第127話
「私の名前はカンム、よろしく!」
仕切り直して女性が握手を求めてくるので、テツが手を差し出す。
「よろしく、カンムさん、俺はテツっていうんだ」
「よろしく、テツ、あんたもなかなかいい男だねえ」
そういいながら、背中をバンバン叩かれる。
「カンムさん、痛い痛い」
「アッハッハッ、ごめんごめん!」
そんなやり取りをしていると、ムングがコホンと咳払いを一つする。
「あの、そろそろいいかな?」
「ああ、ごめんねアンタ、じゃあ私は席をはずすから、後はゆっくりしていってね!」
そういうとカンムは手を振りながらテントからでていくのであった。
「さて、テツ君改めて、さっそくだがこれくらいの値段でどうだろうか?」
そういうとムングが木の板に書き込んだモノを渡す。
「んんん、相場がわからないシノブさん、これは良い感じなの?」
テツがそう言いながらシノブに意見を求めて、板をてわたす。
「テツさま、失礼します、どれどれ」
シノブが板を見るとビックリしたように声を出す。
「あの、本当に良いのですか? 値段おかしくないでしょうか?」
するとムングがニッコリ笑う。
「ああ、構わない、狩りに行く手間が一番かかるからな、後いがいかもしれないがコイツの肉はうまくてな、そこそこの値段で売れるのさ、だから気にするな」
ムングがそういうと、言葉を続ける。
「それにそこの、シノブさんだっけ? ひょっとして人を探していないか? 資金は必要だろ?」
その言葉にシノブが食いぎみにムングに詰め寄る。
「あの、どうしてそれを!!!」
「ああ、だいぶ前にアンタに似た女性がきて食料品だけ買い込んで離れていったよ」
「そう、ですか、それはありがとうございます」
そう言うとシノブは力無く座り込む。
「•••まあ、その様子だと何かあったんだな、気持ち整えるためにも村で少しゆっくりしていきな、ここは地下に底の浅い湖があってななかなか気持ちいい、リフレッシュしていったらいいさ」
ムングがそういうと、後ろからカンムが入ってくる。
「お、商談はおわったようだね、何お母さんに任せなさい、こっちにきな着替えも用意してあるから今日はゆっくり休みな」
そういうとカンムが一つのテントに案内してくれる、それは少し大きなテントで、中は衝立で部屋の仕切りが自由にできるようになっていた、
「おお、これはすごいな」
テツがテントを見て興奮気味に喜ぶと、カンムが満足そうに頷く。
「喜んでもらって何よりだね、後ご飯とかは売っているテントあるし、何よりここは地下湖が気持ちいいからね、いちどはいって損はないさ、もちろん水着もあるしね」
そういうとカンムは、じゃあと手を振りテントをでるのであった。
「ふー、色々あったなぁ」
テツはういうと、一番近くにあったベッドに倒れ込むとそのまま眠りに落ちてしまうのであった。