末路を垣間見たような
突き進みたいが‥‥‥
SIDEフレイ
……ダンジョン「バルブルリア」の調査のために、階層を踏破していき、フレイたちは19階層まで進んでいた。
「どう考えても、前に来た時よりもあちこち変わっているよな」
「しかも、足場も悪くなってきているような‥‥‥」
19階層はマグマイバーンを討伐した際に訪れていた場所であったが、今はその様相が変容していた。
マグマイバーンがいた時はマグマが残っていたりしたのだが、今この階層は床一面が液状のなにかしらの物質で覆われており、辛うじて移動できそうなのがぷかぷかと浮いている小型の浮島程度である。
【鑑定完了しましたが‥‥‥触れたら不味いですね。これ、全部猛毒です】
ナビリンの鑑定機能によれば、この液体物質は全て猛毒らしい。
とは言っても、触れて体が溶けたり、皮膚がただれる様なものではなく、体内に入れば毒性を発揮するというもののようだ。
【とは言え、毒性は非常に強いです。一滴でも入ればその時点でアウトだと推測】
「シャレにならない様なものじゃん・・・・・」
何にしても、この浮島を渡りながら進むしかない。
とは言え、そこまで苦労するようなものではなかった。
いざとなれば「浮遊」のスキルで飛行可能だし、フラウの風の精霊魔法で毒が来ないように守る事もできる。
ユキカゼの氷の精霊魔法の方は、どうも凍りづらかったので効き目は薄いが‥‥‥まぁ、ある程度防げるから問題はないだろう。
「がーはっはっ!この程度の毒はなんとももないぞーい!!」
「ナビリン、向こうで元気にクロールで進みつつ、出て来た敵をぶん殴っている元気な爺さんがいるのだが」
【‥‥‥】
・・・ゾンバルの動きに対して、ナビリンが回答を辞めた。
鑑定が出来るとはいえ、流石にあれは理解したくない類になったのであろう。
「あの糞爺、煮ても焼いても簡単に逝かないような奴だからなぁ‥‥‥」
リールのその言葉に、思わず皆頷くのであった。
そうこうしているうちに、いつの間にか20階層へ続く階段前にまで来た…‥‥その時であった。
【ん?】
ふと、ナビリンが何かに気が付いた声を上げた。
「どうした、ナビリン?」
【次階層に、生命反応を確認‥‥ですが、これは‥‥‥?】
いつものナビリンであれば、すぐに回答するが、何やら言いよどんだ。
【…‥‥警戒してください、鑑定不能生命体を確認】
「鑑定不能な生命体か?」
【ええ、そうです】
ナビリンが鑑定不可能だという相手に、フレイたちは警戒心を強くした。
こういう鑑定不可能な相手を考えるのであれば、相手は相当不味いものの可能性が大きいからだ。
ゾンバルが意気揚々と進んでいるが、その後方を警戒しながらフレイたちは進む。
そして、次の階層……20階層へ到達すると同時に、その正体が判明した。
【ゴッギャアアアア!!ゾオォォォォン!!」
【ゾンバルアァアァァァァ!!】
【グベラァガネェェ!!】
各々に叫ぶ、いくつもの不気味なモンスター。
だが、その体躯は人に近く、まるでそのまま化け物になってしまったかのような…‥‥いや、まさにそうとしか言えない。
「ぬっ?お前らは…‥‥まさか!?」
意気揚々と鉄球を振り回していたゾンバルであったが、その化け物たちの顔を見て驚愕の声を上げた。
「し、親戚の大馬鹿者ではないか!!」
【ゴッバァァァァァ!!】
【ヨゴゼェェ!!ソノイザンヲグレェェェ!!】
【ゾンバァァァァッル!!】
ゾンバルの言葉に対して、そう叫ぶ化け物たち…‥いや、かつてのゾンバルの親戚だったらしい者たち。
なぜこのような変容を遂げたのかはわからないが、一つだけ言えるとすれば、ダンジョンの成長何てかわいく見える、異常事態という事であろう。
とにもかくにも、化け物と化した元人間との戦闘に、フレイたちは挑むのであった‥‥‥‥
突如として現れた、元ゾンバルの親戚たち。
何故この場に現れたのかは不明だが、ナビリンの鑑定が効かない以上、細心の注意を払わねばならない。
敵意丸出しのようだし、交戦するのだが‥‥‥
次回に続く!!
……そもそも、どうやって彼らがここに来たのかなどの謎があるけれどね。




