第10話
「おおおおおー???」
今俺は絶賛ピンチ中であった、それは俺の自信もだが腰もであった、それは部屋にいた時。
「暇だぁ・・・」
ポツリと呟いてしまう、そうみんなまぁこっちの世界にきたばかりの俺は難民にみえるのだろう、そらまぁそうだが!!
「ゼウさん? あのみんなの好意めっちゃ痛いんですけど?」
俺の部屋の側で寝そべっていたゼウが顔をあげる。
「好意が痛い? またよくわからんことを」
「いやね? 言葉が通じないのはわかる、けどそれだけで1人ぽつーんといるのはなんだか申し訳なくてだな」
「なるほど、ようするに頼れる男アピールを、したいと」
ゼウがザックリすぎる言い方をする。
「ばっか、ちがーよ?」
否定しつつもそこは否めない俺であった。
「そうだなぁそれならついてきな」
わかるぜその気持ち、と呟きながら器用に部屋のドアを開けて案内しだす。
建物の外にでると台がおいてありわきには薪がつみあげてあったまさか・・・。
「薪割り頼むぜぃ」
おおお、これはやってやるぜ!! やり方なら前にキャンプにあこがれて動画サイトで見たことあるからな!!
腕まくりしながら置いてある手斧を手に取る、おおうなかなか重量あるじゃないかどれどれと意気込んでみたものの・・・。
もともと慣れないせいか手が痛くなり腰にきて今に至るわけである。
「大丈夫か? やめとくかい?」
ゼウが心配そうに声をかけてくる、いや俺はできるぜとばかりに奮闘しようとするのだが少し休むことにしよう、うんうん何事も緩急は大事。
「よっこらしょ」
そう言いながら近くの切り株に腰をおろし一息ついているところにアイルがやってくる、言葉は相変わらずわからないけれど感じからして感謝している様子だった。
そしてアイルが腕まくりをして手斧を取り薪を割り始める、おおなんて手際のよさこれは熟練の業だ!!
「おお、ゼウさんや俺は役にたたないのかねぇ」
いっけん女性にしか見えないアイルですら手際よく薪を割っていくのに俺ときたら・・・ そう落ち込んでいるとゼウがこうきりだす。
「まぁできる事からコツコツだ、とりあえず今は言葉習ってみたら? 俺に翻訳求めてばかりじゃあだめだろう?」
「そっか、それが先だな」
「そうそう、ここじゃミュウが孤児達に教えてるから横で補佐してやるよ」
「おお、そうなのかそれはやる気全開だぜ!」
そう聞くとガッツポーズをとる俺なのであった。