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8話
泥と火薬の匂いが残る戦場を後にし、
ルイは勝利軍を率いてパリへ戻っていた。
空は晴れ渡り、
冬とは思えぬほど柔らかな日差しが街道を照らしていた。
戦は終わった。
国は守られた。
兵たちの士気は高く、
民は道端で花を振って凱旋を迎えた。
ルイは微笑んでいた。
(早く……早く彼女に知らせたい。
勝ったと。
もう心配はいらないと。)
その思いだけが、
疲れた身体を軽くした。
街道沿いの広場で、
子どもが旗を振る。
「王太子様!お帰りなさい!!」
ルイは軽く手を挙げた。
穏やかで、温かい、
久し振りの平穏な時間だった。
──その瞬間までは。




