第48話
「おや? これは・・・」
走る馬車の中、窓の外から黒い物体が飛び込んできてハツネの手のひらに収まると一枚の紙きれになる。
「なるほど・・・」
少し険しい表情をしながら手紙を読んでいるとミュウが不安気な表情で覗き込むが、ハツネは"なんでもないですよ"と笑顔でかえす。
そして、馬車の窓を開けると身をのりだす。
「ええ!? ちょっとどうしたのさいきなり!?」
それを見てアイルが慌てて止めようとするがハツネは首を横に振ってみせる。
「アイル様、どうやら孤児院のほうに私も向かったほうがよさそうなので向かわせていただきます、先程のはシノブが連絡に使う術式で要請の連絡だったのかしら」
「なるほど、そうなんだ、なら仕方ないね」
アイルはそういうと肩をすくめてみせると、不安気な表情のミュウと子ども2人の方を向いてみせると親指を立ててニッコリ笑うと、テツのようにおどけてみせる。
「なぁーに、僕がいるんだから大丈夫さ、それに館についたらブラウンが美味しいもの沢山用意してくれているだろうからいっぱい食べようか、ね、ハツネさん」
アイルはそういうとハツネに目配せをしてみせる。
「はい、アイル様のいう通りかしら、ミュウ様。それに貴方達もいっぱい美味しいものを食べて楽しんでいきなさいな」
そういうと、ハツネは安心させるために窓から離れて子ども達の頭を優しく撫でてミュウの方を振り向いて頷く。
「美味しいものいっぱい、いーぱい食べれるのん」
「へへ、テツお兄ちゃんがくるまでに全部たべちゃうもんねー」
子ども達がそうはしゃいでみせると、少し落ち着いたのか、表情がやわらいだミュウが2人を抱き締めて"そうだね"と呟く。
その様子を見たハツネは優しく微笑み、窓から再度身を乗り出しアイルの方を振り向く。
「アイル様、頼みました、貴方なら問題は、ないでしょう、といっても先程言った通り館には訓練された者もおりますから大丈夫かしら」
「そうだね、大丈夫だと思うけどまかしといて」
アイルのその返事を聞くと安心して頷き窓から飛び降りるハツネであった。
「おおー! おねーちゃんすごい!」
「かっけぇ!」
子どもの驚きと称賛の声を聞きながら難なく着地を決めると、馬車に向かって手を振って見せる。
「・・・さて、"身体能力向上"」
ハツネが呪文を唱えると身体が赤い光につつまれる。
「急いで戻るのかしら・・・」
そういうとハツネは物凄い勢いで孤児院に向かうのであった。




