第131話
「・・・むむむ」
テツはシノブをチラチラ見ては目をそらす事を食事の間ずっと繰り返していた。
バイキング形式の食事で、シノブはずっと子ども達の相手をしていて離れたところにいたのであるが、テツが時折こちらを見ては目をそらしているのを気にしていた。
「どうしたテツ? シノブが気になるならそばにいけばいいじゃねぇか」
スカーはそういうのだが、当のスカーが"シノブとの子どもができたら背中に乗せてやる"みたいな事をいうものだから余計に意識してしまう、ましてや今は地底湖で水浴びをして水着のままなのだ。
「あのねぇ、そう簡単に・・・」
そういいながらシノブにまたチラリと目をやるが彼女はそこにはいなかった。
「何か御用ですか?」
横からいきなりシノブが声をかけてくる、突然の事ながらも顔と胸に視線を走らせてしまうテツ、それを感づかれまいと手を中に舞わせ言い訳を考える。
「あ、あー、なんだせっかく、いつもと違う雰囲気での食事だし、楽しめてるかなーと思ってさアハハハ」
テツのその問いにニッコリと微笑んでかえすシノブ。
「お気遣いありがとうございます、はい楽しめております、これなんかとても美味しいですよテツ様」
シノブはそういうとテツの皿に料理を綺麗に盛りつけると子ども達の相手をしてきますのでと、また戻っていくのであった。
「ふー、危なかったバレるところだった」
戻っていくシノブを見ながらテツがそういうと"イヤ、バレてるだろ"とツッコミをいれるスカーであった。
そして、食事が終わり来客用のテントで休むテツ達。
「今日は食ったなぁ」
テツがそういうとヤタガラスが満足そうに頷く。
「まったくでござる、なかなかに美味しい食事でござった」
その言葉にスカーも頷くと、シノブがその頭を撫でながら口を開く。
「ほんとに美味しかったです、このような感じでとる食事は初めてでした」
「そっか、それはよかった」
テツがそう答えるとシノブが立ち上がり、今日はもう寝ますねと、自分用に仕切られたスペースに入っていくのであった、
「そうだな、俺らも寝るか」
それをみてテツがそういうと、皆頷き就寝につくのであった。