第二話
初日なので二話投稿
よくある異世界転移、よくある王道ファンタジー、よくある短パンニーソ
何もおかしくないな(錯乱
さて、全世界の短パンニーソ好きの諸君。私だ。
現在私は……面倒だな。俺は今、高度およそ3000m付近を自由落下中である。
問:助かる方法を提示せよ。なお、パラシュート等はないものとする。
答:死ねばいいんじゃないかな?
耳元の風を切る轟音、眼下に広がるはファンタジー世界。来るのは無情な現実|(死)。
まあ、いろいろあったんだ。
少し遡ることにしようか。そう、あれは今から二日前のこと。
――二日前――
「よう、おはようさん」
「ああ、おはよ」
何の変哲もない通学路に代わり映えしない景色。そしていつも通りに悪友に声をかけられた。
「なあ、おまえ、昨日のドラマ見た?」
「見てない。そんな暇あったら趣味に捧げている」
「あー、ドールか。まあ、そうだよな。お前はそんな奴だったよ」
「ふん。ドラマなんかを見るよりはドールに似合う短パンニーソを一着でも多く作るほうが世のため人のためになるだろう」
「ならねーよ、微塵もな」
ああ、やはりこいつにはわからないか。短パンニーソの偉大さと尊さが。
健康的でスポーティな短パン。男女を問わず着ることが出来る優れものだ。
女性特有の曲線美を映し出す二―ソックス。美しい脚線美と肌を持つ者にしか許されない。まさに資格と資質を問われることになるだろう。
そう、それぞれでは身に着ける人の層が異なる。
しかし、しかしだ。
この短パンとニーソが組み合わさることでさらなる相乗効果が生まれるのだ。
短パンニーソは短パン派も二―ソックス派も受け入れることができる非常に懐の広いファッションなのだ。
いや、それだけではない。短パンと二―ソックスの間の絶対領域。それは短パンの醸し出す健康さと二―ソックスの醸し出す妖艶な美。その二つを同時に兼ね備えた究極の領域。
そのファッションは素晴らしいの一言に尽きるだろう。
二―ソックスを履くことで際立たされる脚線美。それをゆっくりと辿って行くと現れる禁断の素肌。そしてその上にはそれまでとは違う、健康さを見せる短パン。さらに登れば、短パンを履くことで強調される括れや、腹部。
ついでにいうならば短パンニーソを着る場合は上半身も比較的薄くなることが予想される。
まあ、上半身の服なんて正直どうでもいいんだけどね。
短パンニーソが似合っていれば、正直それ以外はどうでもいい。
ああ、短パンニーソこそ至高なり!!!
短パン!短パン!短パン!
ニーソ!ニーソ!ニーソ!!
短パンニーソ!!短パンニーソ!!短パンニーソ!!!
「おい、心の声が漏れているぞ……」
「……なあ、新しい宗教ってどう作ればいいんだろうな」
「しらねーし、こえーよ。ほら、もう着いたぜ。またな」
気が付けば既に昇降口。周りではそれぞれの教室に向かって移動している。
まあ、あとはなんてことない学校生活だった。
教師の話を聞いているふりをしながら短パンニーソのことを考え、昼食を食べながら短パンニーソのことを考え、小テストを受けながら短パンニーソのパターンを書き上げている。
なんてことない平凡な学校生活だった。
放課後までは。
――放課後――
日が傾いた時刻。夕焼けに彩られる教室。
教室の中には数人しかいない。短パンニーソの新作の構想を練るのに少し集中しすぎてしまったか。まあ、それなりの成果は出た。今日のところは帰ろう。
思えばこれも立派なフラグだったのだろうか。
「ね、ねえ、ちょっと下!下見て!」
「下?うわっ、なんだこれ!」
「ま、魔法陣?なんかヤバくない!?」
クラスに残っていた数人が騒ぎ始める。つられて下を見ればずいぶんとご立派な魔法陣がある。読めない文字に意味不明な文様。とどめになぜか発光している。
ああ、これはあれだ。流行りの異世界系だ。
そして間もなく教室内にいた全員が光に飲まれて消えていった。ある少年のつぶやきだけを残して。
『さて、これで異世界送り完了っと。なにか面白い子はいたかしら。あっ、この子はイケメンね。スキル優遇しちゃおっと。取り巻きの子も、うーん。まあ、押しの子が死んじゃうのも嫌だし、優遇しておこうかな。他はテキトーに振っておいてっと。……あれ、何この子、すでにスキル持ちなの?どれどれっと――えっ、うそ、待って待って、なんで女神の私のほうに逆流してッ!!ぎゃああああぁぁぁ、思念が、邪念が流れ込んでくる。やばいやばいヤバい!!ぎゃああああああああああぁぁぁぁぁっぁぁぁ』
彼の短パンニーソへの思いは決して汚されないのだ
……だって汚すほうなのだもの