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退屈部は退屈しない  作者: 似純濁
7/11

5 覆面作家 mask writer 前編

おおっ!これはラノベ的演出の極みっ!ふふふ……先生、流石!

朝の教室でニヤニヤしながら推理小説を読んでいると、声をかけられた。

「水里さ……」

「杏ちゃん!ちょっと良い?」

顔を上げると、二人のクラスメートの顔。

たしか……お団子頭の方が泉日和いずみひよりちゃんで、ショートカットの方が川井紫音かわいしおんちゃん、だった気がする。たぶん、二人ともバドミントン部。おそらく。

紫音ちゃんがおずおずと口を開いた。

「あの、水里さんって……退屈部に入ってるよね?」

「……うん」

他人の口から聞くとちょっとその名称は恥ずかしいぞ。

「あたしたち、ちょっと相談事?があるんだけど、放課後に退屈部の部室に行って良い?」

!? なんと物好きな……。

いや……こんな「よくわからない部活未満の同好会」に相談者が来るなんて、二次元だけだと思ってた。

「だ、大丈夫だよー。部室、わかりにくいから私が案内するよ」

「ありが……」

「うわ、ありがとう!よろしくね!」

紫音ちゃん、毎回日和ちゃんに台詞とられてるような……。正反対だけどなんだかんだ仲良いなぁ。

二人は去っていった。

でも、相談事って……事件の予感!(……ちょっとぶりっ子してみました……あは)


「ここが退屈部の部室でーす」

壁を開けたら(変な表現だ)二人は唖然としていた。

そりゃそうだよね……。

「どなたですか?そちらのお嬢さん方は?」

手を二人の方に向けて、キラーンとウインク。

久しぶりに見たわー。相変わらずうざいな、氷。

「えっと……あのっ……」

「ぶははははははっ。何この人っ!?あたしたちは杏ちゃんのクラスメートでーす!あっははははっ」

狼狽える紫音ちゃんと、爆笑する日和ちゃん。

「これはこれは……。僕は花貴氷。杏がいつも……お世話になっております」

僕……おぅえ。こいつが言うと気持ち悪い。というかメンタル強いな。とにかくこれだけは抗議しておく。

「私はあんたにお世話された覚えはないんだけどー!?」

「まあまあまあまあ」

柚兄になだめられた。

「どういう用件でこちらに?」

私たちが揉めてる間に話が進んでいた。

「ちょっと相談事があって……って、庭戸じゃん!久しぶり~」

「ああ、うん……」

庭戸尊は、森浜屈指のマンモス校、守小学校出身だった気がする。日和ちゃんと知り合いでも、まあおかしくはない。少しの違和感は感じるけども。

「相談事というのは……わたしたちが好きな、ネット小説家を探してほしいんです」

ネット小説家……。…………。

「ネット小説家っていうのは、ネットに小説を投稿してる人のことです!」

解説、ありがとうございます。

「どういうのを書いてるの?」

「えーと……異世界転移や異世界転生が中心ですね。少しマニアックだけど、フォロワーは百人くらいいるはずです」

異世界転生……。転移と何が違うんだ……。フォロワーって……。

時代についていけない退屈部のみなさん。

「何故、僕らに?」

「何故かというと!実は、そのネット小説家が森浜中にいるかもしれないからなんです!」

それでも退屈部を頼る理由がわかんねぇわ……。部の存在自体が、公然の秘密化してる気がする。

「根拠を説明してください」

千代さんが無表情で聞く。でも心なしか、目がキラキラしているように見える。

「根拠は、その小説家さんのツイッターです。風景を撮った写真だったんですけど、そこに森浜中周辺の景色が写り込んでいたんです」

「小説家さんは中学生だと公表していて、ツイートの内容が『近くの本屋に行ってきます』だったので、森浜中の生徒だと考えました!」

森浜中学校に、ネット小説家がいる……!?

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