ゴローの知らない話
ウサミはアケミに呼び出され、喫茶店に居た。ゴローの事で相談があるらしい。正直、アケミの鉄仮面は怖いが、その下にある豊満な実りしか目に止まらないので、問題は無かった。
「実はね、あれからゴロー君、カエデさんと話が出来てないみたいなの。夏の大会も近いし、部活の練習でウサミ君とも時間が合わなくて。だから、代わりに私が、カエデさんの様子を聞いてこようと思ったの」
「ああ、だから俺が呼ばれたのね。カエデと直接話すのは気まずいから」
「なんか、ごめんなさい。迷惑だったかな」
「いやいや、迷惑とか面倒臭いとか思ってないよ。寧ろ、いい物拝めてラッキーだ」
「いい物?」
「こ、こっちの話だから、気にしないで」
ウサミは、ゴローの事を貶した後に、憎めないでいたカエデの様子を、アケミに話す。アケミの表情は鉄仮面で分からないが、時折、声を出して笑っていた。カエデの罵倒語録がお気に召したらしい。「白球ばっか見てないで、偶にはこっちを見ろ」という言葉には、深く頷いていた。
アケミとの会話に花を咲かせていると、急に外が暗くなった。雨という予報は聞いていなかったに。窓の方を見ると、そこにはカエデが張り付いていた。潰れたカエルの様に喫茶店の硝子に張り付くカエデの体で、ウサミの居る席への日光を遮断したのだ。
カエデは、鬼のような、それでいて何処か悲しげな表情でウサミを睨み叫び出した。
「この裏切り者おおおおお!やっぱり乳か、乳なのかよおおおおお!」
「うおおおお、ビックリした!?」
「カエデさん!?」
他の客が居なかったのが不幸中の幸いか。荒ぶるカエデを、ウサミとアケミは落ち着かせる。その過程で、ゴローがカエデの事を気にしていたと伝えると、機嫌が一気に良くなった。
「なんだー、アケミがゴローだけでは飽き足らず、ウサミまで私から奪おうとしてたのかと思っちゃった。危うく脳が破壊されるところだったよ」
「お前のものになった覚えは無いが?」
3人でゴローを肴に会話が弾む。カエデとアケミが普通に話せているので、ウサミは一安心していた。
そろそろ解散しようかという流れになった時、ゴローが店の窓ガラスを突き破って入店してきた。
ガラス片と共に床に転がるゴロー。突然の出来事に店内から上がる悲鳴。アケミはゴローに駆け寄り、声をかける。ウサミとカエデは、ゴローが吹き飛んできた方を見て驚愕していた。
銀色のスライムの様な生物から伸びる触手が、車や花壇を持ち上げ、辺りに放り投げている。ゴローは、あいつに投げられたらしい。
ウサミのポケットが赤く光り、けたたましい音が鳴り響く。ウサミはポケットから画面が赤く光るスマホを取り出し、空中にかざすと、「変身!」と叫んだ。
ウサミの正面に空間の歪みが生まれ、その中に飛び込んだかと思うと、幾何学模様のスーツに身を包んだウサミが歪みから出てきた。
「カエデ、店員の避難誘導を頼む!」
「待ってウサミ。あれ多分、私の妹だと思う。似たような見た目の宇宙人がウチに来て、私か妹が娘かも知れないって言ってた」
「マジかよ!」
ゴローが起き上がるが、ガラスで瞼を切ったのか状況が分からない様だった。
「居るのかウサミ!」
「ここだゴロー!」
「銀色の宇宙人が持ってきた検査キットをカナデちゃんに使ったらああなった!アレルギー反応らしい!」
「アレルギー反応!?原因が分かってるてことは対処方もすぐに分かりそうだな」
「ここに薬がある!これでアレルギー反応が治まる!」
「じゃあ、何とかなるな。俺が抑える!自慢の肩の見せ所だぞゴロー!」
「任せろ!」
ウサミが銀色のスライムと対峙する。触手が投げて来る物を捌き、両腕から謎の光線を発射してスライムに浴びせる。カエデが「乙女の肌に傷を付けたら責任取りなさいよ!」と叫んでいる。ウサミはスライムから伸びる触手を引きちぎり、本体に組み付いた。
「今だゴローーー!!」
「うおらああああああ!」
ピッチャー第1球、振りかぶって、投げた。
ゴローの投げた薬は見事命中し、スライムは大人しくなった。空間が歪み、幾何学模様のスーツを来た人物が2人現れる。その内の一人がウサミに駆け寄り、もう1人はゴローたちに駆け寄った。
「すまないウサミ、遅れた」
「問題ないですよ先輩」
「後のことは我々に任せなさい、家まで送ろう」
「...パパ?」
「ナンノコトカナ」
街の至る所は破壊されていたが、空からやってきたアダムスキー型飛行物体から放たれた謎の光線によって、元の姿に戻っていった。
カエデ「先輩さん紹介してよ」
ウサミ「女だぞ」
カエデ「ちくしょう」




