144話
「ここから入るのか、なるほど」
テツが少し緊張した顔をする、確かに下水道の入り口は薄暗くいかにも何かでてくる感じだったからである。
「大丈夫よテツ、何かあったら守ってあげる」
そういいながらラクロスがウィンクして見せる、まあ凄く筋肉ムキムキのオッサンなのだが、聞く話によるとダンスの時にお世話になった振り付けしアクロスの弟らしい、手紙で俺の事を書いていたらしくて凄く興味をもっているらしい、色々気を付けようと思う。
「では、照らしますが足元が非常に滑りやすくなっておりますゆえお気をつけください」
そういいながら先頭の魔術師が"ライト"と唱えると握りこぶしくらいの光球が出現して辺りを煌々と照らす。
辺りの様子が照らし出される、レンガを積んだ壁の影が映し出されてそれが地の底に引き繰りこむ手の様に見えて身震いする。
「大丈夫ですか、テツ様」
その様子を見て退院してスッカリ元気になったシノブがテツを気遣う。
「ああ、ありがと、ちょっと寒気がしただけさ」
そういってガッツポーズをしてみせると少し安心した様子を見せるシノブであった。
「テツ様この先から床が滑っていますのでお気をつけて」
ルブラがそういって注意をうながす、確かに鼻をつくような臭いと同時に足元がヌルヌルして滑りやすくなってくる。
「気をつけろよ、ネズミどもの声が聞こえてくる、当たり前だがこっちにすごく敵意を向けてきているな」
スカーが辺りを見回して警戒して唸るとテツがルブラに伝える。
「ありがとうございますテツ様、確かに気配を感じるな皆のもの作戦を開始する」
ルブラがそう言うと兵士達が武器を構えはじめる、そして腰にぶら下げている袋をわざと落ちやすくするために紐をゆるめる。
これは殺鼠剤を、ただばらまくより戦ってウッカリ荷物を落とした事をよそおうことにより、相手のネズミ型の魔物の警戒をといてたべさせようという作戦であった。
"くるぜ"スカーがそう低く唸ると子供くらいの大きさのネズミが現れ、殺意をぶつけてくるのであった。