第六章 水の都ロッシャーの事 134話
「暑いな、、、」
ポツリとつぶやく、都に向かって馬車に揺られながら汗を拭いとる、喉もカラカラになる。
「暑いですねテツ様、めまいがします」
シノブがハァハァといいなが水飲むと一息つくが、少し熱中症なのかもしれないまずいなこれは。
「これはまずいでござるなテツ殿」
ヤタガラスがパッと見た感じ涼しい顔をしながらうなずく、どうやら本能的にこの危険を感じ取っているのだろう、それはスカーも同じようだった。
シノブの体調が悪くなってゆくのがわかる、まずいなと思った瞬間馬に乗った一団がこちらに近付いてくる。
「賊でござるか?」
ヤタガラスが刀を構えるが、男性の一団が声をかける。
「我々はロッシャーの兵団である、君らの仲間に具合が悪い者はいないか?」
それを聞いて俺は馬車を操っている御者に言って停めてもらう。
「助かった、一人いるんだ頼む」
俺がそういうと男性の一人が馬から飛び降り馬車に乗り込みシノブの様子をうかがう。
「これはたいへんだ、少しヒンヤリするけれど我慢してくれ」
男性はそういうと冷気を腕に纏いシノブにかざし呪文をとなえる。
「フロート!」
その声とともにシノブの身体がヒンヤリと冷気に包まれ呼吸をととのっていくのを見て兵士が安堵する。
「ふう、なんとか助かったか」
その様子をみて感謝をのべるとたずねる。
「あのーどうして?」
「ああ、うちの王妃の命令でね、暑さでやられる人が多いからこうして別動隊でまわってるのさ」
なるほどこれは王妃さんに感謝の1つでもいわなきゃだな、すっかり顔色の良くなったシノブをみてうなずくのであった。