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7 日本人ならアレを手に入れよう

いよいよポイント交換実践編です。

作者はツナマヨ……。

 次の日から、精力的にポイントになるもの探しを開始した。


 まずは手近なところから、小屋の隣にある湧き水を入れてみた。入れ物が無いので手で掬ってみたのだが、どうやら液体は入れ物がないと受け入れないらしい。しかも表示を見るとリッター単位だ。


 次に持ってきた王子の図鑑を片手に食料になりそうなものや、薬草なんかを探してみた。

 結果、真冬ということを忘れていたという事実を突き付けられただけだった。冬に採れるものもあるが、見つけるのはなかなか容易ではない。


 次に、木の枝や土なんかを入れてみた。

 すると、土は石や水と同じで、量を必要とするらしい。しかもキロ単位だ。とりあえず土は諦めた。


 で、枝だが、なんと意外と高ポイントだった。チャリーンと音がしてポイントと説明が出る。

 その説明を読むと、「乾いた枝(薪用)」となっていて、太いものは1本が10ポイントももらえた。


 やったー!と喜んでいると、またピロリーンと画面から音がした。

「なんだこれ?初ポイントボーナスを選んでください?『通貨交換』と『事前鑑定』?」

 出てきた謎文字に、私はまた文字に触ってみた。


 “通貨をポイント化できるようになります”“ポイント化する前に簡易鑑定に掛けられます“と出た。


 選択という字面からすると、片方を選択したら片方は無くなるのかもしれない。でも後から復活するかもしれない。

 前者は今持ってる現金で即時ポイントゲットできる仕組みで、後者は後々誤交換を防ぐのに役に立つだろう。どちらもきっと凄い機能だと思うけど、私は刹那に生きることにした。


「『通貨交換』、君に決めた!」

 名称の下にある「選択」ボタンをポチッとすると、本当によろしいですか、と聞かれる。そうすると決心が揺らぎそうになるが、この危険な環境の中で、即時ポイントが入る「通貨交換」は非常に魅力的だった。


 私は震える指でYESを押すと、トップ画面のポイント交換のエリアに「通貨交換」の文字が現れた。それをタップしてみると、いつもより小さい投入口が現れた。

 あれだ、自販機の硬貨口とお札の投入口に似てる。


 小屋に戻り、北条さんに貰ったお金を取り出した。

 多くは無いけど、金貨が入っている。金貨一枚は10万ウェン。

 そう、この国の通貨は「ウェン」という。なんか、すごいやっつけとパチモン感がするのは私の気のせいだろうか。

 で、大体物価は日本よりちょっと安いくらい。


 さっそくその硬貨を投入してみる。


 “10万ウェンを10万ポイントと交換します。よろしいですか?YES/NO”

 もちろんYESだ。


 チャリーンという音がして、ポイント数が10万56ポイントになった。

 そしてまたピローンとなる。今度はなんだ?


 “10万ポイント達成。Lv2になりました。”


「特典がインフレ起こしている」

 一気にポイントが入ったうえ、レベルまで上がった。通貨交換様様だ。


「レベル上がると何が変わったんだろう」

 そうして「日本」の方を開けると、カテゴリに「その他」が現れた。もちろんポチッとする。


「うわ。神か!」

 思わず声が出た。だって、そこには信じられない文字が存在した。


 “スマホバッテリー(1日分) wi-fi使用(1時間) 家電用電気(1時間) 灯油(1リットル) 備長炭(1キロ)”


