第4話
揺れる馬車の上お互い自己紹介? をすませ語りかけてくるこの犬の名前はゼウという、そしてこの犬耳の女性はミュウというらしいんだけど。
「おまえじゃない、俺の名前は金平鉄平だ!!」
「かっかね? いいにくいんだよ! おまえで十分だね!」
「こんのくそ犬ぅぅ!」
そしてお互いにらみ合うというパターンが続いていた。
もちろん助けてくれた恩は感じている、だがそれはそれこれはこれなのである、ここでちゃんとハッキリしておかないとしばらくはおまえ呼ばわりされてしまうそれだけはいやなのである。
「はぁ、本当に言いにくいんだよそれ、あだ名とかなかったのおまえ」
ゼウが溜め息をついて妥協案をだしてくる、この様子をみると本当に発音の関係かどうかはわからないが言いにくいらしい、俺もこんなくだりでいい争っている場合じゃないしなと思い軽く思案をめぐらせる。
「しかたない、あだ名としてはテツって呼ばれてたからな、テツでいいよ」
「テツか、それなら言いやすいな、よろしくだテツ」
そういって握手のつもりだろうか前足をすっとさしだす、そして俺はその足を掴み握手? をかわすのであった。
ちなみに犬耳の女性ミュウは、その様子をずっと微笑ましく見守っていたのであった。
それを見て少し恥ずかしくなる俺、それをごまかすようにゼウの首根っこを掴み後ろを振り向く。
「急になんだよなれなれしいな!」
「いや、ゼウさんよ1つききたいんですけどね」
「今度はさんづけ? 気持ち悪いな!」
「いや、助けてくれた感謝の気持ちをあらわしたいんだけどどうすればいい?」
「いやいやいや、それは頭さげてありがとうだろ?」
「言葉がつうじないのに? わかるかな?」
「お前さんが文化が違う国からきていたとしてもそういうのは共通なんだよ」
「そういうもんか」
「そういうもんだよ」
そう言われてミュウの方向に開き直り深々と頭をさげる、言葉は通じなくてもその動作で意図を感じたのか向こうも頭をさげる。
そして頭を上げると視線があい、何故か照れ笑いしてしまう俺、そしてそれを見てスッと頭をポンポンしてくるミュウなのであった。
「おおおっ・・・」
そんな事をされたのは初めてなので硬直してしまう俺、そしてそのまま馬車に揺られてある建物の前で止まる。
そこは赤茶のレンガを積み上げた建物で年代を感じさせる建物だった。