122 血は争えない
ずいぶん間を空けて、お待たせしてしまいました。
急いで仕上げたので、ちょっと誤字脱字が多いかもしれません。
菓子パンを食べる時は、成分表を見ないようにしています。
見なければ、カロリーはゼロ!
ということで、今回は波瑠のパン祭りです。
朝目が覚めたら、有紗ちゃんとリウィアさんがベッドの側にいたので、事の顛末を聞いた。
昨夜、何故かびしょ濡れで、おでこから血が出て気絶している私を抱えた、私より顔色が悪くなったユーシスさんが大慌てでお城に飛び込んできて、少しお城ではてんやわんやしていたみたいだ。さすがのユーシスさんも、お父さんにぶつかられたので対処できずに湖に一緒に倒れたみたいで、私がちょうどダイブした水の中にいい感じの石があって、結構な勢いでおでこをぶつけていたようです。
いつもなら私がポーションを出して済んじゃうけど、当の本人が気絶していたし、大量に水を飲んでいたようなので、ユーシスさんがいつもの過保護がぶり返し、就寝中のメイさんを叩き起こして診てもらったようだ。で、メイさんが『胸筋男が適切な処置をしたようだから、まあ大丈夫だろう』と、ちょっと「ん?」という健康のお墨付きをもらうと、お城の治癒魔法が使える人におでこを治してもらったようだ。ご迷惑をお掛けしました。
その後、ユーシスさんに連れられて謝りに来た傷害犯のお父さんは、私の前でもユーシスさんにこっぴどく怒られていた。『そなたの悶々としていたものをスッキリさせてやっただろう。本人の記憶はすっ飛んでいるようだがな』「それには感謝していますが、これとは別です」と謎の会話を二人で繰り広げていたけど、結局真昼間の二時間ほど「まゆ毛犬 (通常サイズ)」の刑に処されていた。
なんかユーシスさんも鬱屈があったみたいだけど、それは解消されたようだ。
お部屋を出る時に、ユーシスさんにご迷惑をお掛けしたことと、湖に落ちたあたりから記憶が曖昧なことのお詫びと、助けてもらったお礼を言ったら、私の髪を撫でながら「思い出さなくてもいいんだ」と言って笑った。
いつもと変わらない仕草のはずなのに、何故か今日は、胸のドキドキが収まらない。
そんな中、二日酔いの王子も起きて、私が湖で溺れたと聞いて「鈍くさいなぁ」とニヤニヤしていたけど、酔って暴れて吐いた自分の昨夜の醜態の方がどうかと思うよ?
私、本当にこの人のこと好きなんだろうか。
王子がふと、まゆ毛犬状態のお父さんに気付き、「ぶはっ」となって吐きそうになっていたので、まゆ毛を隠そうとバスタオルで頬かむりをしたら、余計面白い顔になってしまい、「げぼっ」と変な声を上げて王子はトイレに駆け込んでいった。
……私、本当にこの人のこと好きなんだろうか……。
みんなで朝食を食べた後、東屋があるお庭で食後のお茶をしながら、これまでのことをまとめて、これからの行動を確認した。セリカの皆さんもリヴァイアサンさん(言いづらい)に会いに行きたいとのこと。それなら、と、王子の領地へみんなを招待することになった。
王子の領地のヴァンウェスタの領都はエストラトと言って、ここから馬車で一日の距離だそうだ。黒の森はその更に北にあって、リヴァイアサンさん(言いづらい)が住んでいるヴァレリアンはその北東にある北海だ。エストラトへ寄るのは最適なルートと言える。
その間も、チラチラと視界に入るきちんとお座りをして頬かむりしたまゆ毛犬のお父さんに、みんな集中力が持っていかれてた。
みんなの精神衛生上の都合から、こうして二時間でお父さんへのお仕置きは完了した。
そんなこんなで、城主のアンスバッハさん(いい人だった)にご挨拶をしてルミリンナを後にした私たちは、それぞれの馬車に乗り込んで出発した。
綾人君とお話をしたいと言って、リヨウさんとファルハドさんがこちらに乗り、武闘談義をしたいということで、スイランさんの馬車にユーシスさんとイヴァンさんが呼ばれていた。今朝も二人は、皇女様の朝の訓練にお呼ばれしていたようだ。ユーシスさん、忙しかったね。
