第128話
「さん、テツさん・・・」
夢心地の中シノブに起こされてベタな寝言をいうテツ。
「うーん、母ちゃん後五分・・・」
「・・・テツさん?」
「あれ? シノブさん? アアアアーっ!」
夢から醒めて正気に戻ったテツと、その言葉に顔を赤くするシノブ。
「シノブさん、あのその聞かなかった事に・・・」
「あ、はい」
そんなやり取りの後ちょっと気まずい空気が流れた後にヤタガラスが入ってくる。
「テツ殿、お目覚めのようですな、地下湖に泳ぎにいきませぬか、見てきたところとても良い場所でしたぞ」
いきなりのヤタガラスの勢いの誘いにのり、ついでにシノブを誘うテツであった。
「おおお、そうかヤタガラス、いこう、うん、いこう、どうシノブさん」
「ああああ、えええ、そうですね!? いきましょう!」
ーこうして三人は地下湖に向かうのであった、その地下湖は岩の隙間から漏れる光が湖面に反射して、天井に揺らめいていて幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「おおお、湖面が反射していい感じ、テンションあがる!」
テツが水着として短いパンツ、ヤタガラスが褌を巻いて地下湖に降りると部族の子供達と遊ぶシノブが目に入る、白い水着の眩しさにやられるテツ。
「おう」
短い声をあげるテツを心配するヤタガラスだったが、察してうんうんとうなずく。
「さささ、テツ殿、いきましょう! 実に楽しそうですぞ」
テツが地下湖にたどり着くとシノブがこちらに気づき、見つめ合おうとすると子ども達がテツに抱きつく。
「うぉーい! 兄ちゃんあそばーぜー」
「こっちこっち!」
子どもがテツの手を引っ張っていくと、シノブがクスリと笑う。
「そぉーれ!」
「キャハハハ」
楽しい時間がすぎていき、子どもが地下湖から帰っていき、テツをサポートしていたヤタガラスも身体が冷えたと言って、でていくのであった。
「ふぅ、遊びましたねテツ様」
「そうだなぁ、まったくあの子ども達めさんざんからかってきてさ」
「ええ、本当に元気でしたね」
二人は腰をかけ、ただただながらる静寂な時間に身をまかせるていると、ポツリとテツが呟く。
「絶対みつけような、ハツネさん」
「はい、必ず私達の事をどこかで待っていると思いますから」
「だな、はやいところ迎えにいこうぜ」
そういうとテツは立ち上がりシノブに手をさしのべるのであった。
そして、シノブはその手をとると少し涙ぐんで、はい、と小さくうなずくのであった。