カエデの知らない話
「アダムスキーだ」
学校から帰ると、カエデの家の前に、銀色の円盤型の未確認飛行物体が停泊していた。宇宙からのお客さんか、イケメンだったらいいなと、現実逃避と欲望の混ざった考えをしていると、玄関が開く。
「すいません、お邪魔しました」
中から現れたのは、2m程の大きさの、銀色に輝くスライムだった。流体金属系かー、イケメンに変身しないかなと、ただの欲望をさらけ出していると、カエデはスライムと目が合った気がした。
「こんばんは、お嬢さん。学校帰りかい?驚かせた様で済まないね。もう帰るから」
「あ、どうも。お構いなく...?」
流暢に日本語を話すスライムは、確認済み未確認飛行物体に乗り込むと、空の彼方へ消えてしまった。
カエデは家に入ると、靴を脱ぎ捨ててリビングへと走る。ソファに寝そべる妹が居た。
「カナデ!今の何!?」
「あー、宇宙人のトモサカさん。10年くらい前に子供が地球で迷子になっちゃったらしくて、探してたんだって。机の上にある黒い塊を2回叩くと、連絡取れるみたい」
「何で家に?」
「私かカエデ姉のどっちかが、トモサカさんの子供かもしれないってさ。トモサカさんの種族って、擬態が得意で、長年同じ姿でいると、同じ種族かどうか分かんなくなっちゃうんだって。今日は一旦、母星に帰って、検査キット持ってくるってさ」
どうやら、自分かこの妹のどちらかが、地球外生命体らしい。何故その事実を、妹は冷静に受け止められるのか、カエデは理解していた。
「トモサカさんの種族って、みんなトモサカさんみたいに、紳士的なの?」
「話聞く限り、そうっぽいよ」
「よし、私が宇宙人だったら、トモサカさんの知り合いを紹介してもらって、超絶イケメンに擬態してもらおう」
「カエデ姉と同じこと考えてた」
その夜、未来の未確認彼氏候補に希望を抱き、カエデはぐっすりと眠った。




