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139 目映い光

作者は、辛さ控えめが好きです。

 前門のドア後門のユーシスで、逃げ場のない私は、体温の高いユーシスさんの気配に怯えながら、必死に言い訳を考えていた。いや、疚しいことはな……未遂だったし。


「君の殿下への想いが、ファルハド殿で揺らぐようなものなら……」

 私越しに、ドアに突いているユーシスさんの両手が見える。体のどこも一ミリも触ってないのに、物凄い拘束感がする。もしかしなくても、怒ってる? もうファルハドさんのこと、「西戍王殿下」じゃなくて「ファルハド殿」呼びになってるもの。


 チラッと振り返って見上げたユーシスさんの顔は、見事なアルカイックスマイルだった。

 お父さん、お父さん、魔王がいるよ。


「ゆ、揺らいでません! 身の潔白をお約束します!」

 あまりの圧迫感に、ちゃんとファルハドさんとは話をして、前に受けた求婚はちゃんとお断りしたことを必死に報告した。実を言えば、まだ求婚の髪飾りを持ってはいるんだけど。


 あの日は最初、私は返すと言ったけど、「セリカで贈った物を返されるのは、政略で家門同士が決別した場合や贈った側の家が困窮しているという不名誉な意味になる、と亀と蛇が言っていた」とお父さんが言ったからやめた。どうやら、女子会レジェンドたちはファルハドさんとのことを私がどうするか、裏でこっそり賭けをしていたようだ。

 ファルハドさんは私がしたいようにさせてくれようとしたけど、今の「西戍王」という地位にあるファルハドさんにとっては、名誉的な部分はその地位を守っていくのに大切なものだから、大事に預かっておく、ということになった。


 これは、ユーシスさんにも内緒だけれど。


「そう? それならいい」

 ユーシスさんのアルカイックスマイルがキラキラスマイルになって、何かが軽減されたことが分かった。威圧が半減している。まだ半減だけど。

 それでも、私を解放する時に、紳士的にドアを開けてくれた。


「でないと、殿下への忠誠や君への自制を、壊してしまいたくなるから」

「え?」

 ドアを開ける時のギィという音に紛れて、ユーシスさんが何かを言ったようだったけど、うまく聞き取れなかった。


 聞き返した私に、今度は魔王が消滅して優しく笑った。

「ハル。今日は俺のために、美味しい食事を作って」

「え? はい、もちろん」


 なんだ。ご飯の話だったのか。

 私が頷くと、「さあ、行って」と言って見送ってくれた。


 その後は、何故か中庭じゃなくて王子宮のお庭でご飯を食べることになった。王子宮はイリアス殿下と最初にお会いした黒歴史の時に、みんなで何故かキャンプした場所だ。


 そこで、宣言どおりに焼き鳥に豚キムチに麻婆茄子にピザに唐揚げを作ったよ。


 ピザは冷凍食品の生地があったから、ちゃんとしたのを作った。チーズたっぷり大人のチョリソーピザと、子供たちも大好き照り焼きチキンピザ。どっちも冷たいビールが進む。


 麻婆茄子も麻婆豆腐も日本で使ってた麻婆の素に、ひき肉と豆板醤増し増しで、豚キムチも添えて、白米をどれだけ用意しようか迷う。


 日本酒派も納得の焼き鳥も準備。焼き鳥はねぎま、砂肝、なんこつ、つくね、ぼんじり、せせりを塩とタレで提供。大量の串打ちは、何故かアルジュンさんとメイリンさんが得意でやってくれた。後で聞いたら、暗器という隠し武器に同じような形態のものがあって、扱いには慣れているらしい。……聞いても良かったのかな? それをレアリスさんが次々と焼き鳥用コンロで焼いていく。


 あとは、みんな大好き唐揚げだ。

 今日はユーシスさんはゲストなので、王子と有紗ちゃん、イリアス殿下の不器用トリオに囲まれて、大人しく出来上がるまでジッとしててもらおうとしたら、どうしてもウズウズするらしく、途中で唐揚げ作りに参戦してきた。


