ウサミの知らない話
「ゴローとアケミ、付き合ってるの知らなかった?」
「え、初耳」
ウサミは、カエデと学校の屋上でランチを食し、ティータイムに購買横の自販機で買った野菜ジュースを嗜んでいた。
ウサミとカエデの共通の友人である、ゴローを肴に盛り上がっていた所、「ゴローは良い奴なのに、彼女出来ないよな」と言ったウサミに、カエデが返した返事が先程の発言だ。
「全然知らなかった。あの鉄仮面とゴローが付き合ってたなんて。一体いつから──」
「一昨日」
「そりゃ知らないわ」
ゴローとウサミは仲が良いが、別に毎日話す訳でもない。クラスも違えば部活も違う。帰る時間が被れば、馬鹿騒ぎしながら一緒に帰る。そんな間柄だ。
「てか、何でカエデは知ってんの?」
「アケミと一緒にゴローに告白して、私が振られたの」
「......えーっと、大丈夫?おっぱい揉む?」
「落ち着きなさい」
カエデの発言が、天から紅生姜の天ぷらが降ってくるより、衝撃的だったウサミ。それと同時に、振られた相手の話でヘラヘラと盛り上がってしまった申し訳なさを感じ、よく分からない提案をしてしまった。なお、カエデにおっぱいは揉まれている。あん、意外とテクニシャン。
「何が悲しくて男のおっぱいを揉まなきゃならんのだー、って思ったけど、案外楽しいわね。まあ、振られて悲しかったのは事実だけど」
「突っ込み辛いので、話題を変えたいと提案します」
「却下。愚痴を聞いて慰めなさい」
ああー、それでゴローの話にノリノリだったんですね。やたら、「あの馬鹿」とか「野球ゴリラ」とか、お口が悪ぅ御座いましたのねぇ。
ウサミはカエデの態度に合点がいく。そして、ウサミのおっぱいを揉みながら、段々と涙声になっていくカエデの愚痴を、生返事で聞き流すのであった。
「年上のおっぱいしか頭にない猿野郎なんて、大好きだったぞこのやろおおおおお」
「ああもう、情緒よ」
「死んじまえうぇぇぇえええ!」
「はーい、あんまり大声で殺害予告しないの。お巡りさん来ちゃうからねー」
カエデが泣き止むまで、ウサミのおっぱいは犠牲になった。
「愚痴、聞いてくれて、ありがとうね」
「もうお婿に行けない...」
「所で、傷心中の乙女に優しくして、ハートを射止める気はないかしら?」
「お構いなく」
「私はそんなに魅力がないかあああああ!やっぱりおっぱいかあああああ!!」
「もうこの人、怖いいいい」
ウサミは、ゴローとの下校が、如何に尊い日々であったかを再認識していた。




