第100話
ブラウンが重い空気を開くように口を開く。
「うむ、残念だが彼女の暗殺においての穏行の技は完璧でな、テツが刺された後捜索したのだが見つからなくてな、それに直後に街をでる女性が目撃されている、恐らくはハツネだろう」
「そうか・・・、ハツネさん無事だといいんだかど」
テツがそう呟くとブラウンが驚くとテツが頭を掻きながら答える。
「驚いたな、自分を刺した相手を心配するのか」
「ああ、なんだその彼女なんだけど、心配というか、なんかその自分でも上手く言えないけれど、怨んではいないよ正直なところ、いきなりすぎて実感がないだけなのかもしれない」
テツがそう答えるとしばらくしてからまた口を開く。
「なあ、ブラウン、ハツネさん俺が探しに行ってもいいかい? 幸い俺には犬と会話できる能力があるからな、他人よりかは人探しはしやすいと思う」
そう言われてブラウンは少々考え込むとシノブの方をチラリと見て頷く。
「ウム、確かにそれが良いかもしれない、シノブもついていってやりなさい、ハツネの事が心配でたまらないだろう? テツはどうみても旅慣れしていないからなサポートしてあげなさい、それとわかってると思うが傷が治ってリハビリを終えてからだぞテツ」
シノブはそれを聞いてブラウンの顔を見上げると涙を流しながら深々と頭を下げてありがとうございますというのであった。
そして、少し静かになったところでゼウか話し始める。
「あー、テツちょっといいか? 祭のときに治安維持に協力してくれたスカーっていうのいただろ? そいつがテツの為に町中の犬から証言を集めてくれていてな、ブラウンの旦那のいうとおりハツネの姉ちゃんに間違いねぇ」
「そうなのか、知らせてくれてありがとよゼウ、頼りになるぜ」
テツはそういうとゼウの頭を撫でてやると、嬉しそうに目を細める。
「フム、テツよゼウはなんといったのだ」
「ああ、スカーっていう祭の時に世話になった犬が証言を集めてくれてよ、やっぱり街をでた人影っていうのはハツネさんらしい」
テツのその言葉にブラウンはかがみこんで、ゼウの頭を撫でてやる。
「ゼウ、ありがとうとつたえておいてくれないか」
ブラウンの一言に短くワン、と吠えるゼウなのであった。