第3話 森に囚われた魔導士 その2
やっと投稿できました。他の小説で投稿していたのでこっちにもできる範囲で数日以内に投稿していきたいと思います。
(そんな森にどうしてここにエルフが?)
前世で何度か帝国諜報部が保管している機密文書を調べる機会があり、当時自身の調べ物をしている最中に幻術魔法による実験失敗の事件に関する書類があったので一度見たことがあるが、事件の魔導士は人間の男性であり、その弟子も女性の人間とされていたので、子供ができていたらエルフというのもおかしい話なので疑問に思ってしまった。
「ねえ、あなたはどうしてこの森にいるのかしら?」
「どうしてもなにも私はここに住んでいるの」
「え?」
私は驚いて思考が止まってしまいました。ここは誰もいないはずなのに住んでいるエルフがいることに。
「、、、、いったいどういうことなの?ここには昔から幻術魔法、しかも最上級クラスのものが森全体に掛けられていて入ることはできないって、、、、」
「ん?そんなもの関係ない、魔法でゲートを作って出入りできるよ」
「、、、、、、、、、ん?ゲート、、、、、」
そういえば昔、ハイルラ帝国にのみあった転移門のことを言っているのだろうか。いや、それ以前に他国に転移門があり、帝国があった大陸も消えたのにいったいどうしてそんなことに、、、、、。
「ねえ、ゲートって転移門のことかしら?」
「!!、、、、、、、どうして転移門のことを知っているの?」
「え、、、、、、、、あ、そ、それは、、、」
「ぐるるるるるるるるるるる、、、、」
あまりの空腹に私のお腹の音が森に響いてしまった、恥ずかしすぎて穴があったら入りたいわ。
「、、、、、、、、、ぷ」
「ちょっとあなた!!!!今笑いましたね!!!!」
「だ、、、、だって、、、、こんな大きな音、、、、、聞いたこと、、、、、ぷ」
「もー---------!!!!!笑わないでって言ってるでしょう!!!!!!」
まさか見ず知らずのエルフの女の人にこんなに笑われたのは初めてだわ、向こうも初対面のはずなのにこんなに笑う、恥ずかし過ぎて死にそう。
やっと笑うのを辞めてくれてこっちを見てくれた。というか、あれだけ笑われてまた顔を見られると恥ずかしい。
「あなたは悪い人じゃないし、疲れてるみたいだからうちにきて」
「え?いいの?迷惑じゃない?」
「一人ぐらい増えても問題ない、それに森であんなおなかの音鳴らし続けても迷惑」
「もうそれは言わないで!!!!忘れなさいな!!!」
パルスィというこのエルフの女性は鼻歌を歌いながら道案内をしてくれるみたい。さっき私に問いたことについて思い出したのか、振り向いて後ろ歩きしながら聞いてきた。
「さっきの話に戻るけどなんでこの森に入れたの?外からは入れないはず」
「それは私にもわからないわ、追手が来る前に急いで森に入ったから」
「?悪い人に追われてこの森に?」
「そういうことになるかしら、いい金ずるになると思って悪徳貴族につかまって監禁されていたのよ、私の家も貴族なのだけど元は錬金術師の家系で魔道具で富を築いたから、きっとそれが理由ね、魔道具を作らせて大儲けって感じでしょう」
私は今現在でしゃべってもよさそうな情報だけ話した、前世の話をしてどういうふうに解釈され、危険視されて攻撃されるかもわからないのでその話だけしなかった。
何を思ったのか彼女は理解して共感してしてくれたのか静かに頷いてくれたので私も同様に頷いた。
「ふーん、ロクな奴じゃないね」
「まったく本当だわ」
パルスィは聞きたいことを聞けたのか、また前に向いて歩きだしたので今度はこっちが彼女に気になったことを聞いてみた。
「ところで家は誰かほかにいるのかしら?」
「集落でお母さんと二人暮らししてる」
「集落?なんで集落が、、」
この森は200年以上前の話だと犯罪を犯した幻術使いの魔導士とその弟子だけという認識だったがパーミディア大陸消滅後、この森に幻術魔法や拘束魔法が掛けられる前にエルフの集団が入り込んだという事になっているのかもしれない。
