それぞれの思想
暗い場所で何やら会議が行われている。
「あの計画は順調か?」
そう言った彼女はどことなくカリスマ性を漂わせていた。正に王の風格。
「はい、滞りなく」
「うむ、ならば宜しい。下がるが良い」
「次の議題です。『あの世界』に世界災害級の幼女が現れたそうです。
部下達からの報告で知りました」
「放って置けばいいのでは?二人目ですし」
そう答えた女は興味無しと云う顔をしているが、会議に集まった人々は違った。
ざわ....ざわ...
「その幼女は仲間にせねばなるまい。報告された魔力量..最早世界の崩壊も免れんぞ」
「それ程までの魔力の大きさ....まずいな」
「そうだな、しかしぶちぶちにするのもかわいそうじゃろうし...」
「そうですね...それよりここ暗すぎません?」
突然会議中に女が立つ。
「待ってくれ、最近家賃滞納金を払ったばっかりなんだ。少しは電気代節約してくれ」
「そんなこと言ってこういう時にはつけるべき...あれ?」
カチッカチッと女が電気のボタンを押すが電気が付かない
「少し喉渇いた。水貰いますのじゃ」
そして老師が水を飲もうとして蛇口を捻ると何も出てこない、つまり....
「電気も水道も止められてるんですか...いい加減ハロ◯ワークに行ってくればいいじゃないですか。穀潰しなんですか?全く...」
「面目無い....傭兵ってもんは儲からねぇんだ」
リーダーらしき男がショボーンとする
「ふぉっふぉっほっほっほ」
何故か老師が笑う。
「はぁ...、それを言う割にこたつから出ない貴方達
も穀潰しですよ」
会議に出席している人達(こたつに入っている人達)はぎくっとしてこたつに潜ろうと四苦八苦しはじめた。
女は呆れるしかなかった。
「ところでアインツは?」
「アイツか、あの世界で冒険者にでもなりすましてるんじゃねぇか?アインツ様〜って叫ばれてたぜ」
「あの坊やがかの、大きくなったのう」
「それはそうと、ゲートの準備任せたぜ」
そんな大袈裟な、何時もの事でしょうに。
「言われなくても」
場所は変わって王の私室。
幼女と秘書が向き合って話している。
「あの幼女は勇者の一員だったのか」
「そうみたいですね、一応貴女も幼女ですよ」
幼女はやれやれとため息を吐く。
「外見はな。全く忌々しい限りだ」
この幼女の正体は元、国の王なのだ。
刺客による呪いを受けてこんな姿になったが、何故かめちゃくちゃ可愛くなっていたので王女という設定にした。
「この呪い、何の意味が有ったのでしょうか。まあ私は幼女を愛でる事ができるので大歓迎ですがね」
秘書は幼女の髪を撫でながら話す。
幼女は撫でられる気持ち良さに目を細めた後、やれやれと手を振った。
「中身は40のおっさんだがな。最近来て勇者だったあの幼女も死んだ目をしておったな」
「もしかして元々男だったとか?」
「そうであれば傑作だな、はっはっは。あの勇者達には早く魔王を倒して貰わねば。そうすればこの世界の本当の意味での覇者は俺だ」
幼女はキメ顔でそう言った。
「その顔で言われるとカッコいいより可愛いですね」
「だまらっしゃい!」
可愛い幼女は頬を膨らませて怒った。
連続2日投稿。
はっぴーにゅーいやーッ(遅い
幼女(王様)の服装
キラキラしたマントに黒い正装。
私服は水色のワンピース。(秘書さんの趣味