第35話
「ねぇルーたん?」
テツと別れた少女は自らの飼い犬に問い尋ねる。
「クゥン」
短く鳴いて首をかしげて見せるルータン。
「あのお兄ちゃんとお話してたの?」
犬の顔を覗き込む少女、どうしてもイエスという返事を聞きたげのようであったが、更に首をかしげてみせる。
「そっかぁわかんないかぁ、私だったら嬉しいんだけどなぁ」
そんな事をいいながら帰路につくと1件の石造りの家の前にとまる。
すると少女はトントンと、扉に取り付けらた、青銅製のライオンが咥えた輪を叩く。
すると中から大人の女性が現れる、姿は少女と同じく青い髪、黒いローブを羽織っており、首からは同じく木の根を模したブロンズ製のメダルを下げていた。
「リータンお帰りなさい、お散歩楽しかった?」
「うん、あのね・・・」
そういって楽しげにしゃべる少女は家の中にはあっていくのであった。
そして夕食時、暖かいパンとシチューを食べ終わった後におもむろにリータンが話だす。
「あのね、今日は凄い人にあっちゃった」
「へぇ、どんな人?」
リータンの両親が興味津々といったようすで少女をみる。
「うん、あのね犬さんとお話できるお兄ちゃんと出会ったんだ」
その言葉に両親が興奮して詰め寄る、"本当かい?"その反応を見て少女は少々驚くものの言葉を続ける。
「うん、実際はわからないフリをしてたけど絶対あれはわかってたよ、だって普通に人と会話している感じ立ったもん!」
「で、その人の特徴は?」
少女の言葉に更に興奮ぎみに問いかける両親であり、更にしゃべる少女であった。
「これは何か手をうたねえとな・・・」
その様子を見て、テツの事を案じるルータンであったがその時ちょうど一匹のネズミが通りかかる、ここ最近この家をウロチョロしている厄介者である。
その時、1つ考えが閃いたルータンは一撃でネズミを捕らえる。
「静かにしな、何もとって食おうってわえじゃねえ」
捕らえたネズミに声をかけるルータン。
「ほんとでチュか?」
その言葉に一応もがくのをやめるネズミ。
「なあに、1つ伝言を頼まれてほしい、報酬は俺の飯しばらくわけてやるよ、悪かないだろ?」
「・・・本当でチュね約束でチュよ」
「オッケーだ、実はな街外れの丘に孤児院あるだろ? そこのテツってヤツに伝えてほしい、ガイア教の連中が何かやらかすかもしれんから気をつけろとな」
ネズミは軽く頷くと家の隙間から外に這い出ていくのであった。
「頼んだぜぇ相棒・・・」
ルータンがそう呟くと、後ろから歓喜の声があがる。
「おお、それはすごい、術式もなしに犬だけとはいえ意思の疎通できるとは神に選ばれた方に違いない、すこいぞリータン」
「ほんとよ、いい方見つけたわね、明日早速祭司様に報告しにいきましょう」
その言葉を聞いてますますシブイ顔をするルータンなのであった。




