3 転生
「カーナさん!好きです!おっ俺と…付き合ってください!」
こんにちは。ローズ・アイバーです。 転生してカーナ・ドライオンになりました。今、貴族の男の子に告白されています。どうしてこのようなことになったのかいまから説明していこうと思います。
まず、不完全だった転生魔法は無事成功。
三年後、氷狼族の貴族の娘カーナ・ドライオンが誕生した。
魔王様たちが人間に殺されて統率者がいなくなった関係上、人間との平和条約を少し不利な形で結ぶことになったらしい。
転生したのは氷狼族。世界で一番成長が早い氷狼族に転生出来たのは幸運だった。ちなみに鑑定するとこんな感じ。
カーナ・ドライオン
《称号》
転生者 嫉妬
├言語理解
├超能力┬念力
└鑑定 ├テレパシー
├透視
└千里眼
いやーやばいね。言語理解は私には関係ないんだけど、鑑定がデフォルトで付いてくるのが強すぎる。
上から2段目は多分転生者ごとに違うんだけど、みんなこんな強いのかな?ぶっちゃけ強すぎると思う。他の転生者見てないからわかんないけど、多分超強い。
話を戻すと、生まれたあと私の身体は半年ほどで成長しきった。身長175cmくらいででかい。前世は150cmくらいだったからけっこう大きくなった。
あとは前世の知識を活かして高校に飛び級。学校では元気で可愛い感じを演じてるから多分モテてる。
じゃなきゃ告白なんてされないと思う。高校に入った理由は、魔力が一番活発になる時期で、強いやつが少しずつ出てくると思ったから。
で、今に至る。
「なんで私なの?もっと可愛い子とかいるでしょ?」
「カーナさんのクールでかっこいい所を好きになりました!お願いします!」
(クール?かっこいい?私が?)
状況を理解出来ず固まる私。腰を90度の角度に曲げて頭を下げ続けるコイツ。てか名前なんだよ。
「……ごめんなさい。あなたとは付き合えない。」
「……そっか…。ありがとう。」
貴族のヤツは少し笑いながら背を向けて歩き出した。角を曲がって姿が見えなくなったあと、
「うわあああああん!」
大きな産声のような泣き声が聞こえた。
「なんで…なんで僕はダメなんだ!僕はこんなにもカーナさんが好きなのに…!クソ…」
(…なんだったんだアイツ……キモ)
キーンコーンカーンコーン
今は昼休憩の時間だ。
私が高校でやりたいことをリスト化した。
①仲間集め。(強い転生者が望ましい)
②七大罪の称号を仲間に獲得させる。
③人間国の下見
この三つが高校でのやりたいこと。人間国の下見は、遠征のとき行けるとして、主な目的は強い仲間集め。出来れば自力で称号を獲得したヤツがいいんだけど……
……迷ってても仕方ないな!とりあえず学園を散歩しよ!
今私が通っているのはルーノス学園。中学校と高校がくっついててめっちゃ広い。魔王様もここの学校出身らしい。なんか魔王様の銅像が立ってる。
なんか、どっかに魔力強いやつ居ないかなー?
なんて、いる訳な──────
「おい!お前キモイんだよ!」
いきなり大きな声が聞こえて、慌てて木の裏に隠れて状況を確認する。
一人の少年を四人がかりで蹴っている現場に出くわしてしまった。蹴られている少年はうずくまっていて制服が土で汚れている。
(うわぁ。どーしよ。めんどくさいなぁ。 ……無視でいいか!助ける意味無いし!)
教室に戻ろうと足を進めた時、
「お前なぁ!転生者だかなんだか知らねえが、俺らより何歳も年下の奴が俺と同じ所にいるんじゃねえよ!」
(いや、都合よすぎん?)