを救うべく切りかかった俺だが、その攻撃はオリオンの盾に阻まれ、しかも「盾で押し飛ばされて」転がった。


「(まさか、こいつも新技を…!?)」


そして、そのまま接近され、あの麻痺剣での連撃を食らう。

だが、俺のHPは残り1割でも全く減らなかった。

システムで保護されているからだ。


「(…そうか、街中ではプレイヤーの攻撃力が0になるだけ、なのか)」


爆弾とか、罠は街中でも有効なのかもしれない。

しかし、それじゃ…!


「レオ、引け! ログアウトするんだ! ここは危険だ!」


龍真が、そう指示してきた。

確かに、街中ではいつでもログアウトできるが、ログアウトするとチャットはできないはず。

なのに、「バールハイト」の姿がどこにも見えないのだ。


「だって、キリエさんとアマダムさんが! それに、他の皆も倒されてるんだぞ!」

「もう遅い! 敵が4人パーティなら、爆弾による追撃の可能性がある! お前まで危険だぞ! ログアウトを!」


キリエとアマダムさんは、PKプレイヤーであるオリオンとミルフィーユに向かって、聞くに耐えない呪詛の言葉を吐き続けていた。

それはつまり、もう彼らは全ての装備を…。


「レオ! 僕との約束を、破る気なのか!?」

「…分かったよ!」


俺は、オリオンに斬られるのも構わず、「機能」アイコンから「ログアウト」アイコンを探し、叩いた。


できるだけ早く…。

キリエやアマダム、他の皆の死体が、教会に自動で回収されるように願いながら。



DATE : H27.1.21

TIME : 19:40

STID : 00941724



俺は、スマートタブレットをコタツの上に置くと、大きくため息をついた。


「はぁ…」


目をつぶれば、今、ゲームの中であった事が、まざまざと思い出される。

だけど、その展開については今でも信じられない。

激闘の剣闘士大会、その直後に爆弾テロが起きるなんて。


「ちっくしょう…」


今思えば、あのミルフィーユという女…。

彼女が、ネージュ村で待機していたオリオンと連絡を取り合っていたんだ。

キリエ達が帰還するタイミングを見計らって、オベリスクから出てきた直後に爆破する。

ダメージを負わせただけでは、村の中では即座にログアウトされるから、必殺を期すため、爆弾は2個用意していた。

多分、同時に爆発させる予定だったんだろうが、実際には少しタイムラグがあり、俺は幸運にも2個目だけ、しかも爆風をガードできたから生き延びた。


そこまで考えたところで、携帯の呼び出し音が鳴る。

俺はスマートタブレットを再び手に取ると、耳に当てた。

誰かはもう分かってる。


「…龍真か。 さっきは大変だったな。 お前、ゲームの中ではどこに居たんだ?」

「あの広場に居たぞ」

「嘘付け、姿が見えなかったぞ」

「広場に横たわっていた死体のうちの一人が僕だ」


…お前、爆死してたのか。

俺は思わず吹き出しそうになるが、寸前でこらえた。


「そんな状況で逃げろ、って言ってたのかよ。 オリオンが、お前の装備まで剥いで逃げたらどうするつもりだったんだ?」

「僕の装備は、のぞみが持ってるから問題ない」


…あ、トラウムさんが先に居なくなったのは、そういう理由だったのか。


「ああ、イベント終了直後、小金持ちになったプレイヤーが狩られる、って例はネットで見て知っていたからな。 お前が準優勝になった時点で、巻き添えになっても良いように装備を預けていた」

「なるほど、そういう事か。 流石にPK慣れしている人は用意周到だな」

「だが、その予感は的中した」

「…だな。 しかし、とんでもない展開だったな」

「そうだな、僕も初体験だ。 あんな豪快な殺害方法は」


PKのないMMOでも、「モンスターバスター」や「タウンクラフト」みたいに爆弾攻撃によるダメージが存在する例はあるし、「ラインエイジ」ではキャンプ中のキャラを崖へ押していって墜落死させる、という気の長い殺害方法がある。


