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隙間

作者: 朝焼 悠

少しずつ

陽が傾き始めた夕暮れ時

まだ青い空に

線香の煙みたい

今にも消えてしまいそうに

頼りなく浮かぶ雲

水彩絵の具のついた筆を

真新しい水の中で洗ったときのように

揺らめいてとけ込んでいく

薄く細い白い雲


後悔ばかりだな

後悔しちゃいけないって

刷り込むように言い聞かせてきたのに

ずっと甘えて逃げ続けきた

その先にある今だから


あの時は間違いなく

ここで耐えるんだって

必死に歯を食いしばっていたつもりだったのに


少し破れている網戸

吹き込んでくる生暖かい南風

僅かにたなびく

留めていなかったカーテン

まだゆっくりと

空が赤く染められて行く


飛び始めたトンボ

何処かから聞こえてくるクラクション

流れる童謡と防災無線


弱くて 出来なくて

逃げたまま 隠れ続けながら

ずっと自分を責めてきた

自分を恥じて

負い目しか感じられなくて

息を潜め続けた部屋の中

呪文のように繰り返していた

いつかこんな自分でも


でもそのいつかはまだ来ない

遅すぎたのかもしれない


後悔ばかりだな

今も自分を責めてばかり


そんなロクでもない所から

立ち上がったこと

這い出てここまでやってきたこと

どうして誇れないんだろう

欠点ならキリなく上げられるのに

どうして頑張ったって

耐えたって

耐えているって

僕は 言えないんだろう


気付いたら

空には月が黄色く光っている

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今夜の詩も、情景がきれいに描かれていますね〜。 せつないけれど、素敵な詩だと思いました。 今日も素敵な詩をありがとうございます。
2021/08/25 20:59 退会済み
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