閑休話 旅立つ前の事前編 第101話
「しかし、まぁアイルが遠い国のそこそこ地位のあるお偉いさんの息子だっとはなー、ここ一番のビックリだったよ」
テツがリハビリを終えて一息つくと、そう呟く。
「ええ、本当にビックリでした、アイル様とは顔見知りになってかなりの年月が経ちますがまったくしりませんでした、というより自分の身の上はあまり話されない方でしたから」
シノブにいわれて改めて思う、そういや本当にアイル自身の事って聞たことないな。
「俺も孤児院にいたから、すっかり孤児だとばかり思っていたけど」
テツがそういうとシノブが口を開く。
「そういえば私はミュウ様に紹介されまして、なんでもフラッと孤児院にやってきて色々手伝うようになって住むようになっだとか」
なるほどねー、テツは頷く。
そう、ハツネに刺されて病院で目を覚ました時に一番驚いたのは、アイルが遠い国でそこそこ地位のあるところの長男で、女装するが好きすぎて両親から一家の恥だと家から叩きだされたという事であった。
「で、今回のアイドル騒ぎでアイルの事を聞きつけて急いで迎えをよこすなんて、勝手がすぎるというかなんというか」
「まあまあ、テツ様そう言わずに、向こうは向こうで、次男、三男が病死、父親が病床に伏しているとなればしかたありませんよ」
「まあ、それもそうか」
そういいながら休憩しているとブラウンがミュウと一緒に見舞いにやってくる。
「おう、テツその様子だと順調のようだな」
「お疲れ様ですテツさん、シノブさんも」
そういいながら見舞いのお菓子をシノブに渡す。
そしてもう1つテツにとって驚いたのはブラウンとミュウが婚約を前提で付き合いを始めた事である、なんでもテツが入院、アイルが実家のほうに戻っていってしまった事に心が弱っていたところ、親身になってくれたブラウンに頼るようになり、惚れてしまったのだとか。
「よう、お二人さんありがとな嬉しいよ」
テツはそういうとニッコリ笑ってみせるのであった。