 ビールも何種類か出して、日本酒と焼酎とハイボール、女子には甘いリキュール系のお酒と梅酒を用意。まあ、どんだけ飲むの?っていう量を出した。


 セリカの人たちも、先発隊で調査していた人たちも全員帰ってきて、レジェンドたちもお家に帰っている白虎さんと朱雀さん、フレースヴェルグさんとラタトスクさん以外は参加だ。残念だけど、後で別にご馳走を作って食べてもらおう。


 そんな訳で、のっけからみんなハイスピードでお酒とご飯が進んでいた。


 私もピリ辛麻婆茄子でご飯を包んでパクリと行った後にビールで流し込み、ちょっと濃い目に作ったハイボールのお供にニンニクの効いた唐揚げをパク。焼き鳥の砂肝(塩)で冷酒をグイ。トロトロのチーズが絡んだ照り焼きチキンピザをコークハイでごっくん。


 カロリー? 体重? そんなの見なければOK!


 みんなも似たような感じで、ご飯のお釜が空っぽで、一升炊き炊飯器を追加で交換して、前に使ったビアサーバーもレアリスさんがフル稼働させている。


 今日の主役のユーシスさんの周りにみんな集まっていて、助けられたセシルさんやメイシンさんが土下座や抱き着いて謝罪しようとしていたので、ユーシスさんは「もうそれは受け取ったから、今日は私の回復を喜んでもらえたら嬉しい」と言って、しんみりな雰囲気を出せないようにしていた。

 でも、セシルさんの本当の目論見はユーシスさんに謝罪の体で抱き着こうとしていたようで、それに便乗して勝負(何のかは分からないけど)しようとしていた酔っ払い組の王子、綾人君、ラハンさんもまとめて、ユーシスさんはファルハドさんを隣に置いて、ブロックしていた。ついでにスイランさんもユーシスさんと勝負と聞いて目を輝かせていたけど、ファルハドさんが叱ったら諦めたようだった。


 その勝負大好き組は、まとめてイヴァンさんが面倒見てくれて、相撲でコロンコロンと転がしてくれていた。みんなキャッキャッと楽しそうだ。まあ、いつもの如く、転がりすぎて地面に四つん這いになって「うぇぇ」となっていたけど。さすがにスイランさんにはコロンはしなかったけど、カラドボルグと盤古の斧の大型武器の使い方談義に入った。

 イヴァンさんって兄貴肌で、年下の扱いが上手だよね。


 そのうち、その武器談義にレアリスさんとアルジュンさんも合流して、神話級武器の話で盛り上がりだした。そうしたらやっぱり、仔犬化お父さんと小さいレッドさんも参加するよね。

 何度目か分からない「自分の素材由来の武器が一番カッコいい」自慢になって、最後には小さい二人が取っ組み合いでコロコロ転がっていた。可愛いが渋滞している。


 子供たちと有紗ちゃん、リウィアさん、メイシンさん、メイリンさん、セシルさんの女子組は、甘いものを食べながら可愛いもの談義をしている。ちょっとアルジュンさんもチラチラと入りたそうにしているけど、レアリスさんにがっちりホールドされていて動けない。アルジュンさん、甘いものと可愛いものが好きだからね。


 他のレジェンドはというと、イリアス殿下やリヨウさんにいろいろなことを聞いたり聞かれたりしているようだ。真面目な感じに見えるけど、時々『私の霊山に貴公子を百人派遣しろ。髭はいらない』と神託を受けているようだった。……メイさん、リヨウさんみたいな穏やかな貴公子が好みみたいだからね。あと、「髭」って多分セリカの皇帝陛下だね。


 追加のピザや焼き鳥を焼きながらチラッと見ると、少し静かになった場所で、ユーシスさんとファルハドさんがサシ飲みしていた。何を話しているかは分からないけど、時々苦笑したり屈託なく笑ったり、そこだけがとっても大人な空間ができていた。

 二人ともロックグラスを持ってるけど、多分ファルハドさんがウイスキーでユーシスさんがノームから貰った火酒だと思う。いつも二人は誰かのお世話をするポジションだったけど、前にイリアス殿下が、二人は将官として似たタイプだと言っていたから、身分は違うけれど、それを超えて対等に話ができる数少ない相手なのかもしれない。