綾人君もセリカの人たちとのお話は弾んだみたいだ。特に、歴史上で最も強いと言われている将軍のリュウキさんの話になって、「鳥のフン頭に落ちて草生えた」の暗号が、そのまま私が教えた意味だと知って、何となくお互いに乾いた笑いを発していた。
特に綾人君が、「あいつが歴史上最も強い将軍だったのかぁ。凄い男だったんだなぁ。悪いことしたなぁ」とかなり感慨深そうだった。でも、最後は反省の言葉だったけど、他にも何かしたっぽい。
話はいつしか真面目な方向に進み、綾人君が最後に行った瘴気祓いの遠征について意見が交わされた。
私たちがセリカ行きの時に通った、あのユーシスさんとレアリスさんが焦土に変えた〝龍の道〟と呼ばれ場所についてだ。
やけに大量の魔物が発生していたから変だと思ったけど、どうもそこが私のスキルの説明にも出た、瘴気の原因と思われる封印された古龍がいる〝果ての迷宮〟に繋がる場所のようだ。実際には〝果ての迷宮〟の入り口の玄関先の軒下くらいの場所らしく、綾人君たちはその場所を一掃して封印し、瘴気が漏れないようにしたとのことだった。要は、満杯になりかけた入れ物の容量を減らし、きつい蓋をしたという応急処置に近いものだったそうだ。
セリカの四獣である玄武さんたちが言っていたけど、本当の〝果ての迷宮〟に至るにはその四獣が扉の鍵を開けなければならないと言っていた。ちょっと前にお父さんが壊して四獣のみんなに怒られていた鍵というのが、綾人君と夕奈さんが封印した入り口の更に奥にあるもので、数百年は持つと言われた瘴気のキャパが、思ったより早く一杯になっているのは、もしかしなくてもお父さんのせいなんじゃ……。
『だから言った。こいつはアホだと』『ホント、バカだよな』と、玄武のメイさんとクロさんが呆れて言う。『私が漏らした分は、ちゃんと自分で落とし前をつけたし、アヤトが祓った時より減らしたではないか!』とお父さんは反論するけど、疑惑は消えない。
「そういえば、あそこ、結構ダンジョンぽくて、食事とか寝袋とか、持って行くものに苦労したなぁ。あ、でも今度は波瑠がいるから全然問題ないじゃん」
ダンジョンみたいなというから、輜重隊みたいなものは組めなくて、補給線がほとんどなかったらしい。なんでも食べ物が全部携帯食だったらしく、夕奈さんが発狂しそうだったので大変だったようだ。特に、お風呂も着替えもないから、そのダンジョンの途中で夕奈さんが魔石を利用したシャワー的な魔術を編み出したみたいだ。一緒にダンジョンに潜った魔術師さんたちが一生懸命覚えていたって。
「まさか、それは今王宮にある風呂設備の魔術の原型か?」
王子がそっと呟いた。そういえば、この世界に来たばかりの時に使わせてもらっていた1DKの部屋にもシャワーがついていて助かった覚えがある。あの時は「便利だなぁ」としか思わなかったけど、あれは夕奈さんの涙ぐましい努力の末に生まれた魔術の賜物なんだね。
転移とかトンネルとかシャワーとか、本当に夕奈さんの魔術がどれだけの犠牲のもとに生まれたのか、私は想像することすらおこがましいと思った。
とにかく、綾人君が来たことで、もう一度そこを攻略すれば〝果ての迷宮〟への足掛かりになるのでは、という話になった。
多分、その場所に辿り着けば、今は古の制約で沈黙を守るレジェンドのみんなからも力を貸してもらえるようになるはず。私たち人間が自分たちの力で秘密を知ることができれば、制約から外れるらしいからね。
もちろん、セリカでも精鋭を募るって。
そして、私の出番だ。綾人君の言うとおり、私がいれば衣食住どれも心配ないからね。
私は、イリアス殿下に出会った頃は、こういう風に戦いに使われてしまうことを怖がっていたけれど、今はみんなと一緒に戦いたいと思う。きっと私も成長しているってことだよね。
「もちろん、ご飯とかテントとか、私に任せてください。毎日パーティだってできます!」
私がガッツポーズをしながら言うと、軽く苦笑する気配が漂った。なに?
「いえ、ハルがいれば、この世の果てだろうと魔境だろうと、どんな場所でもきっと楽しく思えるのだろうな、と」
リヨウさんが口元に手を当てながら笑う。
「ああ、良かったなリヨウ。〝納豆〟だって出してもらい放題だ」
「それは、遠慮しますが」
楽し気なリヨウさんに、ファルハドさんも楽し気に言う。〝納豆〟という単語に、リヨウさんが盛大に眉を顰めた。でも、その後に盛大に噴き出す。まだ納豆がツボるようだ。
本当にこの兄弟は、お互いの肩書が偉くなっても仲がいいね。
リヨウさんはあの後、毎日自作のヨーグルトを食べているそうだ。牛乳やヤクや水牛など、いろいろと材料を変えているみたいで、なんかコーヒーにはまったレアリスさんに似ていて、意外と凝り性のようだ。でも、自分のスキルが少し好きになれたみたいで良かった。
その後は武器の話になった。
レッドさんもカラドボルグについては私が鑑定で見せるまで知らなかったみたいだし、綾人君は素材を貰ってすぐに武器を作った訳じゃないっぽい。
「俺の〝武具創造〟のスキルは、後から生えてきたんだ。ちょうどバカ国王が、どこかの商人が魔獣の牙を素材にして作った剣を馬鹿みたいな額で買って、思いつきでフェンリルの牙で鍛えた剣が欲しいと言い出して、討伐ついでに持ってこいって言われたんだよ。俺も魔獣素材の武器っていったら、狩りのゲームみたいでワクワクしちゃった訳だ。で、フェンリルの牙からどんな武器になるのか自分なりに考えてたらさ、急に頭の中にその明確なビジョンが出て来て、焦ってスキルボード見たらスキルになってたって訳」
神話由来の武器なんてすごいね、と言ったら、「あれ、テキトー。知ってる武器の名前を勝手に付けてるだけ」と、非常に残念な事実を知らされた。
それはともかく、その時の王様は、明らかに強力な武器を持たせたらダメな人だったから、お父さんから運よく素材を貰って作れることが分かっても、綾人君は作れることをすぐに言わなかったみたい。その後も素材行脚しながら、レジェンドたちとお友達になっていったけど、本当に武器を作り始めたのは、セリカに行ってからだって。リュウキ将軍の下でなら安心して武器が作れると思ったらしい。そのいくつかをセリカに置いてきたみたいだけど、それが巡り巡って白陵王さんや大司教の手に渡ったようだ。
カラドボルグは、綾人君とレッドさんの出会いに巻き込まれ、変な鱗が生えてしまったオルドウィケス族の案内役の人へのお詫びの印に、セリカで完成したものを後日渡しに行ったようだ。
確か変な鱗生やすことになったのって、〝勇者現る!〟にテンション上がったレッドさんが、軽く綾人君とバトろうとして案内の人に怪我をさせて、自分の血をあげて復活させたら〝竜化〟しちゃったってヤツだね。
「あん時、マジで焦ったよ。あの人、えっとウェリンだったかな。いい人で良かったよねぇ」
『ああ、そんな名だった。我も、変な業を背負わせたかと思って様子を見に行ったら、やはり同族に魔物のような扱いをされていたのでな、気まずくてまた謝ったら『命を救われて十分』と謙虚だったので、思わず守護竜となることを申し出てしまったわ』
「あ、それ、カラドボルグ渡した時になんか言ってたヤツ」
レッドさんと綾人君が二人で思い出話に花を咲かせていた。そのウェリンさんという人、人間にとっては恐いレッドさんの所へ案内するくらいだから、肝が据わって腕が立つ人だったんだろうけど、二人のせいで、なんか凄い人生を歩んだみたいだね。謙虚で人柄がいいと、何かしてあげたくなっちゃうよね。
そんなエピソードもあったけど、と、綾人君が真面目なトーンになった。
「上の人間はどうしようもなかったけど、中間や下の方の人たちはちゃんとしてて、俺も夕奈もすごい世話になったから、少しでもその人たちの助けにと思って作ったけど、実際、安全装置の無い兵器みたいになっちゃったんだ。いくつか使える条件付けをしたから誰でも使えるものじゃないけど、できればどうなったか知りたい」
そう言った綾人君に、私たちは出来る限りの情報を伝えた。多分、創造した武具の半分は回収して私がポイント化しちゃったか、お父さんが壊しちゃったことと、残りも歴史的に使われた形跡はなかったこと。それを聞いて綾人君は安心したようだった。
そんな綾人君を見て、ふと王子が呟いた。
「ハルたちの世界の神話が元になった武器だというが、実際俺たちの世界でも凄まじい威力を持つ武器があって、それを守る魔獣がいるという言い伝えがある。その武器が何か明らかにされていないが、恐らくアヤトが作ったものを、力のある魔獣が持っているんじゃないかとずっと考えていた」
確かに、最初に神話級武器があることを知った時に、誰かが「神話に存在するとだけ言われている武器」とか言っていた気がするから、その神話を調べれば綾人君の残りの武器がどこにあるか分かるね。
「その神話の解釈だが、〝北の地の主〟とある。もしかせずとも、リヴァイアサンでは」
「「「「…………」」」」
イリアス殿下が神妙に言った。もう、今すぐにリヴァイアサンさんに会いに行った方がいいんじゃ、という空気が流れた。
「取りあえず、そろそろ飯にしようか。何にしても腹が減ったからその後だ」
「いいね、王子。じゃあ、俺、菓子パン食べたい。あと総菜パンも」
「なんだ、それは!俺は食べたことないよな!?」
欲望 (食欲)に忠実な王子の言葉に、意外にも綾人君が乗っかった。あと、余計な情報を入れて来る。王子が早速興味を持ってしまった。
菓子パンは悪魔の食べ物。あんな小さな存在なのに、カロリーが、カロリーがぁ!
私の抵抗虚しく、有紗ちゃんの「私もクリームパン食べたい」という一言で、昼食は盛大 (?)にパン祭りになりました。この時ほど、私の優秀 (?)なスキルを恨んだことはなかった。だって、あらゆる菓子パンがラインナップされていたんだもの!
『ハル、なんか泣いてないか?』
「……うん。美味しいからねぇ、菓子パン。いいよねぇ、みんなは太らない体質で」
『運動しような。俺も付き合うから』
ガルが私に声を掛けてくれるけど、その優しさがいっそう私の胸に刺さった。
「そうだな、運動しろ運動」
そんな私の隣で、王子が二個目のカスタードプリンパンなるものを食べながら(全部で十個は食べてる)、そう笑った。カチン。
「王子。このままだと痛風になっちゃうから、王子は菓子パン禁止」
「な!おま、それ返せ!まだ二口目だ!」
「お父さん、パス」
『よしきた』
サッと取り上げた王子のプリンパンを、近くにいた大きいサイズのお父さんに渡すと、お父さんがパクッと食べた。食べ物は粗末にしては駄目だからね。『……父さん、残飯係だな』と息子がポソッと言ったけど、お父さんは満更でもない様子だ。
向かい側では、きな粉たっぷり揚げパンをイリアス殿下とリヨウさんが食べようとして、二人同時にきな粉で咽ていた。上品な食事に慣れた人にはある意味試練だったね。
意外なことに、どこに吸い込まれているのか分からないけど、ファルハドさんとリヨウさんの妹のスイランさんは、マリトッツォを千切らずに齧り付いて、クリームまみれにならずに食べていた。凄い。
「ハル。わたくしと姉妹になりましょう」
「……お前、ホント自分の欲望に忠実だよ」
私の手をガシッと握ったスイランさんを引き離しつつ、ファルハドさんが呆れて言った。
その向こう側では、優雅にコーヒーを堪能しながら、レアリスさんがお好み焼きパンを食べている。……その組み合わせって、美味しいかなぁ。
そんなワイワイと街道脇でご飯を食べていると、お父さんの耳がピクピクっと動き、玄武のメイさんがてりたまマヨパンを咥えながら空を見上げ、私に掴みかかろうとしていた王子がふと顔を上げた。
私たちがいる街道脇のすぐ先で、不意に光が溢れた。
ユーシスさん、イヴァンさん、レアリスさん、アルジュンさんが立ち上がって前に出て、アズレイドさんとラハンさんとファルハドさんがイリアス殿下とリヨウさんを庇うように立った。いや、ファルハドさんは守られる方になったんじゃないの?
ひりつくような警戒の視線の中、その光が収まった時、そこに現れた人たちは特に驚きもせずにこちらを見た。
女性ばかり三人ほどの人たちで、一番前にいた人は、ツカツカとヒールのある靴で舗装の甘い道を難なく歩いて来た。
青みがかった銀の髪に、深い湖のような濃い青の瞳をした女性で、どこかで会ったことがあるような気がする人だった。ゆったりとしたローブのような服でも分かるほど、ダイナマイトなボディをした迫力ある美女だ。
「ひと月近く前に出発したと聞いたのに、まだこんな所で油を売っていたのか」
甘く官能的な声が言った内容は、まるでこちらを知っているかのようだった。そして、その妖艶な女性の視線の先には王子がいた。
「げっ、ばばぁ!なんでここにいる!」
「ご挨拶だね。せっかく迎えに来てやったのに、クソ甥が」
王子もあちら様を知っているようで、「ばばぁ」と言っている。そして、王子のことを「甥」って言っているよ。
え?どう見ても三十代前半にしか見えないけど、え?
よく見たら、二人は似ていた。スレンダーボディのお母さまと雰囲気が真逆だから気付かなかったけど、さっきの既視感は、そうか、この女性はリュシーお母さまに似ているんだ。青みがかった銀髪も同じだ。
「おや、アルフェリクとアルセイドに似ている子がいるね。あんたがイリアスだね」
謎の美女の視線がイリアス殿下に止まり、珍しくイリアス殿下が言葉に詰まっていた。アルフェリクさんとアルセイドさんって、先王と現国王陛下の名前だ。あ、これは内緒だけどね。
次いでグルッと辺りを見回して最後に私を見た。そして、ふわっと微笑む。庭園の薔薇が一斉に咲いたような華やかさだった。
「オーレリアン以外は、みんな初めましてかな。私はそこのオーレリアン(クソガキ)の伯母でアルレットよ。こっちの二人はばばぁその二とその三のロクサーヌとソランジュ」
ばばぁと自分たちを紹介してくれたけど、どう見ても二十代から三十代の美女にしか見えないんですけど。でも、その口の悪さは確かにお母さまとの血縁を感じさせられた。
「黒の森の一族の長をしているわ」
こんなお若い方が族長をされているとか。凄い迫力も何故か頷けた。
「オーリィの誕生日のために手ぐすね引いて待ってたのに、あんまり遅いから痺れを切らして来てみたの。そんな訳で、ここにいる人たちを黒の森に招待するから」
「……手ぐすねを引くとか、不吉な予感しかしないんだが……」
「ふふ」
王子の顔が青くなったのと同時に、私たちの足元が一斉に光った。
「では、みなさん、オーリィへの誕生日祝い、〝ドキドキワクワク未開の迷宮探訪〟へご招待!」
「「なんだそれはぁーーー!」」
王子とイリアス殿下の仲の良い絶叫が響いた。
ああ、アルレットさんは、間違いなくリュシーお母さまの血縁です。
光に飲み込まれながら、きっとみんな同じことを思ったと確信した。
いやー、こんなに仕事が立て込むとは思わなかったー。
なんも話は進んでいませんが、なんとか書きました。
この頃食事ネタに困っていたので、友人に聞いたところ「揚げパン」と言われたので、パクッときました。スペシャルサンクス友人。
そんな訳で、出てきた伯母様、いったいどこへ行かせるというのかね。
来週もできるだけ更新頑張ります!