第62話
「うああああ、俺女の子と風呂入っちゃった!?」
シノブがお風呂から上がった後に、一人お風呂に顔をつけてブクブクしだす、先ほどの色々考えて落ち込んでいた自分はどこへやらである。
「・・・おっと流石にまだ入ってる場合じゃないな・・・」
テツはそういうと風呂からあがり、タオルで身体を拭きながら、シノブの事を考える。
バスタオルを羽織っていたとはいえ・・・再び姿を思い浮かべるが、そんな妄想は慌てて振り払う。
「ダメダメ、今はそんな場合じゃない」
そう自分に言い聞かせて、皆が待つ場所にもどる、いつもは子どもたちに読み書きを教えている講堂である。
「うむ、その調子だとだいぶリラックスできたようだな」
ブラウンがそう言って少しニヤッと笑う、風呂の事は知っているようであった、まあ手を引かれて風呂場にいったのだから少なからずは想像できる。といったところであろう。
「ま、まあな」
テツが顔を赤くして、照れ隠しに顔を掻いてみせるがシノブ本人は表情は何一つ変えてはいなかった。
「ま、まあそんなものか」
テツがそうつぶやくいて、リータンのほうに視線を移すと彼女は講堂の長椅子に横たわっており、毛布を被せられて昏睡したままであった。
「目、さまさないんだな・・・」
テツがそういうと、ブラウンが答える。
「ウム、思ったより、強力な呪いなのかもしれないな、それに洗脳術もなかなか強力なものだったのかもしれん」
「そうですね、この場合反動でこのまま寝たきり、運がよくてたとえ目が覚めても自分が何者だったか忘れている可能性もあるかしら、もっとも彼女の場合忘れていた方が良いかもしれないかしら」
ハツネがそういって、かけていない眼鏡をかけ直す仕草をする。
「そ、そんなもんなのか、何かこうモヤモヤするな」
テツが難しい表情でつぶやくと、シノブが微笑む。
「お優しいですの、操られていたとはいえ、自分を狙ってきた人間にそんなふうにいえるなんて」
「いや、なんだこの子は自分の意思ではなくて、操られていたいたわけだろ? そしてそれを仕向けた本人は息絶えてるわけだから、なんかこう責任の所在というか、行き場のないなんというか、そんな感じなんだよ」
テツが手をぐるぐると動かして説明しようとするが、うまくいかなくてもどかしくなる。
「まあ、落ち着けテツ、言いたい事はわかるかるな、祭司も呪いの反動か何かは知らんが、チリとなって消えてしまい俺達もモヤモヤしているところなのだ」
それを聞いて、そうなのかと説明をやめるテツ、この気持ちが自分だけではなくてほっと安心するのであった。
「それと、この子の処遇だが私のところでいったん預かろうと思う、我がブラウン家が隔離保護していた方が何かと安全かと思ってな、いいかなテツ?」
「うん、ああ俺もそれがいいと思う、もし何かあった場合ここじゃ対処できないからな」
テツがそういうとブラウンはウムっとうなずいて立ち上がる。
「私達はこの子を連れて屋敷に戻ろう、ミュウ様達に全て終わった事を報告しないといけないしな」
「お、おうそうだな、ありがとブラウンあんたのおかげで助かったよ」
テツはそういうと片手をそっと差し出すと、ブラウンはそれを掴み硬い握手をかわす。
「なに、今回は我々も決着をつけれたからな、私達も礼をいわねばならない、ありがとう」
ブラウンはそういうと、ハツネとシノブにリータンを担がせて馬車で屋敷に戻っていくのであった。
「はぁ~~~~~やっと終わった・・・」
それを見送ったテツは脱力してまた長椅子にへたりこむのであった。