 それにしても、二人とも絵になりすぎる。こんな二人がバーでサシ飲みしていたら、そのバーは女性客で寿司詰めになるよ。


 美味しいと楽しいが溢れて、あっという間に夜も更けてきた。


 子供たちを先に帰らせた後、女性陣もお開きの気配が漂う頃に、王宮から数人の護衛を連れた国王陛下が、リュシーお母さまを伴ってやってきた。


 私は慌てて王子とイリアス殿下を探すと、イリアス殿下はいち早くお父様に気付いたようだったけど、王子はいつの間にかユーシスさんに寄り掛かって寝ていた。ユーシスさんが慌てて臣下の礼を取ろうとしたけど、寝ている王子の事もどうしたものかと一瞬迷いを見せていたら、国王陛下は片手を挙げてそれを制したので、ユーシスさんは目礼に留めた。

 リュシーお母さまは、王子の隣にしゃがんで王子のほっぺを突いて「幸せそうな顔しちゃって」と笑った。確かに王子はユーシスさんにくっついて満足そうな顔で寝ている。


 国王陛下はそれぞれに礼を取る人間組と、悠々とこちらを見るレジェンドたちを見て、最後に私を見た。


「あなたの周りは、いつも笑顔や驚きで溢れている」

 静かな声が、少し笑いを含んで響いた。褒められたようで恐縮してしまう。


「諦めずに勇敢に脅威に立ち向かってくれたこと、我が国の騎士を救ってくれたこと、すべてに感謝する」

「いえ。私は私のできることをしただけです」


 改まってお礼を言われたことに、却って申し訳なく思ってしまう。偶然や幸運が重なって得られた結果だから、私の手柄みたいに言われるとソワソワしてしまう。


「そう。あなたが、あなたにしかできないことを実行したから生まれた結果だ。たとえそれが偶然や幸運の産物であっても、行動してそれを引き寄せたのは、紛れもなくあなたの功績だ。もっと自分を誇りなさい」

 そう言って、国王陛下は私の頭を撫でた。それは、一国の主というよりも父のような慈愛を感じるもので、私は胸の奥が熱くなるのを感じた。


 ユーシスさんの無事を確認してもまだ実感のなかった状態だけど、今の国王陛下の言葉で、本当にやってのけたことに実感が湧いてきた。


「ありがとう、ハル殿」


 ああ、立ち止まらずにいて良かった。

 国王陛下の声に、私は心から笑って応えることができた。




 ユーシスさん復活の宴会から一週間ほどして、果ての迷宮への入口に関する会議が行われた。この日のために、セリカから皇帝陛下も入国した。


 とうとう私もその会議に出ることになった。もちろん、有紗ちゃんも綾人君もいる。


 先発隊だった人たちが持ち帰った情報と、一緒に行ったレジェンド二人の見立て、追加派遣した調査隊の結果を踏まえて、今後の計画が議論される会議だ。


「四獣『青龍』の見立てでは、これまでにない濃い瘴気が迷宮に漂っているとのこと。瘴気や魔物の出現が極端に減少している現状に鑑み、恐らく各地に広がる瘴気が迷宮に集約されていると思われます」

 イリアス殿下が書類を読み上げ、そう国王陛下と皇帝陛下に報告する。


「セリカ側から派遣した解呪師より、結界の強度が日蝕時の瘴気の流れと類似の傾向が見られるとの報告がありました。日没後に瘴気の活動に減退が見られるため、おそらく陽気の活性と同様の動きをするものと思われます」

 セリカ側は、リヨウさんが説明をする。


 セリカでは、太陽を「陽」の気、月を「陰」の気と捉える陰陽説の研究が盛んで、レンダールにはない視点から瘴気の動きを診てもらったようだ。そこから、迷宮の入口の結界は、日照に比例して強度が上下すると掴んだようだ。


「結界の『呪い』については、青龍が入口を解錠する術式を試したところ、強固に術を跳ね返す動きがあるようですが、全く作用しない訳でもないようです。結界の強度が最も落ちる時であれば、四獣方のお力で入口は開くとのことです」

