謎の場所、コアの中?
不定期投稿とは言え、1週間以上は開けたくはない。
でも、どうしても開くときがあるんだよなぁ‥‥‥ネタはあれども、気分的なものとかあったりするんだよね。
SIDEフレイ
……状況を整理しよう。
ブラックリスト入りなら大丈夫かもしれない。
コアに触れてナビリンが何とかしてみる。
よし、これでいける‥‥‥‥と思っていた。
「そして今は、この謎の場所か…‥‥いや、全然わからないなこれ!?」
誰もツッコミを入れる人がいないせいか、フレイは自分で自分にツッコミを入れていた。
ダンジョン暴走の原因がフレイたちであれば、ブラックリストとやらに登録すれば、そのダンジョンが自分達に恐怖を抱くことはなく、通常通りに戻ると思っていた。
だがしかし、結果は謎の空間に攫われた。
辺りを見渡しても荒野と一軒家のみ。
「‥‥‥まぁ、まずは入って見るか」
取りあえず、このままにしてもらちが明かないと判断したフレイは、その謎の一軒家に近づいた。
「造りとしては、ログハウスかな?扉もあるけど‥‥‥」
耳を澄ませてみるが、生活音のようなものは聞こえない。
コンコンっと軽くノックしてみたり、大きな声で問いかけてみるが、何も返答はない。
念のためにスキルなどを使えないかと思ったが、魔法は出る様なので何かが出てきても対処はできそうだ。
ただ、ナビリンの声も聞こえないし、制限がかかっている可能性がある。
「あ、開いているのか」
ふと思って、ドアノブに手をかけてみると案外あっさりと開いた。
「おじゃましま~すっと」
人の気配はせずとも、とりあえずそう言葉を出し、中の探索を始めた。
……謎の一軒家、内部の造りはシンプルながらも、それなりに凝った造り。
釘の一本も打った様子もなく、つなぎ目もない。
それこそ、精巧な建築家による匠の技かと思わされるような、見事な出来具合。
されども、人の気配はない。
「‥‥‥なんかこういうのって、怖いな」
誰もいないと思うが、こういう時にこそ何かドッキリが仕掛けられて居そう。
そもそもここが良く分からないし、ダンジョンコアの中だとしても何でこんなものがあるのかはわからない。
色々と探索してみるが、どこにも生活感はないし………そもそも、人が住んでいないのだろうか?
「これだけ探索しても、何もないしな…‥‥手詰まりか」
すべての部屋を見回って見るが、何もない。
ナビリンもないようなので情報が入らないし、こうなっては宛もないだろう。
「…‥‥しょうがないか、一旦何処かで眠らせてもらおう」
こういう時は、むやみやたらに動く意味はない。
食料なども見つかってないし、のどの渇きも来たら嫌だ。
取りあえず、先ほど見つけた寝室らしき部屋へ、フレイは入出する。
「それなりに良いベッドなんだろうけど…‥‥まぁ、一旦ここで寝させてもらうか」
どかっと乗って見れば、ぼうんと弾むベッド。
色々と手入れされていそうだが…‥‥人の使った使用感もないし、違和感しかない。
けれども、眠れそうなのはここにしかないし、軽く調べてもトラップとかはない。
「それじゃ、とりあえず寝ようか‥‥‥‥」
横たわり、目をつむるフレイ。
そのまま意識を一旦、闇へ沈めるのであった‥‥‥‥
―――――――――――――――――――――
SIDEその頃の面子
「っ!?」
「なんじゃと!?」
「ぞい?」
一瞬にして、消えたフレイを見て、その場にいた者たちは驚愕した。
「あ、主様が消えたの!?」
フラウが慌てて駆け寄り、ダンジョンコアに触ってみるが反応が無い。
「ぬぅ……どういうわけでござるか?」
ユキカゼは腕を組んで考えるが、どうしてもわからない。
「バルブヒィン‥‥‥‥」
「ふむ、何が起きたのかが理解できぬが…‥‥一体何が起きたんだぞい?」
ボルドもゾンバルも驚きつつも、この状況を理解しがたかった。
ダンジョンコアの暴走が、フレイたちが原因。
ならば、コアを安心させるためにとか言う訳で、ブラックリスト入りとやらの方法を試していたはずなのだが、目の前で瞬時にフレイの姿が消えてしまったのである。
「おい、糞爺。あいつがどうなったのか、わからないのか?」
「わかるわけはないぞい」
「ちっ、こういう時はダメか…‥‥くそっ!!」
ゾンバルに対してリールが問いかけるが、満足いく返事が出せるわけもなく、機嫌悪そうにリールは拳を壁にたたきつける。
まだそう長い月日が流れていないとはいえ、ゾンバルの修行によって共に過ごした分、フレイには情が有った。
それなのに、目の前で消失した時に、言いようの無い不安を彼女は覚えたのだ。
「フラウ、ユキカゼ!!お前たちはあいつの精霊とかだろ!!何とか居場所が分からないのか?」
「私たちでも無理なの!!主様、わからないの!!」
「とはいえ、契約が切れたわけでも無そうでござるし…‥‥ううむ」
フラウたちがフレイに憑いている精霊なのを知っているので問いかけるが、回答を得られずリールはいらいらし始める。
「ああもう!!なんでこうなるんだよ!!」
元々、リールは一人で生きてきた。
色々あって今は一人ではないが、それでもやはり寂しい時もある。
ゾンバルというはけ口、いや正確にはやりかえされるのでどうにもならなかったが、そんな時に現れたのがフレイ。
精霊を己に宿し、色々と規格外なところがあるとは言え、共に過ごした仲間という感情がある。
そんな仲間が突然消失したことに、リールは不安と苛立ちを覚えたのだ。
「ちくしょう、フレイ・・・・・どこに行ったんだよ」
そう不満を口に漏らしながらも…‥‥やはり心配しかない。
そうこうしているうちに、ダンジョンコアへ目を移す。
「…‥‥ダンジョンコア!!フレイをどこへやった!!」
大槌を構え、ダンジョンコアに脅しをかけて見るが、うんともすんともいわない。
そもそも喋るのかなども分からないが、とりあえずこの元凶はコアにある。
「さっさと返せ!!出ないと破壊してや、」
‥‥‥‥その瞬間であった。
ばしゅん!!
「「あ」」
「ぞい」
「バルブヒン」
一瞬にして、リールの姿がその場から消えた。
どっしんっと大槌がその場に落ち、地面が揺れる。
そしてひらひらと彼女が着ていたものも、その場に落ちたのであった‥‥‥‥
―――――――――――――――――――――
SIDEフレイ
「…‥‥んー……寝ても変化ないか」
ベッドから目を覚ましたフレイはそうつぶやいた。
どのぐらい寝ていたのかはわからないが、そう長くは寝ていなさそうだ。
不思議とのどの渇きもないし、良く分からないこの空間。
「かと言って、どう動くべきかな?」
ベッドに横たわり、どうしたものだろうかと考えていた、その瞬間であった。
ばしゅん!!
「‥‥‥破壊してやるぞダンジョンコア!!」
「へ?」
何か音がしたかと思いきや、突如としてリールが上に現れた。
大槌を構える様なそぶりで有りながら…‥‥なぜか全裸で。
そして、出現場所はフレイの上。
そう、横になっているフレイの腹の上であり…‥‥
どすっ!!
「ぐえっふ!?」
「おわっ!?な、なんじゃこりゃ!?あ、フレイ!!無事だったのか!!」
ものの見事に腹にクリーンヒットし、フレイは悶絶するがリールはフレイを見つけて嬉しそうに声を出した。
……そして数秒後、己が全裸であることに気が付き、フレイが瞬時に茹でガニのように赤くなった後、強烈な目つぶしをフレイにあてるのであった…‥‥
「うわぁぁぁ!?み、見るなフレイぃぃぃぃ!!」
「ぎゃあああああああああああ!?目がぁぁぁぁぁ!!目がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
これが世に言う理不尽であろうか。
何にしても、リールもここへ来てしまったらしい。
目つぶしと腹へのダメージを喰らいつつも、フレイはどうしたものかと考えるのであった…‥‥
「…‥‥ううっ、目がすごい痛い…‥‥」
「ご、ごめんなフレイ。ついつい、オレが手をだしちまって」
「いや、別に良いよリール。だってリールだってがさつだけど女の子だし、あんな反応してもおかしくないってば」
「そ、そうか…‥‥ちょっと待て、今余計な事を言わなかったか?」
……口は禍の元とも言うか。




