29 魔法使い
『えー、今情報が入ってきました。このあと予定されていた第十三試合 カイト・トリドス対カミラ・ボルクスですが、カイト・トリドスの棄権によりカミラ・ボルクスの不戦勝とさせていただきます。』
突然の発表に対して、観客の不満が爆発した。
「ふざけんな!準決勝だぞ!」
「俺はあいつが負けるところを見に来たんだぞ!」
「理由はなんだ!理由は!」
そんな観客の熱を抑制するように実況は言った。
『理由としましては、第九試合での魔力欠乏、それに伴う失神だそうです。』
そう報告を受けても観客の熱は収まらなかった...
『で、では!15分ほど後に十四試合 ミーナ・アンペア対ゾネ・ボルクスを始めます!』
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「お父さん。」
「おおカーナ。」
カーナはテインの隣に座って言った。
「なんかカイトはもう無理そう。魔力が全然戻らないらしいわ。」
「そうか~。でも...カイト君の魔力量に対してだろう?実は以外と回復してるんじゃないか?
「あーまあ確かに...」
そんな二人の会話を羨ましそうに見る男が一人
「...おい、カイラー。そんな顔で俺をみないでくれ...」
「いいだろ別に!羨ましいんだよ!俺だって...俺だってミーナに『お父さん!』って言われたいんだよ!」
「...ん?いや、あの子は『パパ!パパ!』ってずっと言ってたじゃないか。」
そのテインの言葉に、カイラーは悲しそうに答えた。
「それは...二年前までだ...。いきなり『パパ』呼びから『父上』呼びになったんだ...」
「うーーん、それはきついな...」チラッ
「......私は変わんないわよ...」
(よーっし!!!)
(クソあああぁあ!!!!?!)
『ではこれより、第十四試合ミーナ・アンペア対ゾネ・ボルクスを始めます!』
そのアナウンスをきいたカイラーは難しい顔をして言った。
「なあテイン...何分耐えられると思う?」
「さあ...?順当にいけば3分くらいじゃないか?...いやだが、電気魔法が上手くはまれば勝てる可能性もゼロじゃないと思う。」
「そうか?自分の娘に言うのもあれだが、俺は三分で終わると思う。ちょっとゾネ・ボルクスは強すぎる。」
「...あーな。まあ、魔法に関して学生の強さではないな。しかもアイツ、ちゃんと親の体格遺伝してるからなぁ。素で硬いんだよ、多分。なんだあの筋肉、魔法使うならいらないだろ。」
うーん、確かにすごい体してる。オークみたい。
「ん?魔法しか使わないの?」
カーナからのあたり前な質問にテインは答えた。
「そうだ。あんな体持ってるのに格闘家タイプじゃなくて魔法使いなんだよ。もったいないよなぁ。」
「何か理由でもあるの?」
「ああ、姉のカミラと戦術が被るのが嫌らしい。」
「まあ、あそこは姉弟の仲悪いからな...セリュに同情するよ。自分の子供たちが仲悪いなんて大変以外の何でもないからな...」
セリュという人物は話の流れ的にボルクス家の当主だろう。
あの二人の親か。興味はあるな。
試合が始まってから30秒程度、最初からゾネの優位が続いていた。
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