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退屈部は退屈しない  作者: 似純濁
4/11

3 古書の消失 前編 old book

前回―――私は退屈部という名の怪しい団体に入部したわけだが……。

ほんっっとうに活動内容がわからない!

『新入生歓迎会』というのをやったりするのかとちょっとだけ期待していたけど、次の日、部室(壁の裏ね)に行っても、好きなミステリーを読んでいるだけ。しかも皆、集中力がすごいから話しかけても生返事。柚兄は神経質なので話しかけたら怒られるけどね。

つまんなー。私の青春どこいったー。

「えー……事件に出会って解決する、とかないの?」と聞いたらにやりと笑って「そのうちわかるよ」と言われた。

これは……期待しても良いのでは!?

私は開き直って待つことにした。

ちょっと不謹慎だけど……事件なんて、そのうちやってくるさ!


最終下校時刻になり、帰ろうとした時。

奥の方の本棚を見ていてふと思った。

「ここら辺の本……すごい古いね」

「そうですね……埃がとても積もっていますし」

もう売っちまえ。で、ミステリーを入れろ。

庭戸尊がふと気づいたように声をあげた。

「あれ?これ、おかしくない?」

「何何何!?」

ぐっと詰め寄る。

「ここだよ。題名は読めないけど、七番目の本がない」

ほんとだ……題名が見えないほど古い本だ。

氷がキラーンと目を光らせたふりをして言った。

「七番目だけか……事件の匂いがする!」

いつも思うけど、そんなことしててよく恥ずかしくならないですよねー。かっこつけんな。

「他の巻は埃が積もっている……七巻だけが借りられたんだな」

「おおお!これは!なんかあるぞ!」

千代先輩が少し微笑んだ。

「気になるというのなら、司書の先生に聞いてみますか?」


「……何?とっとと帰れよ」

深窓の令嬢風の清楚美人が言った。

…………司書の先生のいきなりのキャラ崩壊におののく。

「柚兄……司書の先生っていつもこんなんなの?」

「ああ、もとからこういう感じだ。あの、とある本が誰に貸し出されているか、貸し出し履歴を見たいんですが」

「そういうのはプライバシーに関わるから見せられないよ。ほら、帰った帰った」

「じゃあ、ちゃんと貸し出しされているかだけは見たいのですが」

ちゃんと貸し出しされているか、って……。

「はあ……仕方ないね。何ていうやつだい?」

「題名はわかりませんが、一番奥の棚に二十冊くらい並んでいる青くて古い本の、七番目です」

「ああ、あれか……あたしもわかんないんだけどな、題名は」

わからんのかい。

司書の先生は「ん?」と画面に顔を近づけた。

「ん?貸し出されていないな……」

「たぶん無断貸し出しですね。確認しておいてください。あと、インターネットを貸していただけませんか」

「あ?いいよ、好きに使え。何ぃ、無断貸し出しだとぉ……」

司書の先生は肩をいからせて奥にずんずん歩いていった。


「なんでインターネット?」

「いや……ちょっと調べてみようと思って」

図書室のパソコンで本の題名を入れて検索している。柚兄はわかったみたいだったけど、相変わらず読めない。

「あれ、何の本なの?」

「……昔に書かれた英語の小説以外の本だ」

なんと適当な。

「よし、でた」

「げっ」

オークションのサイトがトップに出てきた。

「五万円……」

ゴマンエン……ゴマンエン……。

あんな古めかしい本が、五万円……。

「歴史的に価値のある古書のようだ……それに落丁本らしい」

古書か……。私の管轄外だな……。

「……もしかしたら」

柚兄は吐き出すように囁いた。

「盗難かもしれない」

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