VS ???(元ゾンバル親戚)
・・・ちょっとサクッと
SIDEフレイ
【ゾオオオオオオオオオン!!】
【ガベネェェェェェェ!!】
かつて、リールを奴隷として扱いつつ、ゾンバルの財産を狙っていたというその親戚たち。
元は人間なのだろうけれども、フレイたちの目の前に現れているのは、もはや人ではない。
ホラー映画のゾンビのような…‥‥いや、まさにゾンビその者であろう者たちは今、一番恨みが深いのかゾンバルの方へ攻撃を集中させていた。
【ヴボラバブッシャァァァ!!】
「おおっ!?汚いぞい!!」
ごぼぅっと音がすると同時に、口から緑色の液体が噴き出してきた。
かわし、その液体がかかったところはジュウジュウと音を立てて溶けている。
「溶解液ってやつか?」
【いえ、どうやら胃液のようデス】
人間の胃液も、確かに強力な酸性ではあるが…‥‥ただの胃液でもないらしい。
「ナビリン、ゾンバルへ攻撃が集中している間に鑑定!!」
【了解!…‥‥鑑定完了!】
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『ポイズングール』
アンデッド系の中でも低位~中位ぐらいの境目を彷徨うモンスター。
ただし、アンデッド系は本来「死んだ人間」が何かしらの理由で復活し、ゾンビやグールとなったものなのだが、今回の鑑定対象は「生きた人間」がそのままアンデッド化したものである。
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「生きた人間が、そのままアンデッド化?」
某バイオ映画のようにかまれて感染した‥‥‥みたいなような想像をしたが、どうもそうではないらしい。
【‥‥‥珍しいというか、ある意味成れの果てです】
「成れの果て‥‥‥?」
【ええ。進化という物があり、通常はそれらでより上位存在になることが多いです。人間も例外ではなく、中にはハイヒューマンや魔人と化すものがいますが‥‥‥あれが、欲望に染まり切った罪人が陥りやすいとされるものでしょう】
「そうか、俺の称号の中にある『魔人予定者』みたいなものか」
【‥はい】
フレイの言葉に対して、ナビリンは少し間をおいてそう返答した。
……実はすでに、フレイのその称号は『魔人分岐予定者』へ変化しているのだが、それは置いておくとして、そのような捉え方で間違いないそうである。
鑑定などを使用せず、長い間放置していたツケのようなものだ。
つまり、元から根が腐っている最悪野郎たちは「グール予定者」などの称号があり、早い段階で対処で来ていればよかったのだが‥‥‥おそらくはこのダンジョンが成長した当時にこの内部にいて、影響を受けてついに人間をダメな方向でやめてしまったようだ。
まぁ、普通はありえないような話なのだが‥‥‥‥それだけ、ゾンバルの元親戚たちは救いようがない者たちであったという事であろう。
何にしても今、その者たちはモンスターとなって襲撃してきていたが…‥‥元の素材がダメなのか、強さはさほどのものではない。
精々溶解液などに気を付ければいいだけの話であり、ゾンバル集中攻撃なのでフレイたちには見向きもしておらず、遠距離からの支援で事足りる。
そうこうしているうちに、振り回される鉄球がどんどん直撃していき、相手は肉片と化していく。
アンデッドとなったからかしぶといが、その尋常な生命力ももう終わりであろう。
【グッギャァァァァァァ!!】
【オボレゾンバ―――――――ル!!】
【ヒッギエエエ!!】
断末魔を喘げて肉片と化し、それでもなお蠢く元親戚たち。
そのしぶとさにゾンバルは何も感じず、ただひたすらに汚点を潰し、無かったものにしていくのであった。
そして最終的に、ある程度集まったところで…‥‥
「それじゃ、ひと思いに頼むぞい」
「言われなくても、やりますよ。『フレイムストーム』」
一気に処分するために、フレイは炎の魔法を発動させ、肉片たちを蒸発させていく。
フラウの風の精霊魔法の補助も受け、超高温と化した業火になすすべはない。
【【【ぎゃぁぁぁああああああああああああああああ!!】】】
最後に、ほんの少しだけ人間に戻ったのだろうか。
人らしい断末魔を上げ、肉塊たちは消え失せるのであった‥‥‥‥
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SIDEゾンバル
……リールの時に、投獄されていた親戚一同。
なぜこのダンジョンに再び現れたのかについては後で調査が必要ではあるが、これで一つの憂いは無くなったであろう。
蒸発し、消え失せたその場所を見ながらゾンバルはそう心でつぶやく。
元親戚たちとは言え、情もわかない。
元からダメすぎた者たちであったがゆえに、わく意味もない。
けれどもやはり、ちょっとばかり残念に思えてしまうのは、少なくとも血のつながり程度ならばあるからであろうか…‥‥
さてさて、撃沈させたのは良い。
けれども、このダンジョンの先に何かがあるような気がする。
ダンジョンの成長には、この馬鹿共は関わっていないだろうし……何があるのか?
次回に続く!!
……でも一つ、気になる点。称号の変化だけで、ここまで変わるかな?考えて見れば、この階層前は毒だらけだったし…‥‥でも、「生きた人間」から変化したという事は、生きながらにして…‥‥これ以上、考えるのはやめておこう。