「なるほど。 それを予め知っていたから、お前は対処できたんだな、礼雄」

「まぁな…。 てか、この世界にも爆弾なんてのがあるなんて、想像もしてなかった」

「採掘専門のプレイヤーから手に入れたんだろう」

「採掘? もしかして、鉱山の穴掘り用、とか?」


これは余談だが、ノーベル賞の創設者、アルフレッド・ノーベルの最大の発明品は「ダイナマイト」だ。

ダイナマイトは世界中の鉱山や土木工事で使用されたのはよく知られた事実で、MMOに爆破採掘を行えるゲームが多いのは、この出来事に由来している。


「そうだ。 このゲームのジョブに『マイナー(鉱夫)』があるらしいが、そのスキルで爆弾が製造できるらしい」


…「ジョブ」? このゲームにも、職業があるのか?


「ああ。 おそらく、マイアバターを何かの方面に特化させていく事で、剣技と同様に『目覚め』ていくのかもしれないが、身の回りでは、のぞみの『ヒーラー』しか実物を見たことはない」


あ、のぞみさんもジョブを覚えているのか。


「龍真はどうなんだよ」

「僕は、ゲームの中ではまだ無職だ」


リアルなら何にでも就職できるぞ、と言いたげな龍真の強気な口調に、俺は思わず苦笑してしまう。


「だが…困ったな。 キリエたちと協力して本土に渡る予定だったのに、あいつらのせいで、計画は白紙だ」


それに、おそらくオリオンの奴は、PKの際にキリエの持つ『海図』も奪ったはずだ。

本土に渡るため「リヴァイアサン」のキャンペーンクエストに関与しようとするならば、何であれ奴との対決は不可避になる。


「てか龍真、このままだと何のイベントに参加しても狙われるぜ。 …いや、このゲームの進行そのものが危うくなるかもしれない」


あの時、オリオンの装備は、確実にアップグレードされていた。

おそらく、PKを繰り返して所持金を増やし、より強い課金装備を購入して、さらに上位のPKを繰り返している結果ではあるまいか。

だとするなら、モンスターの代わりに、プレイヤーを狩ってレベルアップするという、ゲーム史上最悪の攻略パターンが確立されつつある、ことになる。


「僕も、それはちょっと気になっている。 僕たちだけじゃなく、新規プレイヤーをある程度まで保護するシステムが必要なはずなんだが…。 警察みたいな仕組みが、MMOの中にはないのか?」

「いや、PKKプレイヤー・キラー・キルって、個人的に仇討ちしてくれる人が居たりする場合はあるけど、警察が実装されているゲームは見たことない」

「本当か? 過去のどんなゲームにもないのか?」

「ああ、俺は見たことない」


すると、龍真はため息をつきつつ言った。


「…それはまた妙なもんだな、警察がないってのは」

「何でだ?」


なぜゲームに警察機構が必要なんだ?


「いや、あんな無法な連中を放置していたら、課金してくれる顧客が激減するのは目に見えている。 利益追求が目的の企業にとって、それは望ましくない状態のはずだ」

「…なるほどな。 じゃあ、メーカーにPK防止の依頼出してみようぜ」

「そんな事ができるのか!?」

「もちろん。 運営とユーザーは、元来そういう関係だからな。 客の言うことを聞かない運営とか、パンくず以下の存在だぜ」

「そ、そうか…。 なら、それは任せていいか、礼雄」

「ああ、ネトゲの要望は何度か出したことあるから、任せろ」


俺はそこで電話を切ろうとしたが、


「ところで、礼雄。 今日のお前の事なんだが」


と制止された。


「…? 何だ、俺のことって? もしかして、適性を見極めたいって話? それは合格じゃないのか?」

「その話なら、むろん合格だ。 少々扱いにくいが、お前と組むのはリターンも十分にあると判断した」

「だろ!?」

「だが、僕はそんな事が言いたい訳じゃない」


…? じゃあ、何だよ。

あ、借りてた50,000Cenの事? 今返そうか?


「いや、まだ良い。 というか、その話でもなくて、以前から薄々思っていた事ではあるんだが…」

「だから、一体何だよ」


すると、龍真は逡巡するかのように、少し間を置いてから言った。


「お前、本当は、かなり攻撃的な性格なんだな」


…? 俺が?


