第36話
「フワァ」
ゼウがあくびをして朝の新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込み頭の覚醒を促す、冷たい空気が肺から身体全体に染み渡り寝ぼけた全身を叩きおこすとブルっと四肢を震わして目を覚まさせる。
「ふう、やっぱり朝の空気はひと味違うねぇ」
そう呟き満足気にすると、こちらに向かってくる何かに気づく、それは草に隠れるくらい小さいがカサカサと草を揺らし確実にこちらに向かってくるのである。
「お、いいねえネズミか何かかね朝の景気づけに捕まえてやるか」
ゼウがそう呟くと、その前方からあのネズミの声が聞こえてくる。
「ちょっと待つチュ、伝言を持ってきたっチュ」
その声の主であるネズミが姿を現すと同時に、反射的にパシッと捕まえてしまう。
「おお、すまねえつい反射的に」
「・・・痛いっチュ、すぐ離すっチュ」
ゼウが謝罪の言葉を述べてその前足を離す。
「・・・まあいいっチュ、ところでここにテツって奴がいるって聞いたっチュ」
「おう、いるけどどうしたんだい?」
「街に住むルータンっていう犬からの伝言っチュ」
「そうか、ありがとよついてきな」
ゼウはそういうと自分の頭に乗るように促すと、ネズミを頭に乗せて井戸で顔を洗うテツの元におもむく。
「よう、相棒目ぇ覚めたか?」
ゼウがそういうとテツが振り返りそして頭にちょこんと乗っけてるネズミを見て軽くお腹を抱えて笑う。
「おま、朝から何かわいい事やってんだよ、音楽隊か何かのつもりか」
「そんなつもりはねーよ、ただコイツがお前さんに伝言があるってよなんでもルータンっていう犬からの伝言らしい、確か昨日会ったっていう犬だっけか?」
その名を聞いて、飼い主の女の子を思い出す、どこまでも追いかけてくるような視線を感じさせる目であった。
「お、おうそうだな、で何っていってんだ?」
「それは俺も聞いてねぇ今から話してくれるとよ」
そう言うと頭の上のネズミに視線をやるゼウとテツ、するとネズミはコホンと咳払いをして伝言を伝える。
「ガイア教に気をつけろチュ、そう言ってたっチュ」
それを聞いて過去のゼウの表情が固まるが、テツにはネズミの言葉がわからないのでゼウに聞き直す。
「おいおい、なんて言ったか翻訳してくれないとわからないぜ相棒?」
「・・・ガイア教に気をつけろだと」
やっとの事で伝えたゼウの言葉にテツは瞬時に理解する、あの女の子の事だと。
「おいおい、マジかよ確か前にアイルが言ってた連中だったよな、なあネズ公他に何か言ってなかったか?」
少し動揺してネズミに尋ねるテツだがネズミは首を横に振るが一言つけくわえる。
「その会った犬の一家がガイア教の熱心な信者っチュ」
ゼウにそう伝えられると、これから来る嫌な予感に目眩と吐き気がして、朝の爽やかさがいっぺんに吹き飛ぶテツであった。




