第130話
「•••はぁ」
テツ様がヤタガラスと一緒に地底湖に降りてくる、そして私はというと水着を着て子どもたちと遊んでいる、少し前には考えられない事である。
「ねーちゃん、スゲー筋肉だな」
「腹触ってもいーか?」
「おんぶしてくれー」
諜報等や暗殺の為に鍛えられた身体、決して綺麗とはいえないでしょう、血に汚れた身体、それを子ども達は純粋に誉めてくれる、モチロンそのようなことを知らないからなのでしょうけれど、それがとても嬉しいと感じる。
「おう」
そのような事を考えていると、不意に入口のほうからテツ様の声が聞こえてくる、上を見上げるとヤタガラスと一緒に入ってくるテツ様が視界に入ってくると、途端に身体が熱くなる。
「•••!」
諜報等で、至るたころまではいかなかったものの身体を使った事もある、なのに水着姿を見られただけで恥ずかしいのでしょうか、ここが程よく暗いところで本当に良かった顔を赤くしているところを気づかれないから。
「うぉーい! 兄ちゃんあそばーぜー」
地底湖につくと私と一緒に遊んでいた子ども達が何人かがテツ様の手を引っ張って連れてくる。
「・・・」
湖面の反射のせいでしょうか、水着のテツ様は普段よりも眩しく見えて直視できずに視線を少しそらしてしまう、変だと思われたでしょうか?
けれどどうやら視線をそらしたのはテツ様も同じなようで、それが何故かおかしくてクスっと笑ってしまう。
するとテツ様もクスっと笑い、幸せな気分につつまれる、この旅の目的を忘れそうなくらいに。
子どもと遊び楽しい時間をすごしていく、ああ本当にこのまま時間が止まればいいのに!
「絶対みつけような!」
テツ様が優しい笑顔を向けて私の手をとる。
その笑顔が私の考えを見透かせられているかのようで、自分の愚かさに涙が流してしまうけれどその手の温もりを感じて、"はい"と答えたのです。