第93話
「なかなかやるようだったが俺の敵ではなかったなぁ!?」
悪党は振り下ろした棍棒の先に手応えを感じてニヤリと笑うがしかし・・・
「ほっほっう、なるほどねえ確かにちったぁやるようだな」
「なに?」
ハツネの悲鳴が聞こえるかと思ったところに野太い中年男性の声が聞こえてきたので怪訝な声をあげるとそこには、体格の良い中年男性が頭に棍棒を受けて仁王立ちしていた。
その男性は半袖シャツで短い裾のズボンのラフな格好をしていたが目には鋭い眼光が宿っていた。
「なるほどなるほど、誰かしらねぇがおもしれぇぇなオッサン」
悪党はそういうと嬉しそうに棍棒を肩に当てて舌なめずりを始める。
「いやいや、おめぇさんなかなか骨がありそうだなぁ、がその前に」
中年男性はそういうとハツネを抱えあげ小屋の外に連れ出す。
「大丈夫かハツネ」
そう声をかけられてハツネも返事をかえす。
「マエダ様・・・? ありがとうございます? いつのまに?」
ハツネがそういうマエダと呼ばれた中年男性が後でと口をふさぐ。
「まぁ、それは後でゆっくりとな」
そういうとマエダは首をコキコキして殴りかえす。
ドゴォンと良い音が響くと顔面に拳を受け止めた悪党がニヤリと笑う。
「いいねぇ、いいねぇ、そうでなくてはな」
マエダもそういうとニヤリと笑う。
「ほほう、おめぇさんわかってるな、ならいくぞ」
さらに殴りかかると殴りかえすの応酬がはじまる。
ドゴォン、ドゴォン、ドゴォン、ドゴォン、ドゴォン、ドゴォン、ドゴォン、ドゴォン、ドゴォン。
およそ人とはおもえない打撃音が小屋に響くのを、二重の意味で信じられない様子で眺めていが、それも相手の悪党が力尽きる事により終わる。
「このじじぃ、正気じゃねぇ・・・」
そう捨てセリフを残すと倒れこむがマエダも、"それと殴り合うおめえさんもじゅうぶん正気じゃねぇ"と親指をたててみせると、外で待っているハツネの元に近づき抱えあげる。
「きゃっ、マエダ様!?」
いきなりの事に乙女のような悲鳴をあげる(失礼)
「おうおう、ずいぶんと可愛らしい声をあげるようになったな」
「ええ・・・いやその・・・」
ハツネが戸惑っているとマエダが豪快に笑うと、ハツネにたずねる。
「そういや、今日はどうしたんだい? 米を見つけてきて、館に届けてきたのはいいけど、館には使用人しかいないし、街はお祭り騒ぎだし、シノブとアイルちゃんが歌って踊ってるし一年でえらくかわってちょっと驚いたぜ」
「ああ、それにつきましては・・・」
そう会話を続けながら、ハツネに教えられたブラウンのところに戻っていくのであった。




