第152話
ここで時間を少しさかのぼってみよう。
ルブラや、シノブ達が水路に入って5分も経たないうちにテツがそわそわしはじめる。
「まだかなぁ、終わったかなぁ」
「いやいや、まだ入ったばっかりだから、まだまだかかるよ?」
一緒に水路の入り口で待機しているアイルもそういいながらソワソワしていた。
今回、討伐するのはオーガであるからだ鋼の身体と大木をも軽々となぎ倒す怪力、心配しないわけがない。
「テツ殿、心配めされるな他の方々も一騎当千の強者、安心して座って待っていればよいでござる」
「ヤタガラス、そうなんだけどそれでも、、、」
心配を隠すことなく今度は足をタンタンとしはじめる。
(ヤタガラスは俺の護衛で離れられないし、せめてスカーか、、、)
そう言いながらスカーの方を向くと、向こうもこちらのの方を向く、その時ヤタガラスの時と同じようにスカーが光に包まれると同時に、テツの頭の中で昔やっていた格闘ゲームのイメージが思い浮かぶ、その名もスカー、爆発のプロフェッショナルで軍人である。
「おおっ!? なんだなんだ?」
スカーがいきなりの事にあわてふためきつつも、その姿を変えていき光が収まるとそこには1人の男性が立っていたのである、しかも先ほどテツか頭の中で想像した通りの人物である、違うのは顔の真ん中に傷がついていることくらいである。
「おおっ? なんだこれは?」
いきなりの事に驚くスカー、その声は渋くかっこよかった。
「ははっ、まさかね、ヤタガラスの時と同じか」
テツ自身も驚いた様子で呟くと、スカーがテツの肩に手をのせる。
「なるほど、まだよくわからねぇが、この力が強ぇのはわかる、これでシノブ
姉貴を助けにいってこいということだなテツの旦那?」
スカーはそういうとウンウンと頷き、身体を馴染ませるように軽い準備運動をはじめる。
「なるほど、これが人間の身体ってやつか、これはこれで動きやすくていいな、そしてこれが頭に入ってきた知識によると標的に投げつけて使う武器か、なかなか便利そうだな」
目の前にで的確に自分のスペックを把握していくスカーを見て、テツは少し安心感を覚えてこうたずねる。
「いけるか?」
「ああ、まかせな、ヤタガラスもテツの旦那の護衛たのんだぜ」
「うむ、まかせるでござる」
それを聞くとスカーは満足そうに頷き、オッケーのハンドサインをすると、陸上選手のスタートダッシュのように身をひくく屈めて地面を蹴ると、一陣の風の様に水路の中に走っていくのであった。