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【癒しどころ】~雨の日の狐さんは俺とあまあま添い寝をご所望です~

作者: 谷原亀

ありがとうございます!

 襖を開けると、そこは和室になっていた。

 開放的な空間である。

 大きく開いた障子の外にはうっそうとした緑が見える。

 木の位置から察するに、ここは二階だろうか。

 外では雨が降っているようで、適度に冷やされた空気が肌を撫でる。

 地面をやさしく叩く雨音が何故か懐かしい。

 

 「ようこそいらっしゃいました。ご主人」


 鈴のように甘ったるく響く声に視線を向けると、そこには小柄な少女が一人。

 まず目につくのは、その頭についている毛深い耳と、腰から生えているなんとも重量を持っていそうな尻尾である。

 毛の色から察するに、狐のそれだろうか。

 赤い柄の着物を着た彼女は俺を見て心底嬉しそうに顔をほころばせた。


 「ご主人のことを待っていたんですよ」


 なるほど。

 この娘は俺のことが好きらしい。


 「ご主人、お疲れでしょう?今日はわらわがご主人を癒して差し上げますよ」


 正直言うと、そこまで疲れてもいないので若干後ろめたさも感じるが、この娘の手ほどきはぜひ受けてみたかった。


 「いいのか?じゃあ、頼む。」


 「はい、もちろんですとも。布団だって、もう敷いてあるのですよ?」


 狐の少女の指さす方向を見ると、確かに、和室の真ん中にでかでかと布団が敷かれている。

 こんなの最初からあったっけ、と少し疑問を覚えるが、まあそんな細かいことはどうだっていい。


 「ご主人、わらわに何をしてほしいですか?耳かき?まっさーじ?添い寝?それとも、、、」


 狐の少女はそう言って、恥ずかしそうに顔を赤らめながら、俺の体に密着して、上目遣いでこちらを見てくる。

 俺の腰に手を回し、抱き着いているような状態だ。

 大きくクリっとした目は少しうるんでいて動物的な可愛さがある。

 俺より一回りは小さく見える体も、その小さな体躯を覆うような長い栗色の髪も、思わず撫でたくなるような毛並みのそろった尻尾と耳も。

 とにかく、少女を少女たらしめているそのすべてが、俺の庇護欲を猛烈にくすぐっているというのに、そのあどけない顔に浮かべた表情はなぜか煽情的に見えて、うーん、困る!


 「えっと、じゃあ、添い寝、してくれるかな?」


 俺がそう言うと、狐の少女はくにゃっと柔和な笑みを浮かべて、


 「ご主人との添い寝、大好きです。」


 なんて言うもんだから、いやはや、たまらん。


 こちらです、と先導されて布団に向かう。

 いつの間にか日は落ちて、部屋の中は薄暗くなっていた。

 自分の指を軽くさすると、乾いた感触のそれに熱は感じない。

 雨は相も変わらず降り続けている。

 だだっ広い和室にポツンと布団が敷かれているのをみると、人の気配のしない外の景色も相まって、なんとも寂寥感の漂う光景だった。


 だからこそ、隣に感じる小さな体温が尚更愛おしく感じる。

 幼子のような柔らかい手を、つぶさないよう、優しく握った。


 狐の少女が先に布団に入る。

 それから俺が入るためのスペースを少し開けて、軽く毛布を持ち上げてこっちですよ、と手招きをした。

 写真に撮っておきたいくらいの、理想的なシチュエーション。

 俺はすごすごと布団の中に入りながら、目の前の光景を網膜に焼き付けた。


 布団の中はまだ熱を持っておらず、少しひんやりとしていた。


 「ご主人、まだ、少し寒いですね。もう少し、くっつきませんか?」


 「あ、ああ」


 少女の顔が、息がかかりそうなほどに近くなる。

 急激に体温が上がる感覚がする。

 

 「ふふっ。あったかくなりましたね」


 いやほんとに。


 うろたえる俺の反応を見てくすくすと笑う少女。

 恥ずかしさもあって、火照ったからだの熱は、身を寄せる二人の空間に広がった。


 「時に、ご主人。ご主人はおいくつなのでしょう?」


 あまあまな空間からの突然の質問に驚きながらも、


 「二十歳だよ」


 俺は自分の年齢を伝える。

 少女はニコニコと笑ったまま何も答えない。

 声が小さくて聞き取れなかったのだろうか。


 「は、た、ち、だよ」


 今度はちゃんと届いたらしい。

 少女はぱっと表情を明るくし、


 「わらわより年上なのですね。ご主人は頼りがいがあります」


 そういわれると悪い気はしないな!


