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退屈部は退屈しない  作者: 似純濁
10/11

7 万引き? What you stole? 前編

私と萌花と日和と紫音は、本屋に来ている。

本屋は本屋でも、私のお得意先の大型書店!

この前、ポイントが貯まりすぎてびびったくらい、この本屋さんに貢いでいる。

今日は短縮授業だったので、「そうだ、本屋に行こう!」ってことで来た。

「あ、あれ、かおりなちゃんじゃない?」

「ほんとだ~!なんか意外!」

誰それ。

「誰?」

「一年F組の、ほら、あそこにいるちっちゃい子。陸上部で、長距離も短距離も超やばいんだよー!」

日和が指差した先には、本屋に入っていく一つ結びの小柄な子の姿があった。……陸上部なのにうなじの肌が白い。

なんとなく尾行していくと、文庫本のコーナーで立ち読みを始めた。

「……何読んでんだろねーふふふ」

萌花が人の悪い笑みを浮かべた。

「んー見えないー。気になるなー。あとで声かけてみよう」

……さすがコミュ力の日和。

すると、かおりなさんは周囲をうかがうようにして、なにかをトートバッグの中にしまった。

バッグをかばいながらこちらに歩いてくる。

「やっほー!かおりなちゃん、何読んでた?もしかして本読むの、好きだったりする?」

「あっ……ひ、日和ちゃん。紫音ちゃんも。ひさしぶりだね……」

「ひさしぶり、かおりなちゃん」

チラチラと周囲を伺っている。

「あの……ご、ごめん……私、用事があって……」

「あーオッケーオッケー!じゃーねー!」

……なにが『あぁー』なのだろう。

「うん……じゃ、じゃあね!」

かおりなさんは足早に立ち去った。

「あのさ、ちょっと二人には申し訳ないけど……」

萌花が声をひそめて言う。

「あの子、万引きじゃない?」

「「「えっ!?」」」

万引きぃ?

「だってさ……紙袋の中に何か入れてたし、こそこそしてたし」

「だからって……」

万引き、か……。確かに、ちょっと挙動不審だったかもしれない。

「じゃあさ、確かめてみようよ!あそこでかおりなちゃんは何かをしまってたんでしょ?」

私たちは、かおりなさんがいた棚に移動した。

「うーん……ぎっしり、だね」

その棚には、上から下まで寸分の隙間もなかった。

平積みしてあったり、表紙をこちら向きにして立ててある本もない。

「じゃあ、かおりなちゃんは……」

本ではなく……。

何を盗ったの……?

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