第二話 無表情少女、パルスィです その二
「エルギン・ファンス?、、、、なんかどっかで聞いたことあるな、、、、えーーーと、、、」
「え、、、、、、エ、エルギン・ファンスだと!!!!」
「お前知ってんのか?」
「お前知らないのか!!!エルギンファンスって言ったら二大帝国の物語に出てくる実在した人物で、ハイルラ帝国の大英雄って言われた最強魔導兵だぞ!!!!」
ハイルラ帝国とクラーシス帝国の話は後に二大帝国の物語として世界中の人々に愛読されていた。その中に出てくるハイルラ帝国の大英雄であり魔導兵、エルギン・ファンスが登場していた。
彼は帝国が存在していた当時でも世界中の人からも大人気。
彼はハイルラ帝国と同盟を結んでいだ各国に紛争や戦争が起きると派遣任務として自ら志願して自分の独立部隊を率いて他国に赴き、どんな戦場でも兵士や騎士たちを鼓舞し士気を上げることで信頼されていた。
相当な自己中心的で野蛮であり人の命を捨て駒や差別をして殺す生き物には容赦はないが、基本的には優しく慈悲深いため、無理やり戦わされた平民や兵士がいると特権を使用して助けるなどをしていた。
ここにいる連中は金の為なら何でもやるろくでもないクズ、、、、つまり、、、、、、、躊躇や容赦も必要がない。
「テンペストサイクロン!!!!!!!!」
風の複合魔法を発動したことでいきなり暴風雨と稲妻を伴う大嵐が発生、複数の竜巻も発生したことで辺りは大混乱に陥っていた。
「うわわああああああ!!どうなってんだ!!これが魔法なのか!!!」
「いやいくら何でもここまでじゃないだろ!!最強魔導兵だからこんなふうになるんだきっと!!!」
「うおおおおお!!吸い込まれる!!!誰か助け、、、、、、ぎゃあああああああ!!!!!」
また一人、また一人と竜巻に吸い込まれていき周りに誰もいなくなると自分を中心に発生させていた大きい竜巻を移動させ、近くの大きな森まで行くとそこで魔法を解除して森に入っていった。
後ろを振り向くとまだ複数の竜巻はまだ収まっておらずバジールの領地はめちゃくちゃになっていたのを見ると森の中に消えていった。
バジール領にある森を抜けるとアルフオン家の領地がすぐそこにあるのです。
しかしこの森は意外と大きいため抜けるには数日かかるでしょう、あれだけの被害を与えれば私を追ってくるのは不可能に等しい、故に余裕があるのです。
「なんとしても領地に入らないと、幸いにも魔法を思い出したから狩りもしやすいし水も魔法でどうにかなる、完璧ね!!、、、、でも、、、、」
私は前世の最後に未練があった。
それは帝国同士の最後の戦い、私は前線に立っていた。自分の独立部隊を率いて前進していた時、あと少しで私たちが戦争に勝てそうだった。
「奴らの最後の悪あがきで、、、、、すべて、、、、消えてしまった、、、、帝国も、、、、仲間も、、、皇帝陛下たちでさえ、、、、、何一つ守れずみんな、、、、」
自分は何もできなかった。最強魔導兵と言われても人間には変わりない、人間は群れていなければ強くはない、一人の力には限界があることを知ってしまった今、自分が惨めで仕方がなかった。
「何が大英雄よ、何が最強魔導兵よ!!、、、、、、、、聞いて呆れるわ、本当に、、、、、、うう、、、うわあああああん!!、、、、、、みんなごめん、ごめんなさい、、、、、本当にごめんなさい!!!!」
歩きながら自分の不甲斐なさを言いながら途中で止まり、泣き崩れてしまった。本来なら守るべき人たちを誰も守れず前世の過去の過ちを今の人生で思い出す、こんなに惨めになったことがない私は歩くのを辞め、泣き疲れてそのまま地面に座り近くの木に体を寄せて眠った。
疲れて眠ってしまった私は歌声のような何かが聞こえて目を覚ました。
「、、、、、、ん、何か聞こえる」
立ち上がると周りは粒子のような小さく光る妖精が何かに引き寄せられているように一か所に集まろうとしていた。
「なに?これ、こんなの見たことがないわ、妖精が一か所に集まるなんて、しかもこんなたくさん、、」
妖精はいろんなところにいるものの、ここまでの数の群れは見たことがない私は少し動揺していた。気になった私は妖精に付いていくことにした。
着いたのは大きな池のような場所に出た。その池には沢山の種類の妖精が集まり、まるで喋っているように感じていた。そんな中に他とは比べ物にならないほどの妖精が集まっていた、そこの中心に人影が見えた。
「んー?誰かしら、こんなところに人がいるなんて、でも只者じゃないわね、、、、、関わらずこのまま立ち去りましょう、こんなことしていられないわ、、、、、ん?ちょ!!」
立ち去ろうとした時、後ろに集まっていた妖精に気付けず、何やらニヤニヤした大勢の妖精に突き飛ばされ身を出してしまった。
「痛ったー、もうなにすんのよ、、、、、あ」
ほかの妖精は私の存在は知らなかったようで、いきなり出てきた私を妖精が驚き少し距離を取って離れた。
妖精たちと一緒にいた人は私に驚きはしなかったが、こちらを見るだけで何もしてこない。
「ご、ごめんなさい、ちょっと森を歩いている時に妖精を見つけてそれで気になってついてきちゃっただけなの、このことは誰にも言わないから」
そう言うと妖精といる人は立ち上がり、近くの妖精は少し離れた、月が雲で隠れているせいで全体は見えなかったがようやく月が出てきたので見えてきた。
「(やっと月が出て来てくれたわね、さあそのお顔を見せてもらおうかし、、、、、、ら)」
そこに立っていたのは人間ではなく耳長族ともいわれるエルフの女性だった。
「(、、、、、なんて奇麗な女性なの、こんなにドキドキするの久しぶりだわ、、、)」
奇麗な長い髪をしていてとても美しい目をしていた、そんな彼女に私は目を奪われてしまった。
無表情で彼女はこう言った。
「、、、、、、、あなたは誰?、、、、、、、私はパルスィ」
これが後に一生の相棒になる、パルスィと初めて出会った瞬間であった。