「いや、そんな事ない、と思うけど…」

「僕も、今日の印象だけでそう言ってる。 気に障ったら許してくれ。 …だが、ネットの中のお前というか、アバターのお前は、非常に好戦的に見えた。 僕なら様子を見るところでも、お前は躊躇なく斬りに行っていた」


…いや、そうかな。

俺、そんな人間だっけ。


「正直、意外だった。 だが、本当のお前は、元来そういう性格だったのかもしれないな。 もしも十分な身長と恵まれた体格があったら、きっとお前は僕の知る『桐嶋礼雄』じゃなかったかもしれない」

「何だよそれ。 まるで、チビに生まれたから乱暴者じゃなくなった、みたいな言い方じゃないか」


だが、龍真はそれに返事せず、ふふ、と笑った。


「そんなものかもしれないぞ、人間とは。 じゃあな、礼雄。 また時間があったら冒険しよう」

「ああ、あんまり時間過ぎてないけど、とにかく濃かったから、疲れたな。 おやすみ」

「おやすみ」


俺は再びスマートタブレットをコタツの上に置くが、今日はソロプレイにチャレンジする気にはならなかった。


「…試験も近いし、明日の授業の準備でもしとくか」


オリオンが引き起こした地獄絵図。

災いの渦中にわざわざ飛び込む事はない。

ほとぼりが冷めてからログインした方が色々と安全だな、と思ったのだ。



DATE : H27.1.22

TIME : 19:40

STID : 00941724、00914582、00539929



「唐突だが、ノルマを課すことにした」


「…はぁ?」俺。

「えっ?」野口さん。

「マジですか?」保科。

「本当ですか、店長?」小野田さん。


月曜日の夜、俺はコンビニのバイトに、先輩にあたる野口さん(おっさん:50代)との二人シフトで入っていた。

そして、深夜シフトの保科と小野田さんに引き継ごうとした際に、唐突にやってきた店長から、そんな事を聞かされたのだ。


「何ですか、ノルマって?」

「恵方海苔巻きのだ。 ほら、29日までキャンペーンやってただろう?」


そう言って、店長は今年の恵方海苔巻きのチラシを見せる。


「…」

「ええ」

「はい」

「そうですね」と、俺たち。


「あれの申し込み数が、昨年に比べて鈍い。 販売実績を上げたいから、ノルマを課す。 一人10…いや、15本申し込みを取ってこい」


「…はぁ!?」

「15本!?」

「…!」

「それ、いつまでですか!?」


「27日までだ。 皆、しっかりやれよ」


そう言って、店長は去ろうとする。


「ちょっと待ってください! 俺、大学の試験勉強があるんですけど!」

「知るかそんな事。 それに、他の連中は納得してるみたいだぞ」


そう言われて、皆の方を見ると、全員微妙な面持ちではあるものの、別に反論する様子は無さそうだった。

あるいは反論しても無駄だと分かっているのか。


「…もし、売りきれなかったら、どうなるんですか」

「そりゃ、自分の責任になるから、弁償する事になる」

「…責任!? バイトに、ノルマとか責任とか負わせるなんて、おかしくないですか!?」


保科が背中をつついてきた。「ここらへんで止めといた方が良いですよ」という意味だってのは分かったが、無視した。


「ノルマ、ってのは言い方が悪かったな」

「…?」

「これは社会勉強だ。 『営業』を実地で学ぶ、な。 15本はその目標、だ」

「でも、売り切れなかったら、弁償なんでしょう?」

「本当に損をする必要があるんだよ。 そうでないと、本気で営業しようとする奴なんて居ないからな。 これは教材費だと思え」

「メチャクチャだ…」

「うるせぇぞ桐嶋! さっきも言ったろうが、社会勉強だって! これ以上に厳しいノルマのコンビニとか、他には腐るほどあんだよ!」


マジで…?


