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第58話
「なにも言ってやがるそんな事・・・」
吸収され魂だけとなった存在だからだろうか、頭の中にひびいてくるルータンの声にとまどうテツ、確かに自分を貫けといわれて、はいそうですかとてきるものでもない。
"だったらどうするんだよ、今のこいつの身体見ただろ? 文字通り鉄みたいにかてぇぞ?"
ルータンとのやりとりは他の人間からは、テツが独り言を言っているようにしかみえない、それを不審に思ったシノブが近づいてくる。
「なにかあったのですか? ブラウン様があの祭司の注意を引き付けている間になにもなければ危険ですのでさがっていてください、邪魔なので」
シノブがそう言ってテツの腕を掴むと慌てて答える。
「まあまあちょっとまってくれ、実はなー」
テツがそうやって説明するとシノブが考え込む。
「なるほど、犬の声が聞こえるテツ様ならではですね、まさか祭司も自分の糧にした犬にそのような反撃をされるとは思っていないでしょう」
「なんとかできるか?」
「なんとかしてみせましょう」
シノブはそういうと足早にブラウンの元に駆けていくのであった。




