第143話
病室にシノブを残して皆はまた宮殿にもどり、会議を開いていた。
緊迫した空気の中、なになら地図が広げられていて、話によるとどうやらこの都に水を運ぶ地下水道の地図のようであった。
「あのー、おれここにいていいんスか?」
会議の中テツがおそるおそる声をあげる、確かに言われてみればそうである、いくらアイルの知り合いといえど一般人であり、この場合は部外者である、しかしアイルがいうにはー。
"ガイア教の一件でテツはすごいやつ"という認識ができており、ルブラに進言したのであったが、テツいわく"おれ、何もしてないんだけど、、、"
「いいのよいいのよ、テツあなたって発想がすごいらしいじゃない、それが欲しいのよ」
ラクロスはそういうのだが、それも異世界転移するまえに動画などで得た知識である、自分の発想なのではなかった。
「そうそう、発想すごいじゃん、ほら冷気のでる箱? クーラーっていうの? それを参考にこれとかつくったんだから」
アイルはそういうと市場なので飾っていた冷気のでる布をみせてくる。
「これのおかげで市場の商品長持ちするようになったんだから」
「いやぁ、けどつくったのはアイル達だしな」
「けれど、君というきっかけがなければうまれなかったアイテムだ、ありがとう」
ルブラはそういうとニッコリ微笑み返し会議を再開させる。
「やはりネズミ型のモンスターがまた増えて来ているようだな、退治するのも毎回大変だしなにか良い案がないものか」
「そうねぇ、困ったものだわ特に今回は数がおおいのよねぇ」
ラクロスが首をかしげてうなる、話をまとめると何ヵ月か一度に地下水にすみついているネズミ型のモンスターが大量発生してしまうのだという、手強いモンスターではないけれど数が多くていつも手をやいている様子であった。
"そういう事なら、、、"テツはそう考えて手をあげる。
「1つ案があるんだけどさ」
その言葉に皆がこちらを見上げる、特にアイルが期待に満ちた目を向ける。
「あのさ、あくまでもネズミ型のモンスターだから効くかわからないんだけどさ、鼠退治用の団子とかどうかな」
その話にアイルがくいつく。
「なになに、もっと聞かせてー!」
「お、おうじゃあ話すぜ」
そういって動画で得た知識を語り尽くすテツ、力が入りすぎた喉も乾いた頃に説明を終えて水を飲み辺りをみると、シーンと静まりかえっており皆がこちら見ていた。
"あら~俺なんかやったゃったかなー?"
テツがそう思いツバをごくりと飲み込むとルブラが立ち上がる。
「素晴らしい、その発想はなかったな改めて製造にとりかかるとしよう、製造指揮を頼めるだろうかテツ殿」
「ああっ、わかったバッチリまかせろ!」
こうしてテツの指揮の元で団子づくりがはじまり、そして数もできあがり山積みの団子をみて皆が満足そうにうなずくのであった、そして舞台はいざ地下水道にうつるのであった。