「…桐嶋くん、企業は、もっと厳しいよ」


野口さんが、小声でそんな事を言ってくる。


「それに、お前等に厳しくするだけじゃない。 この店に尽くしてくれた奴には、俺のポケットマネーから、金一封出そう」


「えっ!?」野口さん。

「マジですか!?」保科。

「店長、太っ腹!」小野田さん。


「一応、モメないように念を押しておく。 27日までに、最も多く恵方海苔巻きを売った奴に、俺の財布から金一封出す。 金額は一万円な」


俺の小遣いの大半をくれてやるんだぞ、と店長は付け加えた。


「じゃお前等、しっかり頑張れよ」


そう言って、店長は去って行った。

てか、これ言うためだけに来たのかよ。


俺は引継と帰り支度を済ませたが、店長の言った事が気になって、ホットココアを買う傍ら、レジに付いていた保科と小野田さんに、恵方海苔巻きの事を聞いてみた。


「なぁ、保科たちはどうすんだ、恵方海苔巻き」

「僕は去年買ってもらったお客さんに、また頼むつもりですけど」

「あたしも、仲間連中に買ってもらおうかなって思ってるよ、礼雄っち」

「…そうかぁ」


友達や仲間の多い奴は良いよな。

身近に買ってくれる奴が居るから…。


だけど、ぼっちの俺は…。


「去年は、何人くらい買ってくれたんだ?」

「20人ちょっとくらいですかね」


…え、それ、ノルマを余裕で越してるじゃん。

っていうか、あとちょっとで2人分じゃん!


「なぁ、良かったらさ、そのお客さん、半分俺にも譲ってくれない? そしたら弁償しなくてもいいしさ」


すると、保科は露骨に嫌そうな顔をした。


「はぁ? マジで言ってんですか、礼雄くん? 譲る訳ないじゃないですか、僕、金一封狙う気ですから」


邪魔しないで下さいよ、と保科は言った。


「邪魔って、お前…」

「あたしも初めてだよ。 礼雄っち、頑張って営業してみようよ」


いや、フリーターのお前等と違って、こっちは大学の試験あるっつうのに、そんなバカバカしい事に、時間割いてられねーんだよ!


…と怒鳴りつけたい気持ちに駆られたが、それを無理矢理抑えると「分かった、無理言ってごめんな」と詫び、ホットココアを握りしめて店を出た。


「…はぁ」


ふと、店を出た所で、俺はチャリに跨ったまま振り返る。

店の中では、保科と小野田さんが、仲良く談笑している様子が伺えた。


なんだか、眩しかった。

邪魔しないで下さいよ、という保科の声が今も耳にこびりついている。


「えっ…?」


その時、唐突に思い出された事があった。

俺が、キリエの身ぐるみを剥ごうとしているオリオンに斬りかかった時の「邪魔するなっ!」というあの声。


あの声…。

多少変質していたにせよ、保科の声に良く似ていた。


そして、ミルフィーユ。

どこかで見た顔だと思っていたが、あのキャラ、髪型を大きく変えたら、小野田さんに似てるんじゃないだろうか。


「…いや、バカな」


だが、俺は首を振って、その考えを打ち消した。


「そんな訳、ないだろ…」


何を考えているんだ、俺。

いくらリア充が羨ましいからって、PKプレイヤーとバイト仲間を重ね合わせるなんて、どうかしてる。


そもそも、保科が「オリオン」であるはずがない。

何故なら、「オリオン」は、ゲームの中で俺のアバター「レオ」と2度ほど対面している。

保科が「オリオン」なら、「レオ」が俺である事に、すぐ気づくはず。

何せ、見た目も声も名前もそのままなのだから。


だが「オリオン」は、その2度の対面で、俺に対しいずれも躊躇なく攻撃してきた。

俺は別に保科に恨まれるような事はしていないし、保科も顔見知りの知人をいきなり攻撃するような奴じゃない。

つまり、保科とオリオンは別人で間違いないのだ。


だのに、似てる…と思ったのは何故か。


思い当たる理由は一つしかない。

俺のリア充への嫉妬心だ。

仲睦まじく談笑している保科と小野田さんが、ただ単に羨ましいだけなのだ。

だからそんな都合の良い妄想に耽って、心の中で彼らを貶めようとした。 そうに決まってる。


「何だよ、俺…。 こんなの、最低じゃないか…」


無意識ながら自虐的になっていた自分。

それに気づいた俺はいたたまれない気分になり、コンビニに背に向けると、ペダルに足を掛け、チャリをこぎだして下宿への道を突っ走り始めた。


<続く>

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