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第39話 エピローグ

 エピローグ。

 というよりかは、今回のオチとその後始末。

 ミカエル――臥煙先輩は見つからなかった。神界にも居なかった(と言っても、佳久曰くヒキコモリのガラムドが探した範疇に過ぎないが)とのことなので、何処かに消えてしまったのだろう、とのことだった。

 しかしまあ、何処へ消えてしまったのだろう? 僕には分からないことだらけだった。

 結局その日はいつも通りに帰った。みんな帰ってしまっていたけれど、そんなことは関係なかった。それに、エリザ――はるかのことについても、『修正』が施されていた。そこは量子コンピュータが上手くやってくれた、ということなのだろう。

 七月末、正確に言えば終業式の日に重なった『運命の日』はそのまま過ぎ去っていった。寝る前にガラムドからメッセージが来ていたのだけれど、そのメッセージ曰く。


『どうやら、量子コンピュータは、あなたの選択を受け入れたようですね。おかげで私も安心してこの世界を管理していくことが出来ます。あなたのおかげです。本当に、本当に、ありがとうございました』


 何処かのゲームで見たような挨拶を最後に、ガラムドからの連絡は途絶えた。

 結局、神と触れ合える機会など僅かの間に過ぎなかった。

 それは、僕がただの人間だったから、なのかもしれない。

 次の日の朝、僕はひかりに起こされた。


「隼人! 昨日夜更かししたんでしょう? だから起きるのが遅いんじゃない?」

「あの……ええと、ひかりさん? 何の用事でございませう?」

「言ったじゃない! 夏休みの宿題を終わらせるために初日から一週間は毎日学校の図書館に行きましょう、って! 夏休みは予定が盛りだくさんなのよ! 映画見に行ったり、プールに行ったり……いや、プールじゃ飽き足りないわね! 今年は海に行きましょう、海に! 電車で一時間ぐらい行けば着くから! それに、花火大会も! 今年の夏も盛りだくさんよ、隼人!」

「へいへい。僕はそれについていくだけのロボットですかい」

「あら、違うわよ?」

「え?」

「デートよ、デート」

「……はあ?」

「佳久は付いてこないんだけれどねー。ってかあいついつの間に復帰していたのよ。しばらく姿を見せなかったけれど、聞いた話によると家族の葬儀があったからしばらく休んでいたらしいのよねー。そうなの? って言いたいけれど、それ以上言うことも出来ないしさー。とにかく、今回行くのは私達だけ。佳久は個別で勉強するって言っているし」


 僕は、佳久が気を利かしてくれたのだろう、と思いながら笑みを浮かべた。


「何で笑っているのよ?」

「さあ。何でだろうな?」


 夏休みが始まる。

 イベントが盛りだくさんの夏が、幕を開ける。

 しばらくの間は、神と天使が戦っていた過去なんて忘れても良いじゃないか。

 しばらくの間は、世界が滅びそうになっていたことなんて忘れても良いじゃないか。

 そう思いながら、僕は一歩前を踏み出すのだった。



終わり


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