 最後に、実際に結界や呪いを青龍さんと見てきたセシルさんが結果を述べた。


「では、最も結界が弱る時期というのはいつになるか、試算はできるか?」

 国王陛下が尋ねると、王子が立ち上がって意見を言った。王子が統括する魔術庁は、魔術の研究の他、そういった暦の管理も行っている部署らしい。


「セリカの研究史を見ると、日蝕または冬至が最も陽の気が不活性になるとあり、深度で言えば日蝕が最も強い効果が見込まれますが、時間が数分と非常に限られてしまいます。冬至は活性深度が日蝕に劣るものの、効果時間が日没後一時間と長く取れるため、より安全に結界の解錠に時間を取れます。また、日蝕は約半年後の二月六日、冬至は十二月二十四日であり、冬至が現在、最速かつ最も効率的な日かと」


 二月六日って、ちょうど私と有紗ちゃん、綾人君が召喚された日だね。


 王子の説明で、実行の日が冬至に決まった。その日で失敗したとしても、次の日蝕で取り戻せばいいからね。


「アリサ殿、アヤト殿、ハル殿。どうかこの世界のためにお力をお貸し願いたい」

 セリカの皇帝陛下が、そう言って私たちに頭を下げた。私たちにNOという言葉はなかった。


 私たちの答えに、国王陛下が強い意志を秘めた目を、会場の全員に向けた。

「四か月の猶予。いかなる結果になるとも、最善を尽くそう」


 事態がどれだけ困難か分かっている。だから陛下の言葉は、召喚された私たちに重圧を強いないものだった。

 私たちの心を縛って、戦いを強制することもできるのに、優しいね。


 会議が散会になって国王陛下と皇帝陛下が席を立った後、視線を感じて目を向けると、王子が私をジッと見ていた。私はそれに気付いて近付いていくと、王子は表情を曇らせた。


「……ハル」

 王子が何かを言いかけた時、侍従のような人が王太子のレイセリク殿下に駆け寄ってきた。その只ならぬ様子に、会場が一瞬ざわめいた。


「王太子殿下。イネス妃殿下のご容態が!」

 イネス様は、レイセリク殿下の奥様で王太子妃だ。そのご容態というと……。


 普段の優雅な貴公子らしからぬガタッと椅子の音を立てて、レイセリク殿下が立ち上がった。

 駆けだしそうな勢いで、レイセリク殿下がみんなに一礼した後に部屋を出ていく。どうやら、会議に入る前から産気づいていたようだ。


「どうしたの?」

 こちらに来たばかりで、あまり事情が分からない綾人君が尋ねる。

「イネス妃殿下は臨月なの」

 それに有紗ちゃんが、レイセリク殿下の慌てぶりに苦笑して答える。

 それで綾人君は「わぁ、おめでたいね」と喜んでいたけど、私はイリアス殿下に目を向けた。同じように私を見たイリアス殿下と目が合い、無言で付いてくるよう顎で指し示された。


 この会場では、私とイリアス殿下しか知らない秘密。生まれてくる赤ちゃんが何色の目をしているか。そのことによって、今後の王室が揺れるかもしれない。


 私は咄嗟に王子の手を掴んで、イリアス殿下の下に連れて行った。殿下は呆れたような顔をしたけど、仕方ないと諦めたようだった。


 そのままイリアス殿下の後について、王族の控室に入った。私は遠慮したかったけど、ここまで来て逃げるな、とイリアス殿下に言われ、しぶしぶとついていく。

 王子は何も説明しない私に終始怪訝そうな顔をしていたけど、今は尋ねる時ではないと悟ったのか、静観してくれるようだ。


 控室には、既に国王陛下とレイセリク殿下、エフィーナ王妃様がいて、私が入ってきても何も言わずに歓迎してくれた。エフィーナ王妃様とこんな近くでお会いするのは初めてだけど、優雅に微笑んでくれたので、私はようやく落ち着くことができた。


「……ハル、イリアス。後で説明しろよな」

 王子が低く言うのに、私もイリアス殿下も頷いた。


 しばらくの沈黙の後、ノックの音が響く。執事のような恰好をした年配の男性が中に入ってきて、赤ちゃんが無事生まれたことを伝えてくれた。どうやら全員息を止めていたらしく、一斉にため息が漏れた。


 私たちは、その執事さんの案内の元、イネス王太子妃様がいらっしゃる部屋へ通された。

 出産からは時間が経っているのか、イネス様はお綺麗な姿でベッドに上半身を起こしていた。それは国王陛下への礼儀で、挨拶が済むとすぐに横になった。そうだよね、出産後って起きてるの大変だよね。


 イネス様は初めてお会いしたけれど、赤みの強い金髪の可愛らしい感じの方で、レイセリク殿下のご長男のエルシス殿下に似ていた。私がいても驚かないところを見ると、きっと王家の瞳の秘密の件を知っているのだろう。

 そのイネス様の隣に、白い産着を着た赤ちゃんが寝ていて、ぴくぴくと手や足を動かしている。小さくて、動いているのが不思議だ。


「よくやった、イネス。よくやった」

 普段は怜悧なはずのレイセリク殿下が、その単語しか知らないかのように、何回も「よくやった」とイネス様に伝えていた。その姿からは、赤ちゃんの瞳の色が何色だろうと、絶対的に愛が冷めないことが伝わってくる。


「レイ。女の子ですよ」

 イネス様が、レイセリク殿下を愛称で呼んで言った。それにレイセリク殿下が「ああ」と言って、愛おし気に赤ちゃんとイネス様の額に口づけを落とした。


「抱いてあげてください、レイ」

 イネス様に言われて、恐る恐るレイセリク殿下が赤ちゃんを抱っこする。王族はあまり赤ちゃんの世話をしないからか、どこかぎこちなくて見ている方がハラハラする。

 その感触がむず痒かったのか、赤ちゃんが身動きしてポンと小さい手がレイセリク殿下の顎に当たった。その刺激のせいかは分からないけど、赤ちゃんの目がゆっくりと開いた。


「可愛いでしょう。あなた似ね」

 その瞳を覗き込んだレイセリク殿下は、泣き笑いのような笑顔を見せた。


「ああ。綺麗な()()の目をした、可愛らしい娘だ」


 その言葉に、私は思わずイリアス殿下を見て笑った。

 そしたら、本当に珍しいことに、イリアス殿下が柔らかい笑顔を見せた。

 それを見た王子が一番びっくりしていたけど、王子も姪っ子の誕生につられて笑顔になる。


「この子の名前は決まりましたか?」

 イネス様がレイセリク殿下に尋ねると、レイセリク殿下は一度目を瞑ってから、しっかりとした声で言った。


「エレノア」

 イネス様のご出身の中西部の響きで、目映い光を表すそうだ。


「この子の未来が、光で満たされるように」


 きっとその願いは叶いますよ。だって、女神様の加護が付いているんだもの。


 私は少し前にいる王子の手を見て、ふと繋いでみたいと思った。


 そっと指先に触れると、王子はびっくりしたみたいだったけど、何事も無かったかのようにすぐに私の手を握りこんで前を向いた。

 私のより大きくて温かい手が、こんなにも慕わしい。


 私も、あなたとのこんな未来を、夢見てもいいですか?

ビールって、ピッチャーで頼むと何杯飲んだか分からなくなりますよね。

いくら飲んでもなみなみと足されちゃうので。

歓送迎会シーズンなので、飲みすぎ、注ぎすぎにはご注意ください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 目映い光がほしいか? ホレ、禿げ髪様出番じゃよ? ・・・( ゜д゜)ハッ! またやってしまった。ピュアだよね? では、ピュアに概略説明をすると 騎士が走り回る大根の汁とクネクネ動…
[良い点] 宴会のハチャメチャを吹き飛ばすような、ハルの想いにキュンキュンしました。 素敵です。 [一言] 魔王の気持ちが切ない。 正しく大人ですね。
[良い点] 更新お疲れ様です。 レイセリク殿下のお子さんは紫でしたか…取り敢えずは一安心、かな? 後でイリアス殿下と波瑠が気を揉んでた理由を話す訳ですが…全部聞いた後の王子の心境や如何に? [一言]…
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