第167話
「おおおー」
カハタの街の入り口に着いた時、テツ達一行は感嘆の声をあげる。
カハタの街の防壁、それと門があるのだがその両脇に防壁と同じくらいに、大きな白塗りの女性の像が立っていたのである。
感心したようにその像を見上げていると門番の1人が自慢げに胸を張って説明をはじめだす。
「兄ちゃん達カハタの街は始めてかい? すごいだろこれ?」
「うむ、正直驚いたでござるよ、大きい上に白塗りとはインパクトがあるでござる」
ヤタガラスがそういと更に自慢げに続ける門番。
「いいだろこれ? この街の名産物のカハタ人形を模して造られたゴーレムだからいざと言うときは守ってくれるんだぜ」
それを聞いて動くところを1人想像してテンションの上がるテツだったが、しかしどこかひっかかるものがある、これはドレスを着ているが白塗りのたおやかな顔つきの独特の雰囲気
持つ像で、この街、カハタの名産物の人形がモチーフらしい。
「ーあ、」
そこまで考えて閃くテツ、"これって博多人形じゃねえの?" そう思い門番にたずねる。
「ええと、1つききたいんだけどさ、これは大きな像だけど、そのカハタ人形誰が始めたかわかります?」
そのテツの質問に、余程街を自慢したいという気持ちが刺激されたのだろう、かなりの早口で説明をしだすのであった。
そして、その説明を要約すると最初ここは街ではなく村だった時に、後に初代町長になる"オオトモ"という男性がフラリと現れて当時漁業だけであった村に塩の作り方等を教え、人形の作り方を教えて村を町にまで発展させたのだという。
"100%日本からの転移者だこれ"
テツはそう考えるとそのオオトモという人に感謝のオジギを心の中でするのであった。