 こちらで用をなさなくなって久しいスマホの無機質な画面が、これで甦るのだ。

 ネットが使えなくても、本体に落としてある情報なら見放題ということ。


 特にスマホに依存していた訳では無いけど、日本での自分を誰も知らないこの世界で、やっぱり懐かしい写真やレシピが見られるのは嬉しい。


 そしてそれを補完するwi-fi機能。これを神スキルと言わずして何とする。


 あと何気なく燃料がある。これなら薪拾いに終始せずに済む。


「そういえば、こっちのお金は普通に取り込めたけど、向こうのお金もいけるのかな」


 そう思いたって、リュックからお財布を取り出した。

 取りあえず1000円を交換してみることにする。

 チャリーンと音がして、ポイントが入る。やっぱり向こうのお金も通貨交換の恩恵に与れるらしい。


 とそこまでで満足していたのだが、ポイントが良く見るとおかしかった。

 現在20万56ポイントになっているのだ。


 恐る恐る履歴を見てみると、“異世界ポイント加算×100”となっていた。

「ぎゃふん」


 どうやら、日本の物をポイント換算すると、物に応じて加算ポイントが付くようだ。

 あまり数が無いから試せないが、日本円は100倍の価値になるらしい。

 多分、異世界物質の特典だ。


 怖い。これは人間がダメになるヤツだ。


 日本円は現在50万ちょっとある。ポイント換算すれば5000万円の価値になる。

 これはもう最終手段として、のっぴきならない状況になった時まで封印しようと思った。


「さ、さて、じゃあポイント交換してみようかなぁ」

 哀しい小市民の私は、大金を手にすると挙動不審になる。


 だけど、ネットショッピングみたいでなんか楽しい。

 最初に買うのは、やっぱりアレだ。


「お米でしょ、塩でしょ、のりでしょ、具は、しゃけ!」

 日本人ならおにぎりだ!


 私は欲望の赴くままにポチった。

 お米は1キロ単位だったので5キロ、塩はグラム単位だったけど1キロ買った。米、どんだけ食べるんだと思ったけど、思わずいつもの一人暮らしの買い出し分量にしてしまった。長期保存できるやつは遠慮しない。

 で、のりは1袋10枚入り、しゃけは何と切り身になっていた。


「まんま近所のスーパーなんだけど」

 値段帯も安売りの時よりは割高だが、概ね通常の値段だった。1ポイント1円って感じだ。


「おっと、忘れるところだった!」

 そう、お米があってもアレがないとダメじゃない。


「すーいーはーんーきー、と、ぐーりーるー」

 自分のテンションにちょっと引きつつも、抑えきれない。


 私はいそいそと「家電」を見るが、なんと、炊飯器もグリルも無かった。

 現在交換可能なのは、魚焼き網と七輪、土鍋か飯ごうだ。あ、クッカーとかスキレットはあるけど、家電でハイテクなやつとか便利なやつは、レベルが上がらないと出てこないパターンなのか!

 まだ見えない「???」の中にあることを切に願う。


「そんなにうまいこといくわけないか。でも何とかなる!」

 飯ごうは無理なので、土鍋とカセットコンロ(ガスボンベ付き)、七輪と炭と焼き網を購入。着火剤とカチッとすると火が出るやつも買った。


「あ、これは!絶対買わねば!」

 それらを買おうとしていたら、私は凄いものを見つけた。開放式石油ストーブというやつだ。

 

 セラミックヒーターとか電気ストーブみたいなのじゃなく、上の方でお湯が沸かせるやつ。


 そして、念願のクッション!あとお布団もね。

 これで地べたともおさらばだ。ついでに銀色の保温シートとブルーシートも買った。何と言っても底冷えと小屋のすきま風を防がねばならない。


 全て買い物が終わり、今度は交換後に物を入れておく亜空間収納を見てみた。

 どうやって取り出すんだろう?


 少しだけ考えていたが、試しに品名が並んでいるところに触れてみると、“米を取り出しますか?__合”と出た。

 試しに1合とすると、取り出し口という枠が出てきたので、その中に手を入れてみたら、指先に器のようなものが当たった。

 それを引き出すと、ボウルのようなものにきっかり1合のお米が入っている。

 とりあえずお米を土鍋に移すと、その入れ物はスッと消えた。


 まさか、お米が零れないように、他の器に移すまでのサポート?

「……神はここにいたのか」


 そうして私は、涙ぐみながら、実に2か月ぶりの和食を堪能したのであった。


 満足に一日を終えた私は、フカフカのお布団に入る。


 十分温かいはずだけれど、私はレアリスさんのコートをお布団の上にそっと被せた。

始まりました、ポイント交換です。

石油ストーブもいいけど、ジジジっていう電気ストーブもいいですよね。


そんなわけで、次回は冬にぴったりのモフモフが出ます。ちょっとべっとりしてるけど。


また明日、閲覧よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] レアリスさんの身勝手な優しさを勝手にめっちゃ受け取られとるの見てニヤニヤしてしまうw
[良い点] >まさか、お米が零れないように、他の器に移すまでのサポート? サポートが無かったら空中から米だけドサドサっと落ちてきてぎゃぁーとなるまでが仕様 土の上に落ちた米を泣きながら搔き集めて洗う姿…
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