第38話
「なるほど、それは確かに急を要する事態ですね」
アゴに手をあてて少々考え込むハツネ、一旦気持ちは落ち着いたものの再び焦っていく気持ちがよみがえってくる。
「あ、あのーハツネさん?」
するとハツネが真っ直ぐにこっちを見る、その瞳に見惚れてしまいそうになるテツ。
「なんだよ、惚れちまうじゃねーか」
俺、こんな状況で何いってんだと思いつつ口にだしてしまう自分に少し驚く。
「惚れるのは勝手ですが、自分の理想は押し付けないでくださいね」
いきなりの言葉にも冷静にニッコリと返すハツネに、急に恥ずかしくなって、ごまかすように頭を掻くテツ。
「まあ、それくらいの余裕があるのは良い事です、ミュウ様にお土産を渡してきますので少々お待ちなさい」
すると一礼して孤児院のなかに入っていくハツネ、その落ち着いた振る舞いにある種の安堵感を覚え胸を撫で下ろす。
おお、さすがハツネさんなど自分でもよくわからないエールをおくっていると、お土産を渡し終えたハツネがもどってくる。
「ミュウ様にはアイル様がいるので大丈夫でしょう、ではテツ、ゼウさんいきますよ」
そういうとハツネは自分の片方の手をテツの胴にまわして、ガッツリ掴む。
「ふぁっ、ちょっとそんな大胆なまだ心の準備が・・・」
などどいうテツをよそにゼウを小脇にかかえる。
「テツ、喋ると舌噛むからだまっときな」
ゼウのその言葉とテツの"えっ?"と、ハツネの"身体能力向上"という言葉が重なる。
するとハツネの身体が赤い光につつまれて一目でなんらかのバフがかかった事がわかる。
「いそぎますので、時間はとらせませんわ」
ハツネはそういうとそのまま凄まじい速度で馬よりもはやく走り出す、すると凄まじい向かい風がテツの顔面に容赦なくぶち当たり、よくあるギャグ漫画みたいに顔を歪ませる。
「・・・!」
そして声にならないテツの悲鳴をひびかせて、テツ、ゼウ、ハツネはブラウンのいる館に一路急ぐぐのであった。