 君はいくつなのか、と逆に質問すると、少女は18だと答えた。

 見た目の方が幼いな、と思ったけれど、じゃあいくつに見えるのかと思えば、それはよくわからなかった。

 幼い顔立ちをしているが、年齢は、何だか不詳って感じだ。

 

 ふと、手にごわついた感触が当たるので何かと思えば、少女の着物だった。

 着物を着たままだと、寝心地が悪くないかと尋ねると、少女は


 「そう、、、ですね」


 と、小さくつぶやいた後、少し顔を赤らめてこちらを見据え、


 「では、ご主人がわらわの着物を脱がせる、というのはどうでしょう」

 

 と言い放った。


 俺は驚いて、あらためて少女の着物に視線を落とす。

 体のラインを主張しない上品なそれは、少女の優しげな雰囲気によく似合っていた。

 しかし、脱がせるだなんて選択肢を提示されては、その布に隠されている、隠されるべきであるものを想像せずにはいられない。

 

 いやしかし、と躊躇う。

 こんないたいけな少女を、俺があられもない姿にしてもよいのだろうか。

 幼くも高尚な雰囲気をまとった少女を汚してしまうことに、罪悪感が沸き上がる。


 「よいのですよ」


 戸惑う俺を見透かしたようにいたずらっぽく口角を上げ、少女はゆっくりと毛布から起き上がる。

 布団を出て畳にすっくと立ち、俺に背を向けて、緩慢な動作で自らを縛っていた帯を解く。

 大きな尻尾が、意思を持ったように揺れた。


 目の前の少女という、完成された存在である彼女を構成する秩序が乱れていくようだ。

 けれど、不完全なものは時として完成されたものよりも美しいのだと、俺は身をもって教えられる。


 帯を完全に外した彼女はゆっくりとこちらを振り返った。

 

 俺は先ほど、着物を脱いだ姿を、”あられもない”姿だと表現した。

 脱がすことを、少女を”汚す”ことだと思った。

 しかし、それらは間違いであることが今ならわかる。


 着物がはだけ、肌を露にした少女は、それはそれは美しい存在だった。

 時間が止まったのかと錯覚するようだ。

 精巧に作られた静止画に見紛うほど、この世のものかと疑うほど。

 絶えず降り続ける雨の音だけが、時が進んでいることを教えてくれる。


 小ぶりな、けれど確かな丸みを持った胸が、はだけた着物によって露出された肌に影を作り、その存在を主張していた。

 

 少女の痩躯がこちらに近づく。


 「こちらの方が、きっとご主人の熱も伝わりますでしょう?」


 俺は気付いたら、目の前に座る少女の着物の衿に手をかけていた。

 するりと脱がせる。

 脱がせた着物がくたりと少女の足元を囲う。


 上半身を隠す長い髪をそっと背中によけてやると、さっきまで着物に隠されていた肌が、完全に姿を現す。

 抱きしめたくなるような華奢な胴。

 小学生さながらの小さい体は、しかし幼児体形のそれとはまったく異なるものであり、醸し出される色気が、どうしようもなく彼女が大人であることを俺に伝えていた。


 少女は俺の右手をそっと自分の胸の上にあてた。

  

 「わらわの温かさが伝わりますでしょうか、ご主人」


 ああ、と頷く。

 肌の内側に確かに存在する熱が手に伝わるのが分かる。

 目の前の少女が生きているという実感に心が解けるような感覚を覚える。


 俺は少し手の位置をずらし、その小さな胸を触る。

 ほかの部分とは明らかに異なる柔らかい感触に、全身の血が騒いだ。

 掌に感じる体温と言い、柔らかさと言い、少女の中に触れているような感覚に襲われる。

 触れてはいけない場所に触れることを許されるというのはこんなにも解けるような気持ちなのか。


 さすがに恥ずかしいのか、少女は白い頬を薄く紅潮させていた。


 「ごしゅじぃん、、、」


 大きい耳がぴくぴくと動いている。

 

 「えっちなことは、だめなのですよ?添い寝がいいといったのはご主人なのですから」


 ああ、分かっている、と苦笑しながら答え、俺は手を胸からゆっくりと脇腹の方に滑らせる。

 本当に傷一つない、なめらかな肌だった。

 手に吸い付くような、それでいてシルクのようなさらりとした感触に感動を覚えながら、俺はその緩やかな曲線を描く体のラインをゆっくりとなぞる。


 「、、、っ」


 こそばゆかったのか、体をよじらせ、声にならない息を漏らす少女に、艶めかしい雰囲気を感じてしまう。


 「も、もう寝ましょうご主人。疲れているのでしょう?」


 隙を見せたことを恥じるように慌てて言う少女に愛おしさを感じながら、俺はそうだな、と頷いた。


 「風邪をひいても困ることだし、早く布団に入ろう」


 今度は俺が少女を毛布の中に招き入れる。

 二人ですっぽり布団に入ると、上がった二人分の体温のせいか、思いのほか眠気はすぐ来るようだった。


 少女が俺の胸に身を寄せてくる。

 お腹にあたる、柔らかいふくらみの感触に熱くなる体も、どこか他人事の様な。

 まどろみの中で、その小さな体を抱きしめた。

 少女のふわふわの耳が顔に触れ、ああ、日向の匂いがするなあと。

 そんなことを、考えて。


 ***


 目が覚めると、視界は暗闇に覆われていた。

 一瞬、まだ日が昇っていないのだろうかと寝ぼけた頭に思考をめぐらすが、すぐにそうではないことに気づく。

 

 俺はベッドから体を起こし、頭に手をかけた。

 頭をすっぽりと覆っている、バイク用ヘルメットのようなゴツイそれをカポリと外すと、さっきまでの闇を飲み込み、侵食するような勢いで朝の光が世界に広がる。

 甲高い小鳥のさえずりが、もうとっくに夜が明けていることを俺に教えてくれていた。


 未だ余韻に浸っているようなぼうっとした頭で、先ほどまで自分の頭に着けていた機械とケーブルで繋がったスマホを枕元から手に取り、画面を開く。

 そこには、昨日の夜と変わらず、タイトル名と着物を着た狐の少女のイラストが表示されている。


 【いやしどころ】~雨の日の狐さんは俺とあまあま添い寝をご所望です~ 


 ★★★★★

 リアルさながらの質感で最高にエロい!

 会話次第でいろんなシチュエーションに持っていけて、遊びがいがあります!

 正直、ここまで女の子が可愛いのは初めてですね!

 次回作も楽しみにしています!


 ★★★★☆

 耳かきのr18verを試しての感想です。

 まず、グラフィックは期待以上でした。

 髪や、肌の美しさは現実を凌駕しています。

 ただ、一つだけ言うと、音声が聞き取りづらい箇所があるようです。

 私の声が小さかっただけかもしれませんが。

 全体的にはとてもレベルの高い出来なので、これからいろんなシチュエーンを開拓しようと思います。、、、


 一通りレビューを眺めて満足した俺は、スマホをベッドにおいてぐうっと伸びをした。

 なんだか現実に戻ってしまった感というか、幸せな夢から引き戻されたような一抹の虚しさは否めないが、こればかりはしょうがない。

 続きは夜になってからだ。


 カーテンの隙間から洩れる光が床に小さな陽だまりを作る。

 そこを踏むと、足に心地よい熱が広がった。

 昨日戯れた少女の体温を思い出しながら、俺はあくびを一つして、部屋を出た。


 近頃開発された五感で楽しめる没入型シチュエーションVR。

 ちょっと値段はお高いが、アダルトコンテンツで絶賛人気爆発中である。

 リアルと大差ない、むしろリアルよりも優れたエロクオリティーにのめり込み、廃人と化したオタクもいるとかいないとか。

 日本の少子化はまだまだ留まることを知らない。

ありがとうございました!

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