「何か言った?」
「い、いえ、なんでもないわ、気にしないで」
多少気にはなったが現状どうやって家族の下に帰るかを考えたほうがいいでしょう。森の位置はアルフオン家の領土、そしてバージス公爵の領土の中間地点にあるから急いで戻らないとバージス公爵がまた何か悪だくみをする前に。
しかし、森で遭遇したエルフの成人女性・パルスィは女性である私から見ても美し過ぎてどうしても目が離せない。
「、、、、、なに?私の顔に何かついてる?」
「!!い、いえ、何も見てないから!!本当に!!」
「変な人、、、、」
見ているのがバレて急いで視線をそらした。あまりエルフを見たことがないがダントツで一番だと思う。
「ところでなぜここに住んでいるの?確かこの森には誰もいないと聞いているわ」
「それについては明日にして、私より詳しい人が説明してくれるから、もう時間も遅いし」
「そ、そうね、いろいろあって疲れたし説明は明日にして、、、、、」
「おい!!!そこを動くな!!!」
いきなり怒鳴られて周りをよく見ると複数の人の影があった。さすがに住んでいるエルフがいてもここはそこまで知らない森だから探知魔法で警戒ぐらいすればよかった。
「ここはわれらの森!!即刻この森から立ち退いて、、、、、、ん?パルスィじゃないか、ここで何をしている」
「ただいま、何って日課でいつものところにいた」
「日課って湖に行っていることか?いつもならもう少し早く戻ってくるだろ、みんな心配してたぞ」
どうやら彼らはパルスィの仲間のようで、心配して探していたようだ。それにしてもよく見ると獣人やドワーフなども見受けられる、集落は異種族同士が暮らしているとはまた珍しい。
「少し遅れただけで大げさだって、面白い人と会ったから少し遅れただけ」
「面白い人?」
「ど、どうもー、初めましてー」
「!!なぜ人間がこの森に!!!いったいどういう事だパルスィ!!!」
まあこうなりますよね、なんとなくだけれど分かってたわ。
こちらに弓を構えだして警戒を強めた状態で、リーダーと思われるエルフがパルスィに問いただしてきた。
「まあまあ落ち着いて落ち着いて、そんな殺気立てないで、追われてここまで逃げてきたんだって」
「追われても何もそいつは人間だぞ!!人間は信用してはいけない!!」
まあ人間は数百年以前にあらゆる種族を奴隷として捕縛したりしていた。だが、それもはるか昔の話であり、奴隷狩りをしていたのは少数だったのですぐにそういった古臭く、野蛮なことをしたとして周囲の人間の国から排除されたと言われている。
現在は自らが認めたものは信頼され遺恨はほとんどないが、昔から生きている他種族の上位種の話を聞かされて警戒するものがいるそうだ。それはここにいる人たちも同じなのでしょう。
「大丈夫、彼女は悪い人間じゃない、私が保証する」
「何を言ってる!!そいつは人間だぞ!!何を根拠に、、」
「、、、、、、わかった、お前を信じよう」
「隊長!!人間なんですよ!!いいんですか!!」
隊長と呼ばれたリーダーのエルフは、パルスィを信じたらしくこちらに向けていた剣を収めてくれた。どうやらパルスィは信用してくれているみたいで助かったわ。
「いいんだ、何かあったら俺が責任を取ればいい、パルスィはのほほんとしているが間違ったことや嘘をついたことは人生で一度もない、それに、、、、、、、」
何を思ったのかリーダーの隊長と呼ばれるエルフの男性は、空を見上げて懐かしいことを思い出しているような顔で部下のエルフに言った。
「すべての人間が悪い奴とは限らないということを、我々がよく知っているはずだ」
「、、、、、、、そうですね、わかりました」
部下のエルフも納得したらしく武器を収めてくれた。何かを思い出したのかわからなかったが彼らは少し悲しそうな顔をしていた。