悪鬼羅刹撲殺両断
一刀両断ではないんだよなぁ‥‥‥考えて見たら、ユキカゼぐらいしか刃物扱っていないな。他の面子、ほぼ撲殺じゃん。
SIDEフレイ
…‥‥ズドドドドドドドと土煙が上がり、ダンジョン内を爆走する影があった。
バチバチィっと火花が飛び散り、電撃から伸びる巨大な鉄球が回転し、一種の撲殺暴風雨と化して駆け抜けていく。
「がははははははははははははは!!かかってくるがいいぞぉぉぉい!!」
「バルブッヒィィン!!」
雷撃を纏い、超高速で爆走するボルド。
その背中には、武器である鉄球をぶんぶんと振り回し、行く先々の障害物を粉砕するゾンバル。
即席で作ったリアカーを牽引してもらいつつ、そこに乗ってフレイたちは魔法などで遠距離攻撃など、応戦していたのだが‥‥‥
「‥‥どうしよう、飛んでもないものを爆誕させたかも」
「今さら言っても遅いだろうなぁ‥」
フレイのつぶやきに、リールは呆れたように言いつつも、同情した声を出した。
…‥ダンジョン最下層まで行って、一気に攻略してしまえば良い。
そう考え、この爆走案をフレイは提案し、実行したのは良いのだが‥‥‥いかんせん、想定以上の事態に陥っていた。
ボルドの爆走にゾンバルの破壊力を組み合わせれば、問答無用で進撃できると考えていたのだが、この破壊の暴風雨のような光景はひどすぎたのだ。
何しろ、普通に出てくるモンスターを薙ぎ払うだけであればよかったのだが…‥‥
「がはははははは、ふっとべぞぉぉぉぉぉい!!」
ゾンバルの鉄球がすさまじい勢いで振り回され、触れた個所から粉砕されていくモンスターやダンジョンの障害物となる岩や壁。
「バルブヒィィィン!!」
ボルドの纏う電撃とその爆走の勢いによって、粉砕された破片は降りかかってもその場で即座に砕け散り、免れていたモンスターでさえも跳ね飛ばされ、轢かれていく。
ダンジョン内にできてしまった暴力の、いや、破壊の嵐とも言うべきコンビのせいで、順調に進めつつも周囲の被害はすさまじいものになっていたのであった。
これを地上に出せば、モンスター・カーニバルなんぞ敵ではないほどであり、むしろそれ以上の破壊をもたらす存在になってしまう恐れがある。
とは言え、現状暴走を邪魔するような者たちは粉砕・爆砕しており、突き進むのに特に障害とはならない。
時々トラップとして落とし穴や火炎放射などもあるが、勢いそのままなので落ちることなくわたり切り、纏っている電撃で防ぎ、ゾンバルの鉄球でトラップもろとも爆砕していく。
チートと言う言葉を思い出したが…‥‥これこそがまさに、そのチートとやらではなかろうか。
【それとはまた別次元の、とんでもないものなような気がしますけれどね…‥‥】
ナビリンのツッコミが入りつつも、フレイたちは進撃していく。
階層を下り、突き抜け、粉砕し、邪魔になるものは全て破壊されていく。
30、40,50、60‥‥‥成長したせいか、かなりの階層があるダンジョン「バルブルリア」。
だがしかし、この粉砕爆砕雷進撃コンビの手によって、アッという前に突破されていく。
「バルブヒィィィン!!」
「なんか、ボルドが良く鳴くような?」
【‥‥‥ふむ、ちょっと面白い事が起きそうですね】
ふと、ナビリンがそうつぶやいた。
「面白い事って?」
【ここまでの爆走で、どうやら大多数の被害が出た模様。経験がどんどん貯まって、おそらく進化の時が近いのだと推測できます】
スキルが使い続けて変化するように、モンスターも戦闘経験を積むことで姿を変えていく。
バッホーンキメラであるボルドも例外ではなく、この戦闘によって一気に成長し、その姿を変える時が近いようだ。
【とは言え、鑑定しても結果の予測は不可能。より破壊的なものになる可能性もありますが、破壊の真逆として再生、回復の役を担ったミルクの効果がさらに向上する可能性など、考えられます】
今以上の戦力となりそうだが、できれば破壊よりも回復の方が良いなぁ…‥‥
何にしても、この調子でいけばあっという間に最終階層、ダンジョンコアがある処へ到着し、攻略できるだろう。
‥‥‥その前に、この破壊の嵐でダンジョンが崩壊しないか、フレイは少々心配になるのであった。
とんでもないものを爆誕させた罪悪感がありつつも、間もなく最終階層。
そこで、ダンジョンの異常成長の原因を見つけられるはずであろう。
とはいえ、その前にこの爆走をどうにかしたほうが良いような……
次回に続く!!
‥‥‥本当であれば、龍魔法でフレイが攻撃し、ボルドの爆走といった組み合わせにしたかった。
けれども、今回がこちらの方が一番破壊力がありそうだという事で、この組み合わせになってしまった。
どうしよう、誰かこの爆走暴走憤激爆破列車を止められる奴はいるのだろうか